着物の「共衿」は、着物の地の衿にかけてある長さ90センチほどの衿です。
そのため「掛け衿」ともいいます。
「共衿」は反物から着物を仕立てるときに必ずできる布です。
「共衿」がある位置は、着物のなかでも汚れが付きやすいとろ。
もし汚れたら、共衿をはずして自分でお手入れしてみませんか。
「はずす」「洗う」「もどす」を順をおって説明しますね。
共衿(掛け衿)の取り外し
共衿(掛け衿)の取り付け方は二種類あり、ここで説明しているのは、地衿に後から取り付けている場合(共衿だけ単独でとりはずせる)です。
共衿を取り外す
この緑色の紬の着物の、上前の衿にシミがあります。
赤い糸で囲ってあるところです。
まずは共衿を取り外します。
共衿の縫い代を折りこんで、地衿に平たくのせてあります。
糸切ばさみやリッパーで、取り付けてある糸を切ります。
糸はすべて取り除きます。
シミ汚れを落とします
共衿のシミや汚れを洗って落とします。
- 中性洗剤を利用して、水かぬるま湯でやさしく手洗い
- 局部の汚れは、柔らかいブラシを利用して洗剤をたたきつけるようにして落とす
- その後よくすすぐ
- タオルで水気を吸い取り、中温でアイロンをあてる
縮緬やお召は特に縮みやすいので気をつけてください。
共衿なしの着物姿
これは共衿をとった状態で、着付けました。
共衿なしでも、着ていてそんなに違和感がないと思います。
共衿を肩にかけてみました
共衿を肩にかけてみました。
折山のところも汚れていますね。
洗ったけど汚れ取れません
洗ったのですが、シミ汚れがとれませんでした。(>_<)
でも全体にさっぱりはしました。
共衿(掛け衿)を取り付けます
汚れが取れれば、そのまま取り外したときと同じ位置で取りつければ完了です。
がこの場合はシミ汚れがとれなかったので、180度布を回転させてから取り付けます。
こうすることで、上前で見えていた汚れの場所が下前の内側に行きます!。
つまり見えない場所に隠すことができます。^^
縫い代の折り目をつける
短い辺を2センチ折ってアイロンで折り目をつけます。
長い辺の一辺を、1センチ折ってアイロンで折り目をつけます。
新しい取り付け位置
新しい取り付け位置はこうなります。
シミ汚れのあったところは、下前の内側になります。
共衿の取り付け・着物の表中心から
表側の着物の背中心に、長い辺の中心をあわせ待ち針をうちます。
その左右10センチのところに待ち針をうちます。
衿先にむかって、2~3本待ち針をうちます。
こうすると、赤い糸で囲ったシミのところが、下前の見えないところになりますね。
赤い糸で囲ったところの端がここです。
下前の奥の方に、シミの位置が変わりましたね。
衿内側の長い辺を地衿に合わせる
その後、折り曲げて内側になる衿の長い辺の方を、地衿に合わせて余分を折り曲げアイロンを当てます。
そこに待ち針をうって、周囲をグルりと縫い付けていきます。
表側に糸が出ないように縫います。
共衿の縫い代の1ミリ、地衿は1ミリ~2ミリ控えて縫います。
共衿の両端は、3~5ミリ控えて縫います。
こうした糸の見えない縫い方を和裁では「くける」といいます。
針目は5ミリから1センチで。
衿の内側、シミの印付近をくけている
衿の内側になったシミの付近をくけているところです。
取り付け完了!
取り付けできました!
白い木綿の縫い糸を使っていますが、くけてあるので表から糸が見えませんね。
これでまた、何事もなかったような着姿に戻りました。
紬の場合は裏も同じはずですので、裏側にするのもありです。
昔はきっとこうした共衿の付け替えをしつつ、最後は共衿なしでも着ていたのではと思います。
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