「ウールの着物」とは、羊の毛で織られた着物です。
昭和中期にブームがあり、今も普段用の着物として利用されています。
3シーズン着用でき、木綿の着物とともに扱いやすいのが特徴です。
ここでは、ウールの着物について詳しくみていきます。
- 合わせる帯
- 着用する季節
- 着用範囲
- 洗い方
- ウール着物の見分け方と素材の特徴
- コーディネート例
の順に詳しくお伝えします。
ウールの着物に合わせる帯
ウールの着物に半幅帯・名古屋帯
◆名古屋帯(袋名古屋帯)
ウールの着物はおしゃれ着・普段着なので、合わせる帯は、
- 半幅帯
- 名古屋帯
のいずれかを合わせるのが一般的です。
名古屋帯の種類では、「袋名古屋帯」がカジュアルな雰囲気になります。
適している素材としては、
- 半幅帯も名古屋帯も、ウール、木綿、化繊、絹(紬)です。
ウールの着物に兵児帯・シルクウールならしゃれ袋帯もOK
普段に気軽に装うのに、兵児帯を合わせるのもかまいません。
素材は季節にあったものを。
ウールの着物のうち、シルク混のやや光沢のあるウール(シルクウール)の着物には、しゃれ袋帯を合わせてもよいでしょう。
しゃれ袋帯の素材は、絹または化繊との混紡でシックなものを。
ウールの着物の洗い方
次にウールの着物の洗い方と、保管の方法を紹介します。
ウールの着物の洗濯のしかた
ウールの着物は、自宅で洗えます。
基本的にはウールのセーターと同じように、おしゃれ着用洗剤で手洗いします。
<おすすめの手洗い方法>
- 汚れのあるところを前面にしてたたむ
- 中性洗剤をといた水(30℃くらい)につけ、押し洗いする
- すすぎは2回以上おこなう
- 脱水時間は50秒ほど(1分を超えない程度)
- シワをとりながら着物ハンガーにかけて陰干し
- シワがあればアイロンをかける
洗濯機で洗うこともできます。
その場合は、たたんで洗濯ネットにいれ、中性洗剤で、
- おしゃれ着洗いコース
- 弱洗い
他は手洗いのときと同じようにしてください。
ウールの着物の保管の方法
ウール着物には虫が付きやすく、虫食いの穴があくことがあります。
それを防止するためには、保管のとき防虫剤を必ず入れるようにしましょう。
ウールの着物やウールの帯の専用の入れ物に入れ、適量の防虫剤を。
臭いのある防虫剤は、量が多いと臭いが残ることがあるので、適量を守るようにしてください。
ウールの着物の特徴と見分け方
ウールの着物の特徴
◆ウールの着物 市松模様に絣柄
ウールは羊の毛から作ったもので動物性の繊維(セーターやニットと同じ素材)です。
普段用の衣類で、裏地をつけずに仕立てます。
天然素材であるウールは、むれることなく湿度を適度に調節してくれるので快適な着心地です。
ウール着物は、しわになりにくくお手入れがしやすい着物です。
ウール100%のものが主流ですが、絹の混紡、化学繊維が混紡されたウールの着物もあります。
コットンが織り込まれたコットンウールは、ウールのざらつき感が減りとても着心地が良いです。
シルクウールの特徴
◆絣模様のシルクウールの着物
たて糸に絹をよこ糸にウールを用いたシルクウールの着物は、絹の光沢がほんのりと出るため、着姿にきちんと感がでてエレガントな雰囲気をかもしだします。
ウールの着物・模様の特徴
柄は、格子や縞、市松、幾何学模様などシンプルな模様が多いです。
一枚の着物で色は2~3色が多く、全体にあっさりしています。
現代では、モノトーンや無地、ドット柄など、シンプルでモダンな雰囲気のものもあります。
ウールの着物は絹に比べお値段安い
絹の着物は高価なものですが、ウール着物は手頃で、普段用の着物として求めやすい値段です。
夏用のウールの着物もある
◆夏用のウールの着物
普通のウールの着物は、夏以外のシーズンに着用しますが、
夏用として別に、透け感のある夏用のウール素材があります。
夏用はあらく薄く織ってあります。
ウールの着物の見分け方
◆ウールの着物 格子柄
さて、ウールの着物はどうやって見分けるの?
という質問をときどきいただきます。
ウールの着物は素材の表示がないものが多いですね。
でも、この方法を知っていれば、すぐに見分けがつきますよ。
見た目からわかる見分け方
見た目からわかる見分け方を紹介しましょう。
- 生地を光にすかすようにして見たとき、小さな毛羽立ちがあります
- そして光沢はありません
さわってわかる見分け方
さわったときの見分け方は、そっと表面をなでるとザラザラと、またゴワゴワとした感じがします。
それでも分からないときは、奥の手ですが、
裏側の端の糸をとり燃やしてみるとわかります。
燃やしてみてわかる・ウール/絹/木綿/化学繊維
糸を燃やしてみることで、ほかの繊維との見分けがつきます。
<見分け方>
※ウール:縮むように黒く燃えて、きつい臭いがする
※絹は黒く縮むように燃えますが、臭いはきつくない
※木綿はフワッと灰色に燃えてきえる
※燃えずにとければ化学繊維
ウールの着物を着る季節と範囲
ウールの着物はいつから着るの?
季節としては、暑さが一段落した初秋から着ることができます。
冬の間、そして春までの3シーズンに着用できます。
冬寒さを感じるときは、下着を増やす、羽織ものをするなどして保温します。
ウールの着物の着用範囲は?
着用範囲は、日常生活~近所への買い物・気軽なランチなど、日常生活の延長上に着用します。
絹(シルク)が混織されているものはやや光沢があり、おしゃれな外出着として適しています。
「カジュアルな着物」なので、儀礼的なフォーマルな場には向きません。
寒い冬の外出に羽織るものは?
気軽に着られるウール着物ですが、真冬の外出には羽織ものがいりますね。
着物用に限らず、洋服のときのショールやストール、ポンチョもよいでしょう。
絹の羽織やコートがいけないわけではないですが、素材のバランスが合わないとおもいます。
ウールの着物のコーディネート2例
ウールの着物に合わせる帯を先に紹介しましたが、最も相性がよいと思うのが、ウールの帯と組み合わせです。
◆ウールの着物にウールの半幅帯のコーディネイト例・1
次も同じく、ウールの着物とウールの半幅帯の例です。
◆ウールの着物にウールの半幅帯のコーディネイト例・2
ウールの着物 合う帯/特徴と時期/見分け方/洗い方/おしゃれきもの・まとめ
天然素材のウールは、しわになりにくく保温力があります。
初秋~春までの3シーズン着まわせ、自分で洗えるという気軽さが魅力。
個人的にはとても好きなのですが、
近年はウールの着物用の反物の製造はあまりされていないようです。
そのかわり洋服生地からの仕立てで、現代的なモダンなウールの着物が仕立てあがりで販売されています。
<関連ページ紹介>
◆洗える着物をどう思う?の良い点悪い点
◆ウールの着物のお手入れ、虫食いを防ぐ方法を詳しく
◆ウール着物からのリメイクで上っ張りを
コメント