◆黄色地に花柄の半衿をつけた女性
着物の半衿とは、長襦袢に縫い付ける替え衿のことです。
半衿は元は、日本髪の髪油や化粧などで着物を汚さないために使われるようになったものです。
着物や年代にあったものを選ぶことで、よりいっそう着物姿を引き立たせることができます。
半衿の大きさは幅15センチ長さ100センチ前後で、実際の衿の半分ほどの長さであることから、半衿とよばれるようになりました。
そもそも長じゅばんに半衿をつけるのは何のため?
◆首元に見えている白い部分が半衿
半衿は長じゅばんの衿につけますが、なぜ半衿を付け替えるかというと、
- 長じゅばんや着物の衿が汚れるのを防ぐ
- 着物の着映えをよくする(顔映りをよくする)
という役目があるからです。
礼装には白と決まっていますが、その他の場合は自由に選ぶことができます。
では「半衿」の種類や具体的な用い方をお話します。
半衿の種類や例
では半衿の種類をみていきましょう。
半衿には
- あらたまった席に向くもの(振り袖や留袖など)
- 普段~おしゃれ着に向くもの(紬や洗える着物など)
と大きく分けて二種類あります。
そして夏用の半衿というものもあるので、最後に紹介します。
振り袖の半衿
◆成人式 振袖 刺繍半襟
振袖に使う半衿は、着物の下着である長襦袢の襟に縫い付けて使う細長い布のことですが、
振袖の半衿は、成人式と結婚式では違うものを選ぶ必要があります。
成人式の振袖は、第二礼装となるため色や刺繍が入ったものがおすすめです。
◆結婚式
結婚式の振袖は、第一礼装となるため白の半衿を使います。
振袖の色や柄と半衿の色や柄を上手に合わせることで、個性的でモダンな印象に仕上げられます。
留袖の半衿は
◆色留袖
留袖は、最も格式の高い女性の着物とされており、結婚式や披露宴、お茶会、パーティーなど、フォーマルな場に着用されます。
留袖の半衿(はんえり)は、通常、白が一般的であり、白い半衿が一番無難で正統派とされています。
場の雰囲気や、どのような目的で留袖を着るのかよって、色ものを使うこともあると聞きますが、
留袖そのものはフォーマルな場面で着ることが多いため、正統派で無難な選択をしたい場合は、白い半衿がおすすめです。
訪問着のときの半衿は
◆訪問着
訪問着は、セミフォーマルな場に着用される着物で、結婚式や披露宴、パーティー、お茶会などに適した装いです。
訪問着の半衿については、白い半衿が一般的で無難ですが、華やかな半衿や色物の半衿も選ぶことができます。
半衿の選び方は、訪問着の柄や色に合わせて、全体のバランスが良くなるように工夫することが大切。
例えば、訪問着が地味な色や柄の場合は、華やかな半衿を選ぶことでアクセントをつけることができます。
逆に、訪問着が派手な色や柄の場合は、白い半衿やシンプルなデザインの半衿がバランスを取るのに適しています。
また、着用する場の雰囲気や目的も考慮して選ぶことが重要でしょう。
フォーマルな場では、白い半衿やシンプルなデザインの半衿が適切です。
一方、カジュアルな場やパーティーなどでは、個性を出すために色物や柄物の半衿を選ぶこともおすすめ。
ただし、選ぶ半衿が全体のコーディネートに馴染むように注意してください。
塩瀬の半衿とは
塩瀬(しおぜ)とは、日本の伝統的な絹織物の一種で、羽二重風の厚地の織物で、細い生糸を密に配列して織ったものです。
涼やかで清潔感のある印象を与えるため、夏のフォーマルやセミフォーマルな場に着用することが多いです。
塩瀬の半衿は、白や淡い色調が多く、夏の着物と相性が良いです。
また、織り柄が入ったものや、刺繍が施されたものなど、デザインのバリエーションも豊富です。
夏の着物に合わせて、涼しげな印象を与える塩瀬の半衿を選ぶことで、季節感を感じるコーディネートが楽しめます。
普段~おしゃれ着に向く半衿の例
◆普段~おしゃれ着用半衿
普段使いやおしゃれ着の着物には、自由な色柄を選んで楽しめます。
左二つは、卵色と薄いピンクで無地です。
顔映りのよい無地色を用いると、どんなおしゃれ着物にもよく合います。
真ん中は小桜の模様、その右は雪の結晶模様。
一番右は絞りで赤く染められ、地色に青が流れるようにぼかされています。
半衿として見えている部分はごくわずかなので、無地か模様の小さいものがよく合います。
上の写真の半衿は、紬・お召・木綿・ウール・洗える着物向き。
夏用の半衿の例
◆夏用の半衿
夏用の半衿は、画像のように薄く透ける半衿。
画像下は、隙間のある絽(ろ)目のあるものです。
絽(ろ)の半衿は、おしゃれ着から礼装まで幅広く使います。
夏のおしゃれ着物用の素材
夏にきものでおしゃれするときは、レースやガーゼ、手ぬぐいなどを使ってもOKです。
涼し気な素材、面白い柄も夏のおしゃれ向きです。
半衿 はんえりとは/振り袖/訪問着/留袖/塩瀬の半襟とは・まとめ
礼装やあらたまった席には白い半衿を。
振り袖のお嬢さんには、花柄や金銀糸入りの華やかな半衿を。
普段のおしゃれ用には、自由にえらんでOKです。
お顔映りと着物とのバランスを考えておしゃれを楽しんでください。
おしゃれ用の半衿は、自分で作って楽しむのも簡単にできますよ。
半衿の大きさは100センチ×16センチ程度です。
端切れや派手になってしまった着物生地などを利用してみては。
◆半衿(半襟)の作り方説明!誰でもできる。市販品と自作品比べ
◆長じゅばんは洗える?洗い方洗濯・半衿の洗い方を詳しく
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