◆麻の葉模様の着物柄
ねずこの着物の柄で知られる「麻の葉模様」。
麻の葉の模様は、平安時代から仏像の装飾などにも使われてきた伝統的な柄です。
和柄を代表するとてもポピュラーな模様です。
着物・帯・長じゅばん・子供の着物・赤ちゃんの産着によく用いられてきました。
現在では 建築やファッショングラフィックなどの様々な分野でも利用され、その美しい文様は世界中に知られています。
どこかで見た懐かしい柄、そんな麻の葉模様の意味や由来についてお伝えしますね。
麻の葉模様とは、その意味
麻の葉模様とは
麻の葉模様は、麻の葉の形を文様化した六角形のひし形を結び付けた幾何学模様。
麻の特徴は成長が速く病気に強いこと
植物の「麻」の生育は早く100日から120日余りで、3m~4mの大きさに成長します。
非常に成長速度の速い植物であり、病気や害虫に強い性質です。
そのため赤ちゃんや子供の成長を願う柄として昔から使われてきました。
麻はすでに紀元前から栽培されていて、茎の繊維を利用して布にします。
今では衣類に麻は少ないですが、戦国時代に木綿の栽培がされるようになるまでは、庶民の衣類は麻を原料にしていました。
麻の葉模様の由来
◆麻の葉模様の着物
繊維が強く魔除けの意味がある縁起のよい柄
麻は布以外にも、糸・網・縄などに幅広く使用されていて、強度があります。
現在でも注連縄(しめなわ)や鈴緒(すずお・神社やお寺でお賽銭箱の上にたれている鈴のついた縄布)、神事に関係する場面で使われます。
- 手間をあまりかけなくても大きく育つ
- 麻の葉模様そのものに邪気をはらう力がある
とされたため、魔除けの意味もありました。
そのため、赤ちゃんの成長と魔除けの意味を込め、産着の模様に麻の葉模様はよく用いられ、
また子供の着物にも、同じく健康ですくすく育つようにとの願いを込めて、頻繁に用いられる柄でした。
◆寄木細工の精緻な麻の葉柄
麻の葉の柄の着物は江戸時代から
平安時代に製作された仏像の装飾には、麻の葉の模様が表現されています。
家紋にも「麻の葉文様」が取り入れられています。
江戸時代後期の麻の葉柄
◆江戸時代の浮世絵 江戸時代後期・渓斎英泉作
◆上の写真の麻の葉柄アップ
江戸時代になると、歌舞伎役者で大和屋の屋号を持つ岩井半四郎が、
麻の葉の柄の衣装を舞台で着たことから、庶民の間で麻の葉模様の着物が大流行したそうです。
上の浮世絵には、赤い長襦袢の柄で麻の葉柄が描かれています。
麻の葉模様の人気はその後も衰えず、様々なバリエーションが生まれています。
現代の着物の柄
現代(数十年前くらいから)でも麻の葉の柄の着物はありますが、四季花に添えられたり、雲間にかいまみる模様となるなど、一部に使われることが多いです。
幾何学模様のため、糸に色を染めてから織る「織りの着物」(反物そのものに柄が出る)の代表の紬の着物や浴衣によく見られます。
◆麻の葉模様の紬の着物
浴衣でも人気の麻の葉柄
今に限りませんが浴衣でも人気の柄です。
考えられる理由をあげてみます。
美的な魅力がある
麻の葉柄は、その繊細で複雑なデザインが美しいとされています。また、その独特の形状とリズム感は、視覚的に魅力的で、着物や浴衣にエレガントな雰囲気を与えます。
汎用性がある
麻の葉柄は、色やサイズを変えることで様々なスタイルに適応できます。
そのため、年齢や性別を問わず、さまざまな人々に愛されています。
見た目に鮮やかですっきり、そしてエレガントな雰囲気がありますよね。
ねずこの着物柄として知られてからは、特に麻の葉模様の浴衣の人気が高まっているのかもしれません。
麻の葉柄のバリエーション・麻の葉つなぎ
◆麻の葉模様
麻の葉の文様のバリエーションでよく見かけるのは、麻の葉の連続模様で「麻の葉つなぎ」ともよびます。
麻の葉模様の柄の意味や由来/ねずこの着物柄で魔除けや成長願う和柄・まとめ
麻の葉の形を文様化した幾何学模様で、六角形のひし形を結び付けた模様が「麻の葉模様」。
成長を願い魔除けを祈願するため、赤ちゃんや子供の着物に多用されてきた。
少し前までは「布おしめ」や肌着の模様にもよく見かけた模様です。
日本特有の「和柄」のひとつで、その美しさから建築やファッショングラフィックなどにも使われている。
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