◆千鳥柄(着物)
着物(和服)によく使われる「千鳥柄」(千鳥模様)は、とても可愛らしい柄なので好きな方も多いと思います。
「千鳥柄」は着物の文様の一つで、写実的なものから単純化された文様まであります。
ここでは「千鳥」の意味と季節についてお伝えします。
千鳥柄とは・群れをなすたくさんの意味
◆千鳥柄(模様)のひとえの羽織
一般的には水辺で見られる群れをなしている鳥のことを千鳥 とよんでいます。
千鳥とは、群れをなすたくさんの鳥ということです。
千鳥は夏の終わりから秋にかけて(8月から9月)、干潟にはシギやチドリの仲間が集まってきて、
ここで餌を食べながら過ごし、さらに南へ移動するためのエネルギーを補給します。
彼らは春にまた干潟に戻ってきて、そしてさらに北へと渡っていきます。
万葉集では、
- 群れをなしている普通の鳥のことを千鳥としているもの
- 字のごとく沢山(千)の鳥
を意味してつかわれてもいました。
かわいらしい和柄の千鳥柄は、小さな鳥がむれをなして飛んでいる様子がよく描かれます。
水辺で空で、昔から季節の移り変わりの風景の一つとして親しまれてきたのですね。
着物(和服)の千鳥柄の季節
◆千鳥柄
着物で千鳥柄を着る季節については、特に風習はないです。
ですから通年、千鳥の柄が染められたり織られたりしています。
和柄の場合は素材と裏地の有り無しで判断すればよいでしょう。
- ウールの生地に描かれた千鳥柄なら、春、秋、冬に。
- 正絹(シルク)で裏生地がついている(袷・あわせ)なら、春、秋、冬に。
- 夏用の裏地のない生地に千鳥模様であれば、やはり夏に。
というように。
とはいえ、和柄の千鳥柄は、主に秋冬向きが多いように思います。
千鳥格子は千鳥ではない
◆千鳥格子(ハウンドトゥースチェック)
「千鳥格子」というと、一般的には白と黒の配色のチェック柄の一種で、輪郭を崩したチェック模様をいいますね。
私たち日本人は、その模様が千鳥の飛ぶ様子に似ているのでそう呼んでいますが、海外ではそうではありません。
「ハウンドトゥースチェック」と呼ばれています。
hound(ハウンド)は猟犬、tooth(トゥース)は歯、つまり「犬の牙の形」という意味です。
柄に対するイメージは、日本と海外とではずいぶんと違うのですね。
洋服の場合は、千鳥模様(千鳥格子)が使われる生地は主に秋冬用です。
素材的に春に向くものなら、春に着るのも問題ないです。
千鳥格子の生地を着物スタイルに
洋服の生地を着物に仕立てたり帯に仕立てたりすることがあります。
洋服の生地は、千鳥格子(ハウンドトゥースチェック)のため、モダンな雰囲気の着物スタイルになり、市松模様と同じようなカジュアルな中にも洗練された印象になると思います。
「ちどりあし」といいますが由来になった歩き方
◆コチドリ(渡り鳥でもある)
ついでの話ですが、酔った人の、ふらふらしつつも途中で一旦立ち止まるような歩き方「千鳥足」は、千鳥の歩き方が由来といわれています。
チドリ類の鳥の歩き方はとても特徴的です。
素早く走ったのちに急停止、静止した後に急に方向を変えて走り出すなど。
急に止まっては走る方向を変えてまた走るなどを繰り返すという特徴があります。
千鳥柄とはどんな模様?意味は/着物の季節はいつ?秋冬向きの模様ですか?まとめ
千鳥柄は着物(和服)では秋・冬の着物柄に多用されています。
日本で見る千鳥は、寒い冬を温かい地方で過ごすために、群れで移動します。
万葉集では、群れをなしている普通の鳥のことを千鳥とも、たくさんであること=千の意味としてもつかわれていました。
<関連ページ紹介>
◆麻の葉模様柄に託す意味や由来・ねずこの着物柄で魔除けや成長願う

◆和柄の市松模様の意味・灰治郎の着物柄・込められた思い

◆絵羽模様の特徴・意味・柄・着物の絵羽模様の仕立て方

コメント