「洗える着物・洗える帯」どれも洗濯機任せで大丈夫?
洗える着物・洗える帯、この存在を知ったときは、すっごく驚きました。
こんなにお手入れが簡単でいいの??っていうくらい簡単だったからです。
今ではどこの呉服屋さんでも扱っているような存在感がありますし、浴衣帯などのカジュアル系のものなら、ほとんど洗える?のではと思える素材になっていたりします。
若い方なら「洗えない」着物や帯なんて知らないわ!という感覚でしょうか。
洋服なら全自動洗濯機にポーンと放り込むだけでいいわけなので、そうじゃないなんてものは、とても着る気になれないかもしれないですね。
着物を始める最初が気楽なものなら、絶対いいにきまっています。
ということで、洗える着物・洗える帯は人気上昇中のようです。
着物は形は同じでも、種類が豊富にあるのはご存知の通り。
例えば訪問着、とても着物の格としては高いもので、柄が全体につながって描かれているのですが、これも洗える着物のひとつとして、すでに登場しています。
染色の難しさから伝統がすたれつつある江戸小紋も、洗える着物としてなら気軽な価格で販売されていますね。
帯だって、半幅帯、名古屋帯、袋名古屋帯など、ほとんどの帯で洗える帯が登場しています。
ではどうして洗えるのかですが、素材がポリエステルだからです。
裏地つきのものは、裏地もポリエステルです。
「着物は洗えない」と言われていたので、その意味では正反対のものですね。
着物が洗えない(洗濯機で水洗いできない)理由は、素材が絹だからです。
そして生地の織られ方が、糸にひねりをかけたものがほとんどで、洗うと収縮しやすく形や大きさが変化しやすいからなんです。
それに直射日光に何時間もあてられると、薄い色目のものは焼けてくることがあるので、品質が変化してしまうんです。
そのためデリケートな絹の着物は、お出かけ用やお祝い用に着るものが主流になってしまいました。
化学繊維の洋服は、すでに何十年も前から私たちは身につけているので、その扱いには慣れていますね。
ほとんどの化学繊維の洋服は、しわにもならず、洗濯も楽で、アイロンがけも必要ないものがありますし、その手軽さの代表の繊維が、ポリエステル繊維です。
そのポリエステルを着物や帯にしたというわけなので、洋服のときと同じく、全自動洗濯機で最後までお任せ、洋服と一緒に洗えばいいというわけです。
実際、縮まないし型崩れしないので、そのまま着物は洗濯機だけでOKです。
お手入れ表示にも、洗濯機マークがついているはずです。
脱水もすんで洗い終わったら、干す、その時は着物ハンガーを利用してください。
着物ハンガーがあると、乾きやすい上に形がくずれません。
私はやったことはないですが、洋服のハンガーだと、袖の付け根とハンガーの袖付のあたりの場所が違うので、着物生地にあとがつくかもしれないです。
着物はそのままで洗えますが、面積が大きいので他の衣類と摩擦され、生地の傷みや糸のほつれにつながるので、洗濯ネットにたたんで入れて洗う方がよいと思います。
では帯ですが、帯は着物よりもちょっと慎重に扱う必要があるようです。
洗濯機の中だと、ぐるぐると水の力に強く押されて、変形しやすくなってしまうのです。
帯を買ったときは、洗濯表示を必ず見てくださいね。
洗える帯だから「洗濯機でOK」と思えるのですが、念のために、ね。
これ、洗える袋名古屋帯についていた説明書ですが、
「洗濯が簡単で丸洗いが出来ます」
となっているんですが、その横に洗濯について付け加えてあります。
「中性洗剤を使ってぬるま湯で軽く振り洗いか押し洗いし、汚れのひどい部分は軽くブラシ洗いしてください。ドライクリーニングはお避け下さい」
ということで、軽く振り洗いか押し洗いするためには、帯が十分つかる程度の洗面台やバケツが必要、そこで手洗いするということになります。
これは帯の中に芯がはいっていない、袋名古屋の説明書です。
ポリエステルの帯には芯入りのものがあるかどうかは分かりませんが、一番手軽な帯でこういう洗い方なので、帯の形をきれいなまま維持するのには、どうも手洗いがよさそうです。
私も全部のメーカーのものは知りませんし、同じポリエステルでも、繊維のより方とか製造方法に違いがあるものは、洗い方に別の注意があるかもしれません。
なので「洗える着物・洗える帯」として購入されても、洗濯機にすべてお任せする前に、一応洗濯方法は確認してくださいね。