◆片身替わりの着物
着物の中でもとても眼をひく、左右の色が違う着物。
左右の色が違う、または生地が違う、そうした仕立て方を片身替わりの着物といいます。
上の画像の衣装は2023年の大河ドラマ「どうする家康」で、信長の妹お市の方(女優の北川景子さん演じる)が着ていた片身替わりの着物です。
下前の方は花柄で、上前の方は深い紫色の、はっきりと主張のある着物姿になり印象深いです。
片身替わりの着物の意味
「片身替わり」というのは、きものを着た時に衿や胸の色合いが左右で違うことをいいます。
左右の色合いの違いで、おしゃれの効果を上げて楽しむという趣向です。
仕立て方はこの図のようになっています。
◆左右で別々に区切る仕立て方
着物の「片身替模様」は着物の模様配置のひとつとして、後ろから見ると背中心から左右が分かれ区切られています。
「片身替わりの着物」は、舞台映えするため能装束にも見られます。
現在は、厳密に背縫いで変わっていないものも、「片身替模様」や「片身替風」とよばれることがあります。
左右にはっきりと模様や生地が分かれているため、ほっそりと見え、インパクトのある着物姿になります。
片身替わりの着物の仕立て方
一般的には二反の着物生地から作る
◆片身替わりの着物
仕立て方は、着物用生地(反物)を2種類使用して左右を仕立てるので、反物の半分を使うことになります。
そして残りの反物がそれぞれ半分残るので、もう一枚の片身替わり着物を仕立てられます。
仲良しの母娘で、またお友達と、二反を片身替わりの着物に仕立てるいうのはいいですね。
男物との組み合わせやリメイク
◆片身替わりの着物
男性用の反物と女性用の反物の二枚の反物から、片身替わりの着物を作ることももちろんできます。
色柄を大きく変えたいときに。
一部傷みのある着物の再利用で片身替わりの着物にすると、全く別の着物に生まれ変わるので面白みがあります。
生地質は似たものが適している
◆左右の生地の濃淡を変えた片身替わりの着物
この写真のような色が若干異なる色を用いると、しゃれた印象になり、ハイセンスな着物のおしゃれを楽しめると思います。
着物は着るものなので、着心地の点から生地質は同じものが適しています。
左右の色が違う片身替わりの着物の歴史と文化・まとめ
片身替わりの着物は、異なる色や柄の布を左右で切り替えたデザインの着物です。
このスタイルは、特に江戸時代に発展したとされています。
江戸時代は、着物文化が大きく開花した時代であり、庶民から武家、公家に至るまで様々な階級の人々が着物を楽しむようになりました。
片身替わりの着物は、特に江戸時代の町人文化の中で人気を博しました。
この時代は、経済的な繁栄と共に、町人文化が発展し、ファッションとしての着物が多様化しました。
片身替わりのデザインは、個性を表現する手段として用いられ、特に歌舞伎役者や芸能人の間で流行しました。
このように、片身替わりの着物は江戸時代に町人文化と共に発展し、個性やファッション性を重視する人々によって着用されました。
<関連ページ紹介>
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※2023年大河ドラマ「どうする家康」のお市の方の衣装は、女優の北川景子さんがお召でした。
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