あなたは「着物」と聞いてどんなイメージを思いうかべますか?
振袖姿のお嬢さん、花嫁さん、あるいは夏の浴衣姿でしょうか。
最近では洋服とのコーディネートを、ファッションとして楽しむ人もありますね。
着物を着る理由は人それぞれ。
それでも大きくわけると、二つに分かれます。
- ひとつは「儀礼的なもので着るべきだと着ている人」
- もう一つは「おしゃれや楽しみで着ている人」
ここでは「現代の着物事情」を考えてみます。
儀式としての着物・意味や考え方
◆振り袖にふくら雀の変わり結び
衣装として着物を着る文化は、連綿と続いています。
冠婚葬祭をはじめとして、儀式のときの装いとしての着物は多く残っています。
代表的な儀式のときの着物
- 結婚式のときの新郎新婦の母親や親族が着る黒留袖や色留袖
- 花嫁の本振袖、白無垢
- 成人式の振袖、紋付き袴
- 七五三詣りのお母様の訪問着
これらは正装・礼装といわれる装いですね。
立場によって装う着物の種類はかわりますが、それは秩序や品格、落ち着きをもたらします。
目立とうとか自分を主張するものではなく、調和を守る要素が和装にはあります。
着物を着なければならない人
儀礼的なこと以外では、「着物を着なくてはならない立場の人」もいます。
例えば
- 夜のお仕事で着物を着なくてはならない
- 割烹料理店なので着物で接待しなくてはならない
- 旅館で働くのに着物を着なくてはならない
などお仕事で必要な方たち。
(ただし、着なければならないとしているのはあくまでお店の都合)
また和のおけいこで指導する立場の方もそうでしょう。
ほかに、着なければならない立場の人としては、
- ご主人のお付き合いの関係上、着物を着なくてはならない
- 海外赴任にあたり、社交パーティーで着物を着なくてはならない
- 和のおけいこの発表会で着なくてはならない
という方もいらっしゃいます。
日本特有の伝統行事や日本の季節・技術を伝承する仕事に関連のある方、また日本を代表するというような場合ですね。
儀式・卒業袴のファッション化
◆女性の袴姿
儀式の中での着物でも、「卒業式の袴」はおしゃれのための要素が大きくなりました。
振袖と袴を合わせて、刺繍や色目も一段と華やかになっています。
女学生の清楚さとは程遠い、すでにファッションとして定着しているような感がありますね。
着物をファッションといて楽しみたい人
◆カジュアルな小紋の着物の若い女性
さて儀式ではなく、着物を着ることそのものを楽しんでいる方もあります。
- 「変身願望をかなえたい」
- 「日常と離れたおしゃれを楽しみたい」
こういう方は純粋に着物を楽しみたい、ファッションとしてとらえている方ですね。
ファッションとして楽しむ着物
- 美術館や食事会など特別なお出かけは着物で
- レセプションやパーティーに着物で
- お出かけ全般に着物を利用
自分の楽しみのお出かけや交友関係をはぐくむときなどに、着物を利用する方たち。
ファッションとして着物を着るなら、自分が楽しめればよいのです。
その場に合うかどうかは大切な要素ですが、自由な発想でおしゃれをすればよいですね。
ファッションとして楽しむ着物の種類
◆紬着物 紅型の名古屋帯
ファッションとしての着物は、いわゆる「おしゃれ着」といわれるキモノを利用します。
<おしゃれ着の例>
- 浴衣
- 小紋の着物
- 紬の着物
- 木綿の着物
- ウールの着物
- 小紋柄や格子柄の洗える着物
プライベートな時間を過ごす、かしこまらないきもの
です。
ショッピング、ランチ、コンサート、美術館、演芸会、和のおけいこなど。
レトロなきものをファッションとして
◆昭和初期・獅子の刺繍の名古屋帯
キモノファンの中に、レトロなキモノが好きな方たちがいますね。
大正や昭和の初期に流行っていた、モダンな柄で面白味のあるキモノは個性的です。
柄の半衿をたっぷり出したり、おはしょりをとらない着方などもいいでしょう。
より自由度の高いおしゃれが楽しめるでしょう。
和洋がミックスされた着物を楽しむ
キモノをもっとくだけた衣料としてファッションとして、楽しんでいる人も増えてきました。
例えば
- Tシャツとジーンズに、羽織や長じゅばんを羽織る
- 洋服の上にキモノを羽織ってベルトを締める
- キモノに靴をはき、マフラーや帽子など合わせる
- キモノを膝下あたりの丈で着て、太いのベルトや長いブーツを合わせる
など。
一般的な着物の着方は関係なく、「柄」「模様」「色」の珍しさを遊ぶという感じですね。
こうした楽しみ方にルールはありません。
着物をなぜ着るの?儀式のきものとファッションのキモノ・まとめ
着物は伝統的な儀礼や冠婚葬祭の場で、日本の衣装文化として残ります。
私たちは着物を着ると日本人としての意識(自覚)がめざめたり、伝統をまとう感覚などがわいてきたりします。
人によりそれが、誇りであり美意識といえるかもしれません。
また伝統を残したいという自然な気持ちの表れかもしれません。
若い方にとっては馴染みがうすくなりつつあるかもしれませんが、
数十年前までは着物は日常に着るものでした。
これからは「ファッションとして楽む」文化も進化するでしょう。
着物はあくまで着るもの。
着物が着たい、きものが好きという気持ちは私たち日本人の心に刻まれているのではと思います。
<関連ページ紹介>
◆着物でおでかけ・どこに行ったらいい?
◆着物のメリットデメリット
◆おしゃれ着物の講座
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