◆着物のふり
着物の部分の用語で「ふり(振り)」についてお話します。
女性の着物の袖がつけてある下のあいているところを「ふり(振り)」といいます。
男性の着物の袖にはふりはなく、空いていません。
ここから長じゅばんの袖がはみ出ないように、気をつけます。
◆着物の各部分の名称
「ふり」は女性用の着物の特徴
女性用の和装全般に「ふり」があります。
着物だけでなく、長じゅばん、羽織、コート、浴衣にも「ふり」があります。
また、女の子の和装にもあります。
一般的な「ふり」の長さ/丈
一般的な女性の着物の振りの長さは、25~27センチです。
「ふり」の長さ(丈)は、袖の丈 マイナス 袖付けの長さで、
袖付けの部分の長さは、だいたい20センチから22センチあるので、
一般的なの着物の袖丈は、現代では49センチが標準のため、
「ふり」の長さ=49ー22=27センチになります。
「振袖」の場合も袖付けの長さ(丈)は同じ(20センチより短いことも)なので、
袖が長い分「ふり」の長さは長くなります。
「ふり」から見えるのは長じゅばん
体の動きによって、「ふり」からは長じゅばんの袖がときどき見えます。
着物に合わせて仕立てた長じゅばんなら、はみ出ることはありません。
長じゅばんの袖丈の方が着物より短いと、はみ出やすいです。
長じゅばんの袖の色柄はおしゃれのしどころ
◆絹の長じゅばん アンティーク柄
たまにちらりと見えるじゅばんの袖は、人目につきやすいので工夫したいところです。
わずかに見えた長襦袢の袖が、着物との相性がよい色柄なら、おしゃれ上手だと思われます。
初めは白の長じゅばんでも、慣れてきたら色や柄のついた長じゅばんを合わせてみましょう。
「ふり」から見える部分のために長じゅばんをあつらえるのは大変ということもあり、
身頃は白い生地で、袖だけをカラフルな生地で仕立てる長じゅばんもあります。
袖の長さが合わないときの工夫
アンティークの着物などは袖丈が長いので、普通の着物のときの長じゅばんでは袖丈が合いません。
着物に合わせてその都度長じゅばんを仕立てることができればよいですが、
そうでない場合は、じゅばんの袖のみをその着物にあわせて付け替えて利用してみてはどうでしょう。
付け替える袖を「うそつき袖」とよんでいます。
着物の袖山に直接小さな針目でじゅばん袖を付ける方法、
じゅばんの袖を、付け替える方法などあります。
うそつき袖の作り方
https://kimono-story.com/302.html
ふり・振りの雑学
◆長じゅばんのふりが短いとはみ出しやすい
人のふり見て我がふりなおせ
「人のふり見て我がふりなおせ」ということわざを聞いたことがあると思います。
このとき「ふり」は「行い」や「ふるまい」という意味で、
他人のよいふるまいは見習い、悪いふるまいは改めましょう。
という自分を戒めかえりみる言葉として使われます。
また「ふり」を先ほどの袖の下の「ふり」と解釈しての説もあります。
着物のふりから長じゅばんのふりが出ているのは、あまりよいものではないですし、
羽織から着物や長じゅばんのふりが出ているのも同じです。
他人の様子を見て、自分はそうなっていないかとかえりみる視点を絶えず持ちたいもの。
その意味で着物の「ふり」がことわざの語源だという説です。
感情表現としてのふり
◆歌舞伎座
着物の「ふり」は感情を表現するのに、芝居の演目などでは使われていました。
代表的な表現をみてみますね。
- 照れた時の顔をかくす
- 相手に好き嫌いを表現するときに振る(好きな時は左右、きらいな時は前後に)
- 悔しいときにたもとを噛む
袖そのものを感情表現として表す動作
日本の伝統的な舞台芸術、特に歌舞伎において、着物の袖(振り袖)は感情表現の重要な手段です。
演者は着物の袖を使って、以下のようなさまざまな感情や動作を表現します。
1. 喜びや興奮の表現:演者は袖を大きく振ることで喜びや興奮を示します。時には袖を高く持ち上げたり、早く振ることでその感情の強さを表します。
2. 悲しみや悔恨の表現:悲しみや後悔を示す際には、袖をゆっくりと落としたり、顔を覆うように使います。これにより、内面の感情の深さや葛藤を表現します。
3. 怒りや強い感情の表現:怒りやその他の強い感情を示す時には、袖を力強く振ったり、時には袖で物を強く打つような動作をします。
4. 優雅さや上品さの表現:物語性の高いシーンや静かな場面では、袖を優雅に、そして計算された動きで扱います。これにより、キャラクターの上品さや内面の感情を表現します。
5. 隠し事や内面の感情の表現:演者が顔を袖で隠すことで、秘密や隠れた感情を示すことがあります。これは、観客に対して直接的ではないが、非常に表現豊かな手法です。
これらの表現方法は、演者の技術と創造性によって多様化し、歌舞伎などの伝統芸能において独自の表現力を持つ要素となっています。
伝統芸能を観る機会があれば、そうした袖による表現の仕方を楽しんでみてください。
ふり 着物の振りとは何?どこの場所?振りの雑学と感情表現/着物用語・まとめ
着物の「ふり」は、女性用と女子用の着物にあり、袖がついているすぐ下のあいている部分をいいます。
現代の女性のふりの長さは、27~25cmが一般的です。
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