◆麻の着物
「麻の着物」は、植物の麻(苧磨(チョマ)や亜麻(あま))などから作られた、裏地を付けない夏の着物です。
麻の着物は、肌触りがさらっとしていて肌にまとわりつきません。
そのため、汗ばむ真夏の季節でも、快適な着心地です。
ここでは麻の着物の季節について、長襦袢はどうする?、麻の着物の種類についてお話します。
麻の着物の季節はいつからいつまで?
◆麻の反物(近江上布)
麻の着物は夏の暑い季節に適した素材で、通気性が高く、涼しげな印象を持っています。
主に夏を代表する着物として知られており、麻の特性上、汗をかきやすい季節には非常に適しています。
日本の気候を考慮すると、麻の着物を着るのに最も適した季節は6月から8月までの夏の時期です。
しかし、5月の終わり頃から、または9月の初めにかけての少し涼しい日にも、麻の着物は着用されることがあります。
地域やその年の気温にもよりますから、自分の快適さを最優先に考えて、麻の着物の着用時期を選ぶとよいでしょう。
麻の着物に長襦袢は何を着る?
◆麻の長襦袢と絽の半衿
麻の着物を着る際に、その下に着る長襦袢(ながじゅばん)の素材も季節や快適さを考慮して選びたいもの。
夏の暑い時期に麻の着物を着る際は、汗を吸収しやすく、通気性の良い素材を選ぶことがおすすめです。
以下の三種類の素材が夏の長襦袢としてよく選ばれます。
- 紗(しゃ)または絽(ろ):薄手で通気性が良く、夏に最適な素材(絹)です。特に「絽(ろ)」という織り方長襦袢は、夏の長襦袢として人気があります。
- 麻(あさ):麻の着物と同じく、麻の長襦袢も涼しげで通気性があります。汗を吸収しやすい特性も持っています。
- 綿(めん):吸湿性に優れているため、汗をかく夏の季節にも適しています。しかし、紗や麻に比べるとやや重たい感じがするかもしれません。
夏の麻の着物に合わせて、これらの素材の長襦袢を選ぶと、快適に過ごすことができるでしょう。
麻の着物の特徴と帯のコーディネート
麻の着物の特徴は、しわになりやすいこと、質感がゴワゴワしていることでしょう。
暑さを感じにくいので、日本の夏には最適ですが、
シワのできやすい袖、ひざ下などは麻特有の見た目になります。
また、麻の着物の特徴として、家庭で手洗いできる点はよい点です。
乾きが早く、木綿とは違う夏の着物の良さを感じられます。
麻の着物はおしゃれ着として
麻の着物は、日常からお出かけ程度に向く着物です。
社交の場には向きません。
夏着物としての帯コーディネート
◆半幅帯
麻の着物を着るときは、半幅帯か名古屋帯を合わせます。
長じゅばんも帯も、麻製のものにすると、最も涼しく装うことができるでしょう。
有名高級な麻の着物の種類
◆近江上布の反物
麻の着物として有名なのは「上布」です。
- 越後上布
- 能登上布
- 宮古上布
- 八重山上布
- 近江上布
などがあります。
これらは素材の麻を刈り入れて、工程をすべて手作業で行っている製品です。
すべて手作業で作る麻の着物生地を、麻といわず「上布(じょうふ)」と呼びます。
高品質な着物として、流通しています。
「上布」ができあがるまで
高品質な「上布」は、麻の栽培から始まります。
上布の主な製作工程は、
- 麻の栽培
- 麻の繊維をよりわけて繊維にする
- 絣模様をつける
- 織り上げる
- 仕上げの手もみや雪さらしをする
といった手順で、時間と手間をかけて出来上がります。
それ上布には、生産地の気温や湿度の違いで、作業工程には特色があります。
現代受け継がれている上質の上布は、生産者が減り生産数も減少傾向です。
入手しやすい小千谷縮(おぢやちぢみ)
◆小千谷縮の着物と名古屋帯
高級な麻着物の「上布」は、当然ながら高価です。
麻の着物の中でも比較的入手しやすいのが、新潟県で生産される小千谷縮(おぢやちぢみ)です。
小千谷縮は、緯糸(よこいと)に強い撚りをかけて織ったあと、洗って糊を落とすことでシボを出したもの。
シボのおかげで、肌触りのさらっとした生地になります。
緯(よこ)糸に絣(かすり)模様を染めてから織ることで、やわらかい曲線のような絵柄が織り出されているのが特徴です。
麻の着物の季節はいつからいつまで?長襦袢は何がいい?種類上布・まとめ
麻の着物は、植物の麻(苧磨(チョマ)や亜麻(あま))などから作られた、裏地を付けない夏の着物。
普段用~おしゃれ着までの装い。
風通しがよく肌にまとわりつきません。
手作業で作られた高級な麻の着物は「上布」と呼びます。
シワになりやすいものの、手洗いができるので重宝します。
<関連ページ紹介>
◆麻の着物の洗濯方法・洗い方とアイロンのあて方を具体的に
◆夏の着物・帯をかえてコーディネート例3つ紹介・ワンランクアップ
◆木綿の着物・合わせる帯と着る季節は?特色のある木綿きもの
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