帯のシワのとり方(伸ばし方)、アイロンのあて方をお話します。
帯といっても礼装のときの帯から浴衣の時の帯まで、
素材の違いや芯のありなしなど、種類がいろいろとあります。
またシワをとるにあたり、種類により注意したいこともあります。
帯のシワのとり方を中心に、お手入れ全般のお話です。
帯のシワをアイロンでとる前に
◆ハンガーに帯をかけて湿気とり
体温と湿気をとりホコリをはらう
帯を脱いだらまずハンガーにかけ日光のあたらないところで2時間以上おきます。
こうして体温や湿気を取り除いてから、汚れがないかどうか見てみます。
どの帯もまずホコリをはらっておきましょう。
◆着物(和装)ブラシ・ほこり取り
- 柔らかい木綿の布
- 毛足の柔らかいブラシ
を利用してそっとぬぐい、ホコリをはらっておきます。
汚れが付きやすいところをチェック
知らぬ間に帯に汚れがつくことがあり、必ずチェックしておきたいのはこの二か所。
- 胴帯の前にくるところ
- お太鼓のところ
長時間お出かけしたときは、よく見て汚れがついていないことを確認しておきます。
帯のシワをとる方法・しわ伸ばし
◆袋帯で変わり結び
華やかな帯結びをすると、どうしてもシワがついてしまいます。
帯を折る・つまむ・しばるなどでついたシワ。
まずはアイロンをかけないでとるようにします。
アイロンをかけずにシワをとる
名古屋帯・袋帯、アイロンをかけずにシワをとる
最初からアイロンをかけるのではなく、おおまかなシワはこんな風にしてとることができます。
- シワのある帯の表側に白い木綿の薄手の布を置き、手のひらでなでる
- 名古屋帯・袋帯は、通常通りたたみたとう紙につつみ、座布団をのせるまたは他のたとう紙に包んだ帯などを上に重ねる
浴衣帯・半幅帯、アイロンをかけずにシワをとる
浴衣帯・半幅帯は、二分の一の長さにしてから巻きます。
◆浴衣帯・半幅帯は巻く
こうしてたてて置いておけば、浴衣帯・半幅帯のシワは、ほとんどとれるはずです。
帯にアイロンをあててシワをとる方法
それでも気になるシワが残る場合、最初からアイロンでとりたい場合のアイロンのかけ方を紹介します。
初めてアイロンをあてる帯は、以下の順でお試しくださいね。
- 裏側から「あて布」をして中温でかける
- それでシワが取れない場合は、あて布に霧をふいて帯にのせそこにアイロンをあてる
- それでもとれないときは、表側から1の作業、2の作業をする(目立たない場所で色が変化しないのを確かめてから)
<アイロンをあてるときの注意点>
- アイロンは軽く押す程度の力ですばやく動かす
- 刺繍や金銀箔は特に注意してそっとかけるかまたはかけない
(※絶対大丈夫とはいえないので、自己責任でお願いします)
帯は洗わない方がいいのかどうか
◆しゃれ袋帯で二重太鼓
帯は衣類とはいえそう汚れるものではないので、帯は基本的には洗いません。
ですが近年洗いの技術がすすんで、引き受けてくれるお店も増えています。
気になる方はクリーニングに出すのはよいのですが、
帯は素材や織りが複雑なので、着物クリーニングの専門店に依頼してください。
帯を洗わないのはどうしてか
「帯は洗うもんじゃないよ」と聞いたことがあるでしょうか。
帯には芯の入ったものが多く、素材や織りが複雑です。
帯を洗わない方がよい理由は以下のことが考えられます。
- 袋帯や名古屋帯の絹の素材は水を含むと収縮しやすく形がくずれやすい
- 綿や麻の素材も水分の吸収で収縮がおこることがある
- 洗うことにより帯芯がぬれると乾きにくいため、保管中のカビ発生につながる
- 帯と帯芯の収縮率が異なると、帯芯がはがれる・帯にシワがよるなど、取り返しがつかなくなることがある
- 絞りは見た目が損なわれることがあり、刺繍糸から染料が出ることがある
という理由で、昔は帯をそのまま洗うことはまずなかったようです。
帯を解いて、芯や生地を別々に洗い、再度仕立てることはありました。
浴衣帯は洗う?
◆リバーシブルの浴衣帯
浴衣帯なら洗えるかといえば、メーカーが洗えると表示しているものだけ洗いが可能でしょう。
そうでないものは、型崩れや収縮がおこることがありえますので、自己責任でお願いします。
また形ができあがっている「作り帯」は、変形しやすいのでやめた方がよいです。
帯の汚れ・シミはどうする?
帯についた汚れやシミは、「悉皆や」や着物クリーニングの専門店に依頼します。
そのまま任せると「丸洗い」(いわゆるドライクリーニング)で終わる可能性があり、ピンポイントの汚れやシミがとれないことがあります。
必ず「染み抜き」をしてもらうようにしましょう。
その汚れやシミが、どんな種類のいつついた汚れ・シミなのかを必ず伝えましょう。
刺繍のほつれの直しについて
◆刺繍のあるアンティーク帯
刺繍のある帯は、小さなきっかけで刺繍の糸がほつれることがあります。
補修できることがあるので、悉皆やさんか呉服屋さんに依頼してみましょう。
帯の保管・注意したいこと
保管は湿気のたまらない家具に収納します。
桐のたんすが望ましいですが、他の木製家具、プラスチックの収納ケースなどもOKです。
天然繊維の帯は、たくさん積み上げて入れっぱなしにすると湿気がたまりやすいです。
湿気はカビの原因になったり、染色の変化をおこすことがあります。
そこでこんな注意をはらいながら保管してください。
<帯の保管・収納の注意点>
- ビニール製の袋には入れない
- たくさん積み上げない
- 年に2~3回は取り出し乾燥した空気にあてる
帯のシワ取り しわの伸ばし方・アイロンのかけ方と保管するときの注意・まとめ
帯のシワは「あて布」を用いて中温でアイロンのがけ。
帯は基本洗いませんが、クリーニングできるお店も増えてきました。
気になるシミや汚れは、着物を扱う専門店に依頼を。
帯も着物と同様湿気を嫌います、時々に乾燥した空気にあてましょう。
<関連ページ紹介>
◆麻の帯のシワ取り方法
◆帯のたたみ方
◆小袋帯とは・半幅帯との違い・袴下に結ぶ結び方
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