◆紬の着物一例
着物の種類で「紬(つむぎ)」と呼ばれるきものは、先に糸を染めてから反物にし、その後仕立てます。
先に糸を染めるため「先染めの着物」と呼ばれています。
普段着からお出かけまで、個性的なおしゃれができるのが紬のきもの。
素朴な風合いとシンプルな織り柄に、魅力を感じている人は多いでしょう。
ここでは具体的に以下のような紬の魅力に迫ってみます。
- 紬の着物とは
- 紬着物の格
- 紬の着物を着る季節
- 合わせる帯とコーディネート
- 紬着物の歴史
- 小紋着物との違い
紬の着物とは・特徴
紬の着物は、絹の糸で織られたきものです。
絹糸を染め何色かの糸を、たて・よこに織って模様にします。
できあがった生地には適度なかたさがあり、
模様は、縞・格子・亀甲模様・十字絣などに代表される、シンプルな繰り返し模様が多いです。
色使いは1色~3色ほどのものが多く、出来上がりはシンプルな印象になります。
ふしのある紬着物とないもの
◆変わり格子模様のふしのない紬着物と染め名古屋帯のコーディネイト例
「紬」といっても、糸に「ふし」のないものと「ふし」のあるものがあります。
ふしのないものは表面がツルツルしていて光沢があり、その代表は「大島紬」「黄八丈」です。
またふしのあるものは、つやが少なくやや厚みがあります。
代表は「結城紬」です。
紬着物の格は?
紬の着物はフォーマルな着物とは一線を画し、普段着~お出かけ着として着用します。
正式なお茶会やパーティー、儀式などには着用しません。
※「一つ紋入りの紬の着物」については、正式な場にも着用できるといわれていますが、まだ一般的ではありません。
紬の着物を着る季節と場所(シーン)
紬の着物を着る季節・着用時期
紬着物の着用季節は、裏地が付いているものは秋・冬・春の3シーズン。
厚手で「ふし」のある紬は12~2月の真冬に向いています。
模様に季節感のないものが多いです。
こちらは裏地のない紬の着物で、
◆裏地のない紬の着物
裏地のないものは盛夏の前後に着ますが、紬の着物に裏地がないものは少ないです。
紬の着物はどんな時に着る?
紬の着物はおしゃれ着として着ることがほとんどです。
ですから、ちょっと着飾ってのお出かけというところで利用します。
- 百貨店へのお買い物
- 友人とのランチ
- コンサート
- 美術館・博物館
といったプライベートな外出です。
儀式や式典には着用しません。
紬の着物に合わせる帯・コーディネート
基本の帯合わせは染めの名古屋帯
◆紬着物 紅型(染め)の名古屋帯
紬着物に合わせる帯は、主に染めの名古屋帯です。
きものの持つかたさを和らげる意味合いがあります。
◆アンティークの染めの名古屋帯
織りの名古屋帯を合わせて粋な雰囲気に
◆紬着物(横双大島)に織りの名古屋帯を合わせた例
染めの名古屋帯だけでなく、「織りの名古屋帯」を合わせると、粋な雰囲気がかもし出せます。
織りの名古屋帯はカジュアルな印象のものが多いので、かたさのある紬着物にさらにかたさのある帯ということで個性的です。
◆織りの名古屋帯
半幅帯を合わせるとよりカジュアルに
◆紬着物に半幅帯のコーディネート
紬の着物には名古屋帯を合わせるのが一般的ですが、
よりカジュアルに装いたいときは、半幅帯(素材は絹がよい)を合わせれば軽快な装いになります。
しゃれ袋帯のコーディネートもOK
◆紬の着物にしゃれ袋帯のコーディネート
紬の着物にはしゃれ袋帯を合わせることもできます。
しゃれ袋帯は名古屋帯よりも重量感があるので、やや落ち着いた雰囲気になるかと思います。
紬の着物の歴史
献上品としての紬着物
紬の代表格は「結城紬」と「大島紬」ですが、日本の各地で得意とする模様や色の特色が受け継がれています。
その背景には、税金の代わり(献上品)として、紬が織られていたことが関係しています。
冬の女性の仕事として良質の絹織物を織り、農家の家計を支えていました。
もとは養蚕農家の女性の着物
今日紬の着物とよぶ多くのふしのある着物は、養蚕農家の女性の普段着から始まります。
つまりもともとは、養蚕農家が良質な絹を商品として仕上げたあと、残っている繭を利用して普段に着る着物として織っていました。
いわゆる「くず繭」とされる繭を煮て綿状にし、それを広げて糸を引き出しています。
そのため糸に「ふし」があったり、織りあがりに凹凸が出来ていたりするのです。
小紋の着物との違い、見分け方
◆小紋着物の生地アップ
小紋の着物との違いについてもお話しますね。
「小紋」は白い絹生地(反物)に、後から模様を染めたもの。
この点が紬と根本的に違う点です。
◆小紋着物の生地のアップ
染め模様ですから、模様の色が多く鮮やかな絵柄が多いです。
「小紋」の柄には、四季の草花・鶴亀や和の模様がよく描かれています。
それに対して紬の着物は、はっきりした絵模様はほぼありません。
先に糸に色を染めた紬の着物は、裏から見ても同じ模様になっています。
紬(つむぎ)の着物/合わせる帯・季節 コーディネート 格と小紋との違い・まとめ
紬の着物はおしゃれ着としてお出かけにぴったりの着物です。
紬着物には、表面がなめらかなものと、ふしのあるものがあります。
基本はおしゃれ着なので、儀式や式典などの場面では着用しません。
地方により特色のある模様の紬着物があり、現代では訪問着の柄つけがされた紬着物も登場しています。
個性的に粋にきものを楽しみたい人に向いてる着物です。
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