現代の着物は袖丈が似通っていますが、時代の古い着物を着こなそうと思うと、
袖丈が違うことはよくありますね。
そんなときは「付け替え袖」を利用すると便利。
どんな袖丈の着物にも対応できるので、おしゃれの幅が広がります。
「付け替え袖」別名「うそつき袖」の作り方をお伝えします。
ただ「付け替える」手間はかかります。
それでは、用いる生地やつけ方をお話していきます。
「付け替え袖」は便利で合理的
「付け替え袖」は、長じゅばんや半じゅばんの袖を付け替えるための袖。
胴の身ごろの部分と別の生地になるので、「うそつき袖」とか「うそつき」ともいわれます。
自分の好みの生地を見つけてお試しくださいね。
より合理的なのは半じゅばん
長じゅばんに「付け替え袖」をつけるのはもちろんよいです。
でもさらに合理的に着物ライフを楽しむためには、半じゅばんに「付け替え袖」をつける方がよいでしょう。
半じゅばんは、身ごろは「さらし」などの木綿で吸湿性がよいものが多いです。
洗いやすく扱いやすいため、きもののおしゃれがしやすいと思います。
※「付け替え袖」は、普段用のきもの~おしゃれ着としての着物に利用してください
付け替え袖(うそつき袖)の生地、素材について
付け替え袖(うそつき袖)を作るにあたって、どんな生地がよいでしょう。
基本は「着物の素材に合った生地」です。
和装用の生地だけでなく、洋服の生地で作ってもOKです。
あなたが作ろうとしているのは、どんな着物でしょうか。
その着物の素材に合った生地が相性がよいです。
<着物の素材にあった生地・具体的には>
- 絹生地の小紋や紬・お召には、絹や絹に似た光沢のある素材
- 小紋は淡い色のもの、紬やお召しは淡い色濃い色どちらもOK
- ウールの着物には、薄いウール生地、化繊、木綿
- 洗える着物の普段着用には化繊、色目は何色でも
- アンティーク着物には、絹か光沢のある素材ではっきりとした色柄または無地
付け替え袖(うそつき袖)の作り方
では実際に付け替え袖を作ってみましょう。
<必要なもの>
- 反物の場合= (出来上がり袖丈×2+10センチ)×2
- 洋服生地の場合=上記と同じ寸法に、袖幅の縫い代(左右分で約4センチ)分をプラス
- 縫い糸
- 縫い針
- 糸切りばさみ
- アイロン
- ものさし
- まち針
※反物の幅は36~38センチくらいです。
<出来上がりの袖丈と袖幅>
- 「出来上がり袖丈」は、着物の袖丈と同じか1センチ長めまで
- 「出来上がり袖幅」は、着物の袖幅より1~2センチ狭い出来上がり
作り方・最初に袖丈を仕上げる
◆外表に半分に折る
最初に袖丈を仕上げます。
底を袋縫いします。
袋縫いのやり方
生地を表にむけて半分に折り、「わ」(折り目のところ)が肩山です。
袖の底から0.5センチに印をつけ、
◆袖の底から5ミリのところを縫う
3~4ミリの針目で、真っ直ぐ縫っていきます。
ここでは手縫いしています。
わかりやすいように黒い木綿糸を使っていますが、生地の色と似た色の糸を使ってください。
縫い目にアイロンをあててから、縫い目のところで折りアイロンをあてます。
裏に返します。
肩山を左にして置いて、肩山から「出来上がり袖丈+0.2センチ」のところを測ります。
◆片山から「出来上がり袖丈+0.2センチ」に印
肩山から「出来上がり袖丈+0.2センチ」のところに印をつけます。
今つけた印のところを、端から端まで真っ直ぐ縫い、
◆縫い目から0.2離れたところにアイロン
そこから2ミリ離れたところを折って(2ミリきせをかける)、アイロンをあてます。
◆縫い代の端を縫い留める
縫い代がずれないよう、端の近くで1~2針縫い代を本体に留めます。
これで袖底の袋縫いができました。
もう一枚も同じように底を袋縫いする
◆二枚とも底の袋縫いができた
もう一枚も同じように、袖底を袋縫いします。
これで袖丈の始末ができました。
このあと袖の幅になる両端を始末していきます。
底の縫い代を倒した方が、前側になります。
袖幅の始末・表側に小さい針目を出してくけていく
袖幅は、着物の袖幅より1~2センチ狭い出来上がりになるようにはかってください。
両端を三つ折りにして縫います。
三つ折りの幅は5~8ミリくらいが適当です。(縫い代が2センチとってあるのでその範囲で三つ折りします)
反物なら片方が「みみ」のままを使ってもかまいません。
洋服生地の場合も、一方に「みみ」を使えば三つ折の必要はありません。
表側は小さな針目になるようにして(1~2ミリ)、周囲を縫います。
裏側は、糸がでないように縫うのが和裁の縫い方です。
でも見える部分ではありませんので、あまり気にせずに行なってください。
片方ができたら、もう片方も同じようにしてください。
前後がわかるよう背中側に縫い糸で印を
◆背中側に糸で印をつける
袖の前後がわかるように、背中側に縦に糸で印をつけておきます。
ここでは黒い糸で数センチ印をつけました。
これで左右の袖を間違うことはありません。
袖口24センチにかんぬき止め
最後に袖口の上から24センチのところに印をつけます。
◆「かんぬき止め」をする
そこに、「かんぬき止め」をします。
左右ともに行ってください。
「かんぬき止め」の方法はこちら
※「かんぬき止め」は破れが生じやすいところに施しますが、面倒なら3針ほど縫うだけでも。
これで付け替え袖ができあがりました!!
付け替え袖を取り付ける方法
それでは「付け替え袖」を取り付けましょう。
取り付け方はいくつかあります。簡単なものをおつたえします。
取り付けの一番簡単な方法
一番簡単なのは、このまま着物の袖の袖山に直接縫い付ける方法
です。
(裏地があるときは裏地の袖山に直接縫い付けます。)
着物ごとに「付け替え袖」を取り付けてしまっておくわけです。
ただ、たくさん数は必要になります。
お手持ちの着物の数が少ない方は、これでいいでしょう。
いくつかの着物に対応させる方法
複数の着物に応用がきくようにするには、付け替え袖に「つなぎ用の小布」を取り付けておきます。
◆つなぎ用の小布
小布の大きさはできあがり 長さ25センチ幅6センチほどで作って、付け替え袖に取り付けておきます。
写真のものは、木綿の白い布です。
小布を袖にとりつけたろこと
◆小布を付け替え袖につけた
小布の中心を付け替え袖の肩山と合わせて、付け替え袖に1センチかかるようにして縫いとめます
。
これを、その都度じゅばんの袖付けのところに縫い付けます。
その他の取り付け方
その他付け替え袖をじゅばんに取り付ける方法として
- スナップボタンを数か所取り付ける
- マジックテープで取り付ける
という方法でもよいので、お試しください。
利用する頻度や着物の数によって、自分に合うよう利用してください。
管理人のお気に入りの付け替え袖(参考)
これは私の気にいっている付け替え袖です。
素材は化繊です、ウールや洗える着物のとき利用しています。
着物が地味なときは、明るく派手めのものが気分アップにつながります。
着物の付け替え袖 うそつき袖/簡単な作り方と付け方/生地/ 画像付き・まとめ
袖丈の違う着物に対応できる「付け替え袖(うそつき袖)」の作り方を解説しました。
着物の素材と合わせると、着心地もバランスもよいです。
長じゅばんに取り付けても、半じゅばんに取り付けてもOKです。
絹生地で作るときは、手縫いがおすすめ。
仕上がりがきれいですよ。
<関連ページ紹介>
◆丸ぐけ帯締め(まるぐけひも)の作り方
◆帯下締めの作り方・着物のウエスト補正
◆伊達衿の作り方・自分で作る・画像と手順
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