◆かんぬき止めの例
この写真はウールのひとえの着物の左袖の袖付二か所と、身八つ口止まりの「かんぬき止め」のしてあるところです。
「かんぬき止め」は動きの激しいところの生地が破れないように、また縫い目がほつれないようにする和裁の縫い方のひとつです。
- かんぬき止めをする理由
- かんぬき止めをする着物の種類
- かんぬき止めのやり方詳細
- きものが破れた体験談
についてお話しますね。
糸だけでなく着物生地が破れるのを防ぐ
普段着の着物を着て家事をしていると、腕をよく動かしますね。
腕の動きが激しいと、脇のところに負担がかかりやすいです。
女性の着物は、脇が開いていて案外動きに対応しやすいのですが、負担もやはりかかります。
それでうっかりすると、ここがビリっと破れてしまうことがあります。
ビリッとした破れの音が、縫い糸のものならいいのですが、裏生地や表生地が破れたとなると大変です。
そこで糸の破れだけでなく生地の破れ防止のために、「かんぬき止め」をしておくわけです。
かんぬき止めをする着物の種類
「かんぬき止め」を施すとよいのは、主によく着る長じゅばんと着物
です。
単衣(ひとえ)袷(あわせ)関係なく、よく着るものに施すとよいです。
私は他に、コートや羽織にも自分で「かんぬき止め」をしています。
理由は、袖付けがしっかりとめていない場合があるからです。(自分はあまりしとやかでないということもありますが。)
袖付けの糸が破れるにはかまわないのですが、生地が破れてしまうと直しようがありませんからね。
高級着物は「力布」がありますが
高級な着物には、袖付けに「力布」がつけてあることもあります。
ですがおしゃれ着の小紋クラスの着物くらいまでは、力布はついていないようです。
袖付け部分には力布を取り付けるのが一番よいですが、高度な技術が必要なので、素人にはむつかしいです。
なので紬や小紋の着物をよく着る人は、「かんぬき止め」を施して生地の破れを予防しておくのもよいと思います。
かんぬき止めのやり方を詳しく
では「かんぬき止め」の縫い方を説明しますね。
◆裏側から針をいれる
ここでは身八つ口止まりのところの「かんぬき止め」を行います。
最初は裏側から針をいれます。
◆脇の線を越して表から針をさす
脇の線を越して表から針をさします。
この間は5ミリから1センチ弱くらいです。
◆最初に針をさした同じところに針を出し糸を巻く
そして最初に針をさしたところと同じ場所から、針を出し糸を巻きます。
出ている糸を針に7~13回ほど巻き付けます。
◆糸引き抜いたら手前にたおしながら糸を引き締める
そして針を引き抜いて、糸を手前に倒しながら糸をキュっと引き締めます。
糸を引き締めて緩みがないようにして、二度目に針を刺した場所に針をさして終わります。
裏で玉止めをします。
完成です。
◆かんぬき止めの裏側
かんぬき止めの裏側の様子です。
ここではわかりやすいように白い糸で行いましたが、着物の表生地と似た色の糸を使ってくださいね。
ウールや絹生地の着物には、絹の縫い糸がよいです。
糸は一本どりでOK。
慣れれば1分でできます。^^
参考例・コートの袖付けのかんぬき止め
これはコートの右袖の袖付のところのかんぬき止めです。
生地と同じ色糸の絹糸でやっています。
きもの生地を破いてしまった苦い経験
着物にあまり慣れていないころのことです。
上がりかまちのところで裾を踏んでしまい転びそうに。
そのとき脇のところにビリビリっという音がしました。
幸い転びはしませんでしたが、踏ん張った腕の脇を見てみたら表生地と裏生地が、縫い目に沿って引き裂かれていました!
縫い糸は強かったみたいで、絹の薄い生地が耐え切れずに破れてしまったのです。(>_<)
このにがい経験から、かんぬき止めの必要性を痛感。
その後、普段用に着るウールや化繊、木綿の着物などは、特にしっかりとかんぬき止めをしています。
かんぬき止め 手縫いのやり方/和裁/着物に長襦袢に/画像付きで詳しく説明・まとめ
かんぬき止めをしてあるおかげで活発に家事をしても、脇の縫い糸さえ破れそうになったことはありません。
「かんぬき止め」の威力はすごいです。
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