着物の裾や袖口は傷みやすいので、補強をすると着物が長持ちします。
その補強のためにあるのがガロンテープ(ガロンレース)というものです。
着物の傷みやすいところにあらかじめつけておいて、傷みを予防する布のテープです。
主に紬やお召しの着物に取り付けます。
着物の傷みやすいところ、つまり擦れるところで、裾や袖口の内側につけるものです。
そもそも裏地のある着物には、裾にも袖口にも「ふき」という少し裏地を出して仕立ててありますね。
ですから先に裏地が擦り切れて表生地を守ります。
ですが裏地も擦り切れを予防したいという場合に、ガロンテープ(ガロンレース)は大変有効です。
ガロンレースをつけておくと、裏地が長ーくもつので大助かりです!
擦り切れ防止用のガロンテープ
主に紬やお召の着物に、擦り切れ防止として使われるガロンレース。
一番擦り切れやすいのは、着物の裾でしょう。
着物の裾はかかとや草履が頻繁にあたるので、生地が傷みやすいです。
裏地の「八掛け」が擦り切れると、その内側に入れてある白い(補強用の)布が見えてきます。
ガロンレースで予防しておけば、ガロンレースを取り換えるだけで済むのでとても経済的です。
ガロンレースのサイズ
ガロンレースは布製で、長さは、裾と袖口に取り付けられる長さで、2メートル40センチくらい、幅は2.5~3センチほどです。
レース模様があります。
ガロンテープ(レース)の取り付け方
では実際に取り付けてみましょう。
例にした着物は、紬の着物です。
まず裾への取り付け方から
◆ガロンテープ(レース)を着物の裾に取り付けたところ
つま先のギリギリのところから始めます。
ガロンテープの先端を1センチ内側に折り曲げて、裾と同じか1ミリ出る程度に合わせて、まずつま先のところを縫い付けます。
裏生地の八掛けとガロンテープのみを縫い、着物生地には縫い目が出ないようにします。
ガロンテープも縫い糸も、裏地に近い色で。
◆ガロンテープ(レース)を裾に取り付けているところ
裾の端にガロンテープが取りついたら、あとは裾に沿って3ミりあがったところをずっと縫い付けていきます。
もう一方の端にきたら最初と同じく、1センチ内側に倒し余分は切り離して縫い付けます。
その後テープの上側のギリギリのところを、同じ針目で端から端まで縫います。
縫い目について
縫い目は2センチほどでよいですが、できれば糸をテープ側にあまり出さないように縫ってください。
(写真のものはガロンテープ側に糸がたくさん出ていますね、最初はこんな感じでOKです。)
一部のみつける方法でもOK
八掛けの色が表生地と違う、あるいはつま先まで取り付けると、ひるがえってたときテープが見えてイヤ、という場合は、
上前のおくみと前幅の裾は、ガロンテープをつけないようにしてもよいです。
次に袖口への取り付け方
◆ガロンテープ(レース)を袖口に取り付けている
袖口は、袖口の始まりからぐるりと縫い付けます。
はじめはガロンテープの端を三角に内側に折り曲げてほつれを予防します。
テープの端を袖口に同じか1ミリ出る程度に合わせて、縫い付けていきます。
袖口の端から2~3ミリのところを縫っていきます。
縫い終わりも、始めと同様にしておきます。
◆袖口にガロンレース(テープ)取り付け完了
そしてもう一周、テープの奥の端に近いところを縫っていきます。
これを左右の袖口に行います。
裾のときと同じように縫い目は2センチほどで、できれば糸をテープ側にあまり出さないように縫うと、糸が傷みにくいです。
袖口にガロンテープを取りつけた様子
◆ガロンテープ(レース)を袖口に取付完了・表から
これは袖口にガロンテープを取り付け後、表から見たところ。
袖口にわずかにテープが出るよう取り付けました。
1ミリ出ているくらいがよいかと思います。
裾が擦り切れた場合のお直し方法
ガロンテープは擦り切れそのものを予防したり、擦れ始めに取り付けて悪化を防ぐものですが、
着物の裾の擦り切れそのものを直すこともできますので、その方法を紹介します。
- 八掛の天地替え
- 八掛けの取り替え
- 裾と八掛けを縫いこむ
1・八掛の天地替え
「天地替え」は八掛けの裾の擦り切れを直す方法として、いったん八掛けを取り外して、上下を入れ替えることで修理する方法です。
お直しの方法としてはこれが一般的だと思います。
天地替えを想定して、八掛けの天(上部)は縫い代がたくさんとってあることが多いです。
柔らか着物などは「天地替え」をするのが一般的です。
2・八掛けの取り替え
また八掛けそのものを付け替えるということもあります。
1の天地替えができない場合や、この際もっと気にいった八掛けに取り替えたいというときに、八掛けそのものを新に取り替えます。
合わせて袖口の裏地も替わります(替える)。
八掛けを替えると着物の雰囲気も変わります。
3・裾と八掛けを縫いこむ
八掛けの裾の擦り切れを直す方法として、裾と八掛けをほどいて1~2センチほど縫いこむという方法もあります。
裾を少し上までほどいて、1~2センチ擦り切れのないところまで折り上げて、もう一度裾を作ります。
裾だけの痛みの場合はこの方法で直すことができますが、折りあげるためその分丈が短くなります。
身丈が十分あって少々短くなってもかまわない場合は、この方法がお直しとしては一番簡単でしょう。
いずれも和裁の技術がないとできないので、専門家に相談してください。
ガロンテープ(レース)はどこで売っている?
ガロンテープは着物用品なので、呉服屋さんにはあるはずと思うのですが、販売していないお店もあります。
現代では日常的に着物を着る人も少ないので、新たに製造されていないのかもしれません。
和裁のイベントや骨董市が有力
以前手芸用品を扱うお店ならあるかしら?と何件か探したことがありますが、販売されていませんでした。
百貨店で、京都展などの和装品が展示されるイベントに出かけた際、見つけたことがあります。
また骨董市で、アンティーク着物を扱うお店で以前見つけて、急いで購入したこともあります。
今売っているお店は少ないようですね。。。
ネットで見つけたガロンテープ(レース)
インターネットで探したら、一店舗だけ見つかりました。
お値段はひとつ500円前後。
ガロンテープ(レース)の代用品何がある?
なかなか入手できないときは、代用できるものを利用するのもよいと思います。
縁取り用のきれいなテープなどあれば代用を考えてみましょう。
擦り切れ防止が目的なので、表側にはほとんど見えないように取り付けるわけですからね。
ただ袖口はよく見える場所なので、そこには気を使った方がよいですね。
<代用・手芸用テープ>
◆手芸用テープの赤、取り付けました
これは1.5センチほどの幅の赤い手芸用のテープを使い、裾に取り付けた様子です。
細いので中心と、上端を縫い付けました。参考までに。
着物の裾や袖口の補強/ガロンテープ(ガロンレース)とは/取り付け方/代用品・まとめ
ガロンレースをつけておくと裏生地の擦れを防いでくれるので、裏生地の取り換え頻度が減らせ経済的です。
自分で取り付けられるので、私の方法をお伝えしました。
着物のふきと同じ位置か、1~2ミリでた位置で取り付けるのが一般的。
レースをたっぷり出して取り付け、おしゃれとしている人もあるようです。
ガロンテープが入手しにくいときは、手芸用のテープでも十分代用できるかと思います。
<関連ページ紹介>
◆かんぬき止めのやり方・手縫い・和裁・画像付きで詳しく解説
◆共衿の付け替え・汚れた共衿を自分でお手入れ
◆女性の半衿のつけ方(広衿)・コツは?誰でもできる画像で詳しく
コメント