「色無地の着物」は、黒以外の一色で染めた着物です。
慶事にも弔いにも用いられるきもので、紋をつけると準礼装になります。
ということは具体的にどういうことなの?
色無地の着物の特徴や組み合わせる帯についてお話します。
またこれから購入予定の方向けに、色選びについてもお伝えします。
- 色無地とはその特徴
- 地紋のありなしと使われ方
- 慶事・弔事の色選び
- 紋の数とTPO
- 弔事のときの色無地きもの
色無地とは
色無地は一色の色で染めた着物で、柄はありません。
一色ではあっても裾にぼかしがはいっているものも色無地の仲間。
紋をつけずに名古屋帯を合わせると、気軽なお出かけ着になり、
紋つけるとて慶弔両用のあらたまった席に利用できます。
ではもっと具体的に、色無地の特徴をみてみましょう。
色無地の生地、地紋のいろいろ
着物の生地に文様があるものとないものがあります。
- 地紋用あり⇒主に行事に着用
- 地紋用なし⇒主にカジュアルに着用
地紋のないものは縮緬地(一越・二越・三越・古代)です。
地紋の使われ方
◆地紋のある色無地の着物
色無地に使われる地紋は、大きく慶弔に分けられます。
- 慶事専用は「吉祥文様」(桐竹鳳凰・松竹梅・笹蔓文・宝尽くし)
- 弔事専用は「梵字(ぼんじ)」など仏事にちなんだもの
- 慶弔両用に使える地紋は「流水」「雲」「波」「有職文様」など
慶事・弔事の色選び
色無地の着物は慶事にも弔事にも利用できるとはいえ、ふさわしい色目がやはりあります。
慶び事の時に着る色無地の着物の色は、 明るく華やかな色で。
弔い事には暗く沈んだ色がふさわしいです。
両方ともに用いたいときは、「紫」「緑」「藍」「鼠(ねずみ)」系のシックな色から選びましょう。
紋の数ととTPO
紋は多いほど格が上で、多い順に五つ紋、三つ紋、一つ紋とあります。
基本的な考え方は、
- 三つ紋以上:フォーマル
- 一つ紋:セミフォーマル
- 紋なし:主にカジュアルに
五つ紋の色無地のTPO
色無地に五つ紋をつけると、最高格の留袖に次ぐ格として、フォーマルな場面(式典や豪華な披露宴)に使われます。
豪華な礼装用の袋帯を合わせます。
三つ紋の色無地のTPO
三つ紋をつけると紋のない訪問着より格が上の準礼装として、セミフォーマルな場面で使われることが多い。
格の高いお茶会や、卒業式・入学式にふさわしいです。
お祝い用の袋帯を合わせます。
一つ紋の色無地のTPO
◆一つ紋の色無地
一つ紋の色無地は、セミフォーマルな場面で使われることが多いです。
訪問着や付下げと同等の格として、主にパーティー結婚式お茶会、子供の卒入学式・七五三・ お見合いに母親列席、友人の結婚披露宴にふさわしいです。
セミフォーマルな席には袋帯を合わせます。
現代では一つ紋の色無地が利用範囲が広く、仕立てる人も多いようです。
紋なしの色無地
◆縮緬地の色無地
小紋や紬の着物と同等で、おしゃれなお出かけ着として利用されます。
食事会・和のお稽古の着物として向いています。
紋なしには名古屋帯を組み合わせ、袋帯を合わせてセミフォーマルにも対応可能です。
弔用のときの色無地着物
不祝儀には「黒無地五つ紋付」が正装とされ、葬儀告別式の喪主や親族は五つ紋が入った黒喪服に黒喪帯の第一礼装が一般的です。
色無地は色により「色喪服」として着こなすことができます。
色喪服としてふさわしいのは「紫・茶・藍・灰」などの落ち着きのある色目。
色無地(色喪服)は故人との関係や場面によって、喪の略礼装として用いられます。
急なお知らせで黒喪服が用意できない時の色喪服に、黒喪帯の装いでの弔問。
あるいは偲ぶ会で色喪服に黒または色喪帯を合わせた略礼装の装いをします。
(地域の風習により違いがあります)
裾回しに配慮したい色無地
色無地の着物を誂える時は、用途によって裾回しにも気を使うと良いです。
フォーマル向けには、表生地との共布か共色にするとよいです。
おしゃれ着には、模様染めや柄物の裾回しで遊び心を加えると楽しみがあります。
色無地の小物のコーディネート
正装や喪服には、長襦袢と半襟は白を合わせます。
帯揚げは帯の格に合わせて、絞り、無地、ぼかしなどを使います。
帯締めは基本的には組紐。
宝石類の帯留めをする場合は、小型のものがふさわしいです。
色無地の着物の特徴・帯の組み合わせや色選びの基本をマスター・まとめ
色無地は柄のない、黒以外の一色で染めた着物。
慶弔で両用する場合は地紋を「流水」「雲」「波」「有職文様」の中から選ぶとよい。
一つ紋(背紋に日向紋)を入れると、略礼装の扱いとなり利用できる場面が多い。
色無地は、現代では一番利用範囲の広い着物といえるでしょう。
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