◆夏用着物と麻の半幅帯
麻の帯は、通気性がよくさらっとした心地が魅力。
夏には欠かせない素材ですが、使用後にシワがたくさんできますね。
吊るしておくだけではシワが解消することはないので、しまつが大変。
それを敬遠してか、麻の帯は人気がいまひとつのようです。
そこで今回は麻の帯のシワとり、アイロンのあて方を中心にお話しますね。
シワがくっきり!麻の半幅帯のシワ取り方法
◆使用後深いシワがついた麻の半幅帯
これは先日使った麻の半幅帯です。
5時間ほど締めていた帯を解いてみると、折り目がくっきりとシワになって残りました。
これだけ見ると「ああ、もうシワだらけ!アイロンかけなきゃ」と気分が下がります。
それでつい後回しにしがちですね。^^
すぐにアイロンをかけてもいいですし、数日あとにしてしまっても作業はほとんどかわりません。
アイロンをかける方法が一般的なので先に紹介し、後半で「寝押し」の方法も紹介します。
麻の帯のアイロンのかけ方・おすすめ
一番おすすめの方法は、湿布を使用する方法です。
アイロン台の上に麻の帯を置き、シワのできたところにあて布をします。
あて布は、のりを落とした白いうすでの木綿の布にしましょう。
布の上に霧吹きをかけ、麻の適温にしたアイロンをあてます。
布の湿気が均一に帯の生地に伝わりやすく、もっともおすすめの方法です。
※色落ちしやすいものがあるのでご注意ください
蒸しアイロン
アイロンのスチーム機能を使い、シワの部分に蒸気を当ててから押し続けます。
アイロン台の上でシワの部分をストレッチしながらアイロンをかけると、シワが取りやすくなります。
霧吹き
霧吹きでシワの部分を軽く湿らせ、自然に乾かすかアイロンをかけてシワを伸ばす方法もあります。
専用のスプレー
衣服用のシワ取りスプレーを使用することで、手軽にシワを取ることもできます。
麻の帯のアイロンの注意点
麻は高温に弱く、焦げやすいのでアイロンを使用する際は注意が必要です。
必ず低温設定から始め、必要に応じて徐々に温度を上げていくようにしましょう。
直接アイロンを当てる前に、素材の取り扱い表示があれば確認し、指示に従うようにしてくださいね。
麻の帯におすすめのシワとり「寝押し」
シワを取るといえばアイロンを使うと考えがちですが、麻の帯のシワをとるには「寝押し」もおすすめです。
「寝押し」というのは寝て押すという文字の通り、きちんとたたんで布団の下に置き、寝ている間に押さえられてシワがとれるという方法です。
中高生のとき、学生服のスカートのプリーツを整えるのに、敷き布団の下に挟んだことがあるかと思います、あの寝押しです。
シワをとる寝押しの具体的な方法
◆寝押しが済みもとに戻った半幅帯
では寝押しの具体的な方法を、
- 寝押しの前に「霧吹き」でシワがくっきりできているところに霧を吹く
- 四分の一の長さにたたみ、糊をおとした薄い木綿の布に挟んで敷布団の下に置く
今回は昼間4時間ほど布団に挟んで取り出しました。
それできれいにシワがとれていましたよ。
アイロンはいっさい使っていません。
取り出したとき、わずかに湿気が残っていたのでハンガーにかけ陰干ししました。
寝押しの方法、薄い板を使う方法
「寝押し」の方法で、より確実にシワをとる方法があります。
それは「薄い板二枚の間に挟む」という方法です。
その方がシワが取れやすいです。
面積の大きな板なら、麻の着物や紬の着物を寝押しするのにも利用できます。
半幅帯の場合は面積が小さいので、板の代わりに「白い厚手の紙」や「段ボール紙」でもいいでしょう。
霧を吹くので、印刷した紙や色のついた布はやめます。
寝るとき以外でもできる寝押しの替わり
また寝るとき以外でも、寝押しの方法はあります。
- 座布団を何枚か重ねて上に置く
- 座布団を一枚敷き自分がその上に座り重さをかける
要は適度な重さをかければよいのです。
麻素材の特徴・メリットデメリット
麻の素材は夏向きの優れた素材ですが、気になるところもあります。
メリットとデメリットをまとめましたので、お手入れの参考にしてくださいね。
麻素材のメリット
- 通気性がよく涼しい
- 軽くさらっとした肌触りである
麻素材のデメリット
- 摩擦に弱い(擦れると白っぽくなることがある)
- 染色しにくく色落ちしやすい
- 伸縮しにくい
- シワになりやすい
摩擦に弱いので、帯の結び目は次第に繊維が切れるような毛羽立ちが出てきます。
そのためあまり頻繁には使いたくないと感じます。
帯結びも一度で決めるようにしないと、擦れることで毛羽立ちが出てきます。
気になる点はあるものの、麻素材は夏の和装の素材として、涼感のある最適な素材です。
特徴を知って、おおいに利用したいですね。
麻の帯のシワをとる方法です/アイロンのあて方と寝押しのやり方・終わりに
麻の帯は使用後そのままではシワがとれません。
霧を吹きかけて寝押しすれば、ほぼ元の状態にもどります。
それでもシワが気になる場合は、あて布をして霧を吹きアイロンをあてます。
麻の和装品には、着物・帯・長じゅばん・半衿・帯揚げなどがあるので、特徴を知ってご活用くださいね。
<関連ページ紹介>
◆ひとえ着物・裏地のないきものの手入れ方法・絹とそれ以外で
◆浴衣/木綿の着物の手入れ・しわの伸ばし方・アイロンがけの順序とコツ・プロ直伝
◆正絹の着物・帯・帯揚げのアイロンのかけ方・しわのとり方を詳しく
コメント