◆いろいろな反物
和服は洋服と違い、「反物 たんもの」という生地から作ります。
「反物」は上の写真のように、一定の長さの生地が、芯に巻き付けられている状態です。
では、幅や長さ、どうやって作られるのか、反物から何を作れるのかをお伝えします。
反物とは具体的にどんなもの?
和服の元になる反物は、特定の幅に織られた長い布のことを指します。
和服を作る際にはこの反物を適切な長さに切って使います。
男女で違いがあるので、まずそれを見てみましょう。
反物の幅と長さは、男性用と女性用で異なることが一般的です。
女性用の反物の大きさ
幅は約36cm – 40cm が一般的です。
長さは着物や浴衣によって異なりますが、一般的には12m – 14m程度。
ただし、特定の種類やデザインのものはこれよりも短かったり長かったりする場合があります。
男性用の反物の大きさ
幅は約38cm – 42cm が一般的です。
男性用のものはやや幅が広いことが多いです。
長さは一般的には10m – 12m程度。
しかし、男性の身長や体型によって適切な長さは異なるため、必要な長さを確認してから購入することが重要です。
反物の選び方
反物を選ぶ際には、使用する目的や好みのデザイン、織りや染めの方法なども考慮する必要があります。
和服をオーダーメイドで作成する場合、専門の店舗や職人に相談して、自分のサイズや好みに合わせて適切な反物を選ぶことをおすすめします。
反物はどうやって作られるのか?
◆生糸 繭玉
和服の反物を作る過程は、非常に手間と技術を要するものです。
特に生糸(シルク)を使用したものは、伝統的な方法で作られることが多いです。
生糸の白い反物ができるまでの基本的な行程をまとめてみました。
1. 養蚕・生糸の取得
養蚕は、蚕を育てて絹を取得する過程です。蚕は桑の葉を食べて成長し、繭を作ります。
この繭から生糸を取得します。繭を熱湯に浸して糸を解くことで、連続的な絹糸を得ることができます。
2. 紡績
取得した生糸を整え、撚りを加えて糸にします。これにより、糸が扱いやすくなります。
3. 経糸と緯糸の準備
和服の織りには、縦方向の経糸と横方向の緯糸が必要です。適切な長さや太さに糸を整えることで、織りの基盤を作ります。
4. 織り
準備した経糸と緯糸を用いて布を織り上げます。
伝統的な手織りの場合、大きな織機を使って一本一本糸を組み合わせていきます。
5. 整経
織りあがった布には糸の緊張が生じているため、整経という工程でこれを解消します。これにより、布が均一な状態になります。
6. 仕上げ
織りあがった布を洗い、乾燥させます。また、必要に応じてさらに糸を整えたり、布の表面を整える作業を行います。
これらの過程を経て、生糸の白い反物が完成します。
反物が完成した後は、染色や加工を施して、さまざまなデザインや色の和服として使用されます。
このような伝統的な手法で作られる反物は、その手間と技術を反映した高価なものとなることが多いですが、その分、品質や風合いは非常に高いと言われています。
反物から何ができるのか?
◆加賀友禅の訪問着
和服の反物は、着物や和装小物を作るための生地として使用されます。
一つの反物から何を作ることができるかは、その長さやデザイン、目的に応じて異なります。
まず、男物と女物で主な用途はやはり着物です。
女物の反物から作られるもの
1. 着物
- 振袖: 成人式などの正式な場で着用される長い袖の着物。
- 訪問着: 華やかで正式な場面で着用できる着物。
- 羽織: 着物の上から羽織るコートのようなもの。
など、様々な種類の着物を作ることができます。
2. 帯
着物を身体に固定するための布で、名古屋帯、丸帯、半幅帯などさまざまな種類があります。
帯に適した素材で帯用の反物は作られています。
3 コートや羽織
コートや羽織は、着物より短い長さの反物で作られていて、コートや羽織を仕立てるのにちょうどよい長さの反物です。
男物の反物から作られるもの
◆着物姿の男性
1. 着物
- 紬(つむぎ): 日常着として使用されるカジュアルな着物。
- 羽織: 着物の上から羽織るコートのようなもの。
- 袴(はかま): 正装や卒業式で着用される、スカートのようなもの。
和装小物
足袋、半襟、草履の鼻緒など、和装の際に使用する小物も反物から作られることがあります。
短い反物を利用することが多いです。
反物の長さやデザインによって、どのようなものを作るのが適しているかが変わるため、特定の目的で反物を使用する際は、専門家や和服の店舗に相談することをおすすめします。
反物 たんもについて詳しく解説/意味/幅や長さ/反物から作られるもの・まとめ
着物の元が長い丸巻きの生地なのを知ると、ちょっと驚きですが、和装品全般を作ることができる生地は日本独特のものです。
反物からムダなく生地をいかして着物などが作られています。
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