◆セーター 虫食い
ウール製品のセーターやコートに、ポツンと小さな穴があいてしまった。
きっと一度や二度はあると思います。
穴とまでいかなくても、「毛羽立ちのへこみ」として経験されたかもしれません。
これらは「カツオブシムシ」という虫の幼虫が衣類を食べたからです。
「クリーニングに出してお手入れは万全だったはずなのに、どうして!?」
そんな思いをしないためには、いったいどうしたらいいでしょう。
虫食いの原因やお手入れのタイミングについてお伝えします。
ウールの虫くいの原因
衣類が虫くいの被害にあうのは、収納中に問題があるからです。
衣類を餌にするのは、カツオブシムシ、イガ、コイガなどの幼虫。
虫は屋外にいますが、干してある衣類に卵を産み付けたり、外出した際に服や荷物について家に入ってきます。
家に入ってきた虫が好むのは、暗い箪笥や押し入れなど空気の流れがあまりないところ。
そこが収納ダンスだったということが多いのです。
そして卵を産みつけ、卵から返った幼虫は約10ヶ月間も衣類を餌に成長を続けます。
ウール(羊毛)が好物ですが、動物タンパクである絹も好みます。
皮脂がついた場所を特に好むので、汚れのあるウール製品が特に被害にあいます。
そのため秋冬になりセーターやコートを出してみると、虫くい穴があいてしまっていた!
という残念なことが起こります。
虫くい防止のためのお手入れタイミング
このように虫くいは、シーズンオフの保管しているときに起こります。
そのため被害を食い止めるには、収納の前に注意が必要です。
ウール製品を収納するタイミングは、カツオブシムシなどの卵が衣類につかない時期にお手入れを済ませて収納することです。
カツオブシムシは気温が15度くらいになると活動を開始します。
気温15度といえば、関東・中部地方では3月の中旬から下旬の気温でしょうか。
この時期にウール製品はしっかりと汚れを落として、収納してしまえばいいわけです。
そうすれば虫の卵が産み付けられることはありません。
ただしまだ収納するには早すぎる気温
理屈はわかっても15度という気温では、まだ肌寒さも残り収納するには早すぎる、ともいえます。
それより暖かくなってからしまうことになっても、よく汚れを落としてからしまうのは変わりありません。
そしてお手入れが済んだらすぐに収納します。
収納といってもその方法が間違っていると、虫くいの被害にあうことがあります。
被害に合いやすいのが「タンスの奥に入れておく」というものです。
お手入れ済みでも被害にあう理由
きちんと汚れをおとしていても、なぜ虫に食べられてしまうのか。
タンスやクローゼットの衣類についた卵から幼虫がふ化。
ふ化した幼虫は住み心地のよい場所を求めて移動し、住み家として最適な空気の淀んだところにとどまります。
お手入れ済みのウール製品でもタンスの奥に重ねて置かれていると、幼虫の住み家になりやすいのです。
被害にあわない収納方法
ではどんな収納方法にすれば、虫くいの被害にあわずに済むでしょう。
それには、
- 風通しのよいところに掛けておく
- たたんで密閉容器に入れる
とよいです。
そして容器の中に防虫剤を入れておけば完璧です。
容器に入れる際は、ゆったりと入れてシワがつかないようにしておきましょう。
できるだけ虫の進入を防げるよう隙間のないものを選び、防虫剤を衣類の上にのせておきます。
ウール製品(着物・洋服)の虫食いを防ぐ方法、原因を知って予防・まとめ
虫くいの被害をうけないためには、気温が15度くらいの時期までに収納するのがベスト。
それ以降でも、汚れを落とし密閉容器に防虫剤を入れて。
ウール製品は収納場所のタンスやクローゼットの奥に、そのまま積んで放置しない。
クリーニング後のビニールカバーは湿気をためやすいので外し、湿気をとってから収納。
ウールの着物の手入れ・収納も同じ方法ですが、屋外に干しているときに虫がつく(卵がつく)可能性がないとはいえません。
そこで心配なら、アイロンをウールの適温にして、表裏全体にアイロンがけするのをおすすめします。
そうすれば卵がついていたとしても、死滅させることができます。
ただ着物は面積が大きいので手間ではありますが。
きらこよしえ
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