◆藍染の工房
藍染は、伝統的な日本の染色技法として知られ、藍を主要な染料として使用します。
当初の染め段階が浅いと緑みの色合いを示し、濃度が増すと紫みの色合いを帯びる特徴があります。
さらに、藍染の色素はさまざまな植物から得られますが、その色素は「インディゴ」という共通の物質です。
この特有の青色は、「ジャパン・ブルー」として世界中で愛されています。
また、藍には消臭や抗菌作用、紫外線防止、虫除けなどの効果があり、これらの特性により近年再び注目されているところです。
藍染の色は染める回数で濃くなる
◆鯉藍染めののれん
さて藍染の液が入ったかめの中では緑色をしていた布や糸が、
取り出して空気中の酸素で酸化させると、青い色になります。
藍染の青い色は、染色を繰り返すことで色の調整をします。
具体的には、「染め液のはいったかめに布などをつけ、空気にさらす」
という作業を繰り返すことで、布の色を濃くしていきます。
その回数が少ないと薄い色、回数が多いと濃い色になります。
藍色に染めた染色物には、その濃さによって色名がつけれらていて、48種類も!あるそうです。
藍染の色の名前・代表的な色を紹介
◆藍染
染める回数や染め方によってさまざまな藍の色合いが生まれる藍染。
なんと時代や用途によって、藍色の色名は数十種類もあるといわれています。
藍染の色に関連する代表的な色の名前と、その特徴をいくつかをあげてみました。
◆甕覗(かめのぞき):一番薄い藍染めの色。
ほんの少しかめを覗いたくらいにつけただけ、という意味合いです。
◆あさぎ:明るく、やや鮮やかな青色。
◆縹 (はなだ):薄く淡い青色。透明感のある柔らかい色合い。
◆紺 (こん):深い暗青色。何度も染めることで得られる濃い色。
◆青藍 (あおあい):真っ青な色合い。藍の色そのもの。
◆鼠藍 (ねずあい):グレーがかった藍色。鼠色と藍の中間のような色。
◆退紅藍 (たいこうあい):紅色を帯びた藍色。
◆黄藍 (きあい):やや黄色みを帯びた藍色。
◆紺藍 (こんあい):紺に近い深い藍色。
◆黒藍 (くろあい):黒に近い極めて濃い藍色。
◆新藍 (しんあい):新しい藍で染められた鮮やかな色合い。
その他、納戸色・鉄紺・茄子紺・留紺など、藍染めの色にはさまざまな名称があり、
地域や伝統によって微妙な色の違いや名称が存在します。
また、染める回数や方法、使用する藍の種類、布の素材などによっても得られる色は異なります。
生地サンプルがないため具体的な色合いを比較することができませんが、この微妙な色合いを表現することで、
紺色だけど紺色だけでない様々な紺を作り出し、用途により使い分けていたそうです。
糸に藍染の色違いで着物のおしゃれ
◆藍染の木綿糸で反物を織る
藍色の色糸の変化でおしゃれな反物に
また藍染の着物では、その染め色の違いを縞や格子にして、変化をつけて着物の反物を織りあげていました。
◆藍染の木綿糸で反物を織る
色々な藍色があるため、その色の違いを組み合わせて反物を織りあげます。
そのできあがった縞や格子、絣の模様の見本もたくさん残されています。
その色の変化によるデザイン性をおしゃれとして女性は競っていたそうですよ。
◆藍染の糸で織られた生地の見本
ジャパンブルーと表現された日本の衣装の時代には、こうした藍色と白とのコントラストも広がっていたのです。
久留米絣は木綿糸を藍染で染めたもの
◆藍染 久留米絣 コースター
着物や小物に、久留米絣があります。
久留米絣(くるめがすり)は、綿(木綿)を主な素材として使用する伝統的な日本の絣織りの一つ。
久留米絣は、福岡県の久留米地域で古くから織られてきたもので、独特の模様や色彩が特徴的です。
糸を予め染めてから織り上げる技法が用いられるため、織り上がった布には模様が出現するという、絣織り特有の方法で制作されます。
以前は着物としてたくさん織られていました。
藍染と紺色の違い
◆藍染の服
以上みてきたように藍染は、藍という植物からできた染料でそめるものですが、藍染を知らない人は、「紺色」という色だけで判断しがちです。
そこで藍染と紺色の違いをここでまとめておきますね。
藍染と紺色は、ともに青系統の色を指す言葉ですが、その定義や背景には明確な違いがあります。
藍染 (あいぞめ)の定義と特徴
藍染とは、藍という植物(またはそれに類似する他の植物)から取得される染料で布や糸を染める技法、またはその結果得られる色を指します。
特徴は、藍染は、染める回数や浸透時間などによって様々な青の色合いを持つことができます。
染めの段階が浅いものは緑がかった青で、深くなると紫がかった青になります。
用途としては、伝統的に日本の衣服や布製品に用いられています。
また、そのアンチバクテリアやUVカットの効果も知られています。
紺色 (こんいろ)の定義と特徴
紺色は、濃い青色を指す一般的な言葉です。
紺とは、もともとは植物の藍で織物を何度も染めて得られる濃い青色を指していましたが、現代では植物の藍に限らず濃い青色全般を指すことが多いです。
特徴は深く、落ち着いた青色です。
紫や黒に近い青とも言われることがあります。
用途は衣服、家具、アートなど、多岐にわたる分野で使用される色です。
つまり、藍染は特定の染料技法や結果得られる色を指すのに対して、紺色は一般的な濃い青色を指す言葉となります。
藍染の色の種類と名前/48種どんな色?紺色との違い/糸に染めて着物のおしゃれ・まとめ
藍染は藍という植物からとれる染料で布や糸を染める技法、またはその結果得られる色を指します。
藍には消臭や抗菌作用、紫外線防止、虫除けなどの効果があるのですが、近年これらの特性が注目されるようになりました。
<関連ページ紹介>
◆藍染の効果や効能・メリットデメリット・日本の色ジャパンブルー
◆藍染の染色方法を簡単に・すくもから藍液へどんな作業をする?
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