着物の袖の丈、女性の着物の袖丈についてお伝えします。
現代一般的な袖丈は、
丈が約49センチ(一尺三寸)、たもとの角の「丸み」が2センチです。
※袖の長さというと、背の中心から手首までの袖の長さをいうことが多いですが、そのばあいは「裄(ゆき)」といいます。
ここでは女性の着物の袖丈についてお話します。
女性の着物の袖丈の歴史
和服の袖丈は、時代や流行、また着る女性の年齢や結婚の有無などの社会的な背景によって変化してきました。
特に女性のきものの袖丈は、時代の変遷とともに大きく変化してきました。
主に未婚の女性の袖丈の変遷をとりあげてみていきます。
江戸時代
江戸時代中期には、若い未婚の女性のきものの袖丈は非常に長く、地面につくほどの「ふり袖」と呼ばれるものが流行していました。
しかし、結婚すると袖丈が短くなるのが一般的でした。
明治時代
明治時代に入ると西洋文化の影響を受けて、衣服全般にシンプルなトレンドが広がりました。
この時代には、袖の丈は短めのものが主流となりました。
しかしながら、正式な場や舞台では、伝統的なふり袖が着用されることもありました。
大正時代
大正ロマンと称されるこの時代には、新しい文化や芸術が流入し、和洋折衷のスタイルが流行しました。
袖丈も再び長くなり、特に若い女性の間で「大袖」が人気を博しました。
昭和時代
昭和時代は長く、その間にさまざまな流行が出現しました。
初期には大正時代の流れを引き継ぎ、袖丈が長いものが好まれました。
しかし、戦後の高度経済成長期に入ると、ライフスタイルや価値観が大きく変わり、実用的でシンプルなデザインが主流となりました。
袖丈も比較的短めのものが一般的となっていきました。
このように、和服の袖丈は時代や社会の背景、女性の生活様式や価値観の変化に合わせて進化してきました。
現代では、袖丈は自由に決めてよいのですが、一般的な袖丈49センチを選ぶ人がほとんどです。
大正時代や昭和時代のものは、アンティークとして入手することができるので、長いものを好む人が利用されています。
袖のたもとの「丸み」は好みで変更
◆着物の袖のたもとの角
袖のたもとの角を「丸み」といいますが、仕立てのとき好みの大きさにすることができます。
普段着では4センチ、8センチ12センチなどに変更可能です。
丸みが大きいとやわらかい雰囲気が出て、汚れがつきにくくなります。
ただし礼装の着物は、丸みは2センチで仕立てます。
袖丈も好みで変更できる
「袖丈」は標準が49センチ(一尺三寸)ですが、好みの丈で仕立ててよいです。
何も伝えないと一般的なサイズになります。
昔は自分の好みと流行で袖丈が変化しました。
大正時代の着物は長いもの(55センチ~65センチほど)が多いです。
バランスのよい袖丈はどれくらい?
袖丈は身長との関係で、見た目のバランスがよいかどうかを考えるとよいでしょう。
最も見栄えのよい袖丈は、
着物を着て手の力を抜いて自然におろした状態で、指先が袖の底と同じくらいの丈です。
あくまで自分の好みで袖丈は決めることができます。
元禄袖について
袖は他に「元禄袖」と呼ばれるタイプがありますが、
これは袖丈が40cmくらいまでで、袖口から斜めになった活動的なタイプです。
活動的なので普段用の着物の袖として用いられていましたが、今ではあまり見かけません。
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