紋織物(もんおりおの)とは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を複雑に組み合わせて、
模様を織り出した織物をいいます。
紋織物は中国からシルクロードを通って、
15世紀にヨーロッパに伝わり、
その技術が、フランスのリヨンで盛んになりました。
紋織物といえばジャカードさん
紋織物は複雑でち密な模様の織物です。
それを実用的に機械化することに成功した人は、
ジョセフ・マリー・ジャカードさんで、1804年のことでした。
「ジャカード」は紋織物の機械の名称
紋織りの機械は彼の名を冠して、
「ジャカード」と呼ばれるようになります。
しくみは、「紋紙」と呼ばれる穴をあけたカードを利用して、
経糸(たていと)を上下させて、緯糸が通る個所を変えることで、
模様をつくりだしていきます。
ジャカード機以前の機(はた)織り
ジャカード機が日本に伝わるまでの日本の機織りは、
「空引機(そらびきばた)」という背の高いはた織り機を使って、
布を二人で織っていました。
上に乗っている人は、経糸の上げ下げを担当します。
二人で息をあわせて織り進めなくてはならず、作業はたいへんでした。
西陣でジャカード機を導入
それが、ジャカード機の導入によって、
複雑な文様を織り出すことができるようになってからというもの、
日本の織物の美しさは、より一層の磨きがかかることになります。
日本の西陣でジャカードを導入したのは、1873年のこと。
フランスのリヨンで技術の習得をしてきた3人の技術者が、
持ち帰ったジャカード機で作品を仕上げ、
翌年の京都博覧会で公開したことで、ひろく知られることになっていきました。
金銀紙や色糸をふんだんに用いた、紋織物は、
能の衣装、打ち掛け、袋帯などになって、
絢爛豪華な色彩を放ち、見るものを圧倒します。
電子ジャカード機で風景さえ織物に
現在では電子式のジャカード機によって、
すさまじいスピードで、複雑な模様を織っていきます。
写真をとって、それをすぐさま織物で再現することもできてしまうという、
最新式の技術もあります。
実際に名古屋市西区の「トヨタ産業技術記念館」で、その様子を見ましたが、
ものすごいスピードで緯糸が動き、織物が出来上がっていきます。
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