織物の最高峰、結城紬(ゆうきつむぎ・重要無形文化財指定)。
精緻な柄・気品ある風合いで、着物愛好者を魅了する素晴らしい紬です。
- 糸質強靭
- 染色堅牢
- 製法精緻
- 雅趣に富む
と称されています!
ここでは結城紬がどのように製品になるのかの行程を中心に、結城紬の特徴を見ていきますね。
結城紬とは一言でいうと
結城紬(ゆうきつむぎ)は、織りの着物の最高峰と言われ、
撚(よ)りをかけない、手で紡いだ糸を、日本古来の地機(じばた)で、手織りします。
ふっくらとやわらかく軽く仕上がり、しわにもなりにくい生地が出来上がります。
16項目の厳しい検査に合格したものだけが、「重要無形文化財」の商標をえることができます。
ではもう少し細かく結城紬の特徴を見ていきましょう。
結城紬はどこで作られている?
結城紬が作られているのは、茨城県と栃木県にまたがる地域で、
下妻市、関城町、結城市、下館市、二宮市、南河内町に点在しています。
結城紬の特徴
国の重要無形文化財
結城紬の製作工程は昔ながらの手作業でなされています。
国の重要無形文化財に指定(昭和31年)されている行程は、以下の三つです。
- 糸紡ぎ
- 絣括り
- 機織り
この三工程を行ったうえで、幅や長さ、打ち込み数や模様ずれなど、
16の項目の検査に合格したものだけが、「重要無形文化財結城紬」の商標を名乗ることができます。
結城紬の見た目・手触り・柄の特徴
結城紬は、非常に手間がかかる昔ながらの製法によって製作されます。
そのため、以下のような見た目や手触りの特徴を持ちます。
- 真綿のようなやわらかさと軽さ
- ふっくらとした上品な仕上がり
結城紬の柄は、緻密で精巧な亀甲や十字絣で構成されています。
亀甲、十字の文様が小さいほど、工程は複雑になり価格もあがります。
小さな文様であるほど、括りの技術、織り手の技術には高度な技術が要求されます。
その他の結城紬の特徴
また皺になりにくいのも結城紬の特徴の一つです。
結城紬は、「三代着て味がでる」といわれるほど、最初は硬さのある着物が、
徐々に柔らかさと風合いを増していきます。
素朴さと気品を兼ね備え、丈夫で長持ちする点も好まれている理由です。
結城紬製作工程
それでは結城紬の製作工程を、ざっと見ていきましょう。
<結城紬の製作工程>
- まず繭を湯の中で煮るす。
- 絞ってから、薄く見える糸口に指を入れて少し広げる。
- 中のさなぎをとり、5~6個を同じようにしてから重ねて広げる。
- 袋状になった真綿の水気を絞り、竿に一昼夜干して乾かす。
- 乾いた真綿は、50枚(約100グラム)で一束にまとめる。
- 真綿は「ツクシ」と呼ばれる竹製の杭にキビガラをつけたものに絡ませ、そこから細く引き伸ばす。(糸状に細く引き出す作業を「糸とり」と呼びます。)
- 約7日から10日かけて約100グラムの真綿を糸にする。
- 1ボッチを二括りに巻きあげていく(糸100グラムを1ボッチといい、着物一枚分の糸は7ボッチ必要です)。
- 少量の小麦粉を水でといた糊をつけてから干す。
- 方眼紙に書かれた図案をもとに、経糸(たていと)を整える。
- 糸を湯で煮込んで不純物をとってから絞り、無地色に地糸を染める。
- 糸が強いまま織りあがるように、強い糊をつけます。
- 経糸をくくる準備。
- 図案の絣部分に正確に墨をつける。
- 経糸は枠に巻いたまま、木綿糸でくくる。
- 緯(よこ)絣糸は、糸を張りのばして、棒に巻いた図案の左右の赤い耳印を、白糸でくくった糸端に合わせて、柄部分に墨をつける
- 緯糸も同じように、糸でくくって防染する。
- およそ4万回筬(おさ)が上下して反物となる。
精緻な柄を織り上げるための努力
結城紬は、着物一枚分の糸を用意するのに、早くて一か月半、通常は2か月かかります。
絣糸の絣柄を合わせるために、糸で仮留めをする作業もあります。
「居座り機」で機織りは、
- 腰で経糸を引き
- 足で糸口をあけて
- 大杼で緯糸を打ち込む
という昔ながらの機織り法を守っています。
絣をあわせながら織り進んでいくので、絣模様が細かいほど時間がかかります。
厳重な検査で品質保証される
一日におよそ30センチほど織る
ことができるそうです。
連日織り続けたとして、一反できあがるのに約40日かかります。
こうして織りあがった反物は、厳重な検査を受けます。
合格であれば「重要無形文化財結城紬技術保存会」が品質を保証する証紙が貼られます。
文化財結城紬(ゆうきつむぎ)の特徴と製作工程/一反織るのに40日のまとめ
結城紬は、昔からの伝統的な製法を守り抜いてきた、重要無形文化財です。
幾人もの熟練の技によって支えられています。
糸質強靭、染色堅牢、製法精緻、そして雅趣に富むと称されています。
1500年続く伝統の高度な技術によって、最高の紬として結城紬は愛され続けています。
結城紬の歴史は奈良時代にまでさかのぼり、奈良の正倉院に保管されいる「あしぎぬ」(結城紬の原型の絹織物)は、茨城県(常陸の国)の特産物として、朝廷に上納されたものです。(きらこよしえ)
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