浴衣を着こなすまでの指南番組「京都で磨くゆかた美人」、7月29日で最終回を迎えました。
最終回の今回は、暑さをしのぐため昔から京都で用いられている知恵や工夫を教えていただきました。
案内人は、着物アナリストの筒井富朗さんです。
筒井さんは和服のお店で長年お勤めの後、伝統に新しい発想を吹き込んだ和装の商品開発をされています。
昔ながらの涼しくする工夫は、エアコンのない時代にいかに涼しく過ごしていたのでしょう。
これを生活に取りいれれば、体感温度はきっと何度かは下がるはず。
では、暑さをしのぐ工夫の京都の知恵です。
「涼」を楽しむその一「扇子」
暑さは避けることができないので、そのままを楽しんでしまおうというのが扇子の利用です。
扇子にはお茶で使う「茶扇子」「舞扇」「飾扇」そしてあおぐための「夏扇子」などがあります。
扇子は「風の宿り」といわれているそうで、風をやどし送り届ける風情のある夏の必需品です。
必需品とはいえ、利用している人を見ることは少ないですね。
扇子の使い方はもちろん風を自分に送るものですが、相手からみて柄が見えるように持つようにします。
扇子は末広がりであることから、「末広」という言葉そのものが、「縁起のよいもの」の代名詞として使われます。
プレゼントにすると喜ばれるということで、扇子を自分で持つにしてもプレゼントするにしても、どう選んだらいいかを、筒井さんがご指南くださいました。
扇子選びのポイント
・扇子の余白が大きいこと。
・季節の先取りの柄にすること。
・名前の一文字を入れるとプレゼントとしては粋であること。
名前が書いてあることで、ありがたさが増して、愛着もまします。また大事にしようという気持ちもわいてきます。
番組の中では、生徒役の夏川純さんに、一文字ずついれた三本の扇子がプレゼントされてました。
名前入りの扇子、いいですねぇ。私もプレゼントされたい!
「涼」を楽しむその二、夏座敷
建具を夏用に入れ替えることによって、見た目の「涼」を感じ取ります。
夏用の建具に変える日は6月1日、秋10月1日まで、夏用のしつらえで過ごします。
この習わしは江戸時代から続くもので、畳の上には藤筵(とむしろ)を敷いて、簾戸(すど)という隙間のあいた戸に変えます。
坪庭には頻繁にたっぷりの打ち水をして、庭の温度を下げることによって風を家の中におこします。
間仕切りは御簾(みす)にして、部屋を広く風通しをよくします。
そして床の間には涼しげな模様のうちわを飾る、これが少しでも涼しく感じる昔からの工夫です。
涼を楽しむその三「京菓子」
「京菓子」というと目にも鮮やかな季節の和菓子を思い浮かべるかもしれませんね。
京菓子には、季節の実りや花をかたどったお菓子が有名ですが、これらをもっと日常に取り入れて楽しみながら涼むというわけです。
たとえば、夏のモチーフなら、鮎や氷菓子、せせらぎなど、情景を思い描きながら楽しむお菓子や、夏にある祇園祭りや五山の送り火を、和菓子で表現したものは、見るだけで思い出とつながって楽しいものです。
さらにネーミングで涼むお菓子もありました。
「星逢」「さざなみ」「観世水」といった名は、お菓子の見た目も名前も、涼しさ満点です。
京菓子でなくても地元にも和菓子やさんで、夏ならではのお菓子でネーミングされたものがあるかもしれませんので、探してみるのもいいですね。
「涼」を楽しむその四、鴨川の「納涼床」
鴨川の「納涼床」は江戸時代のはじめころからあるそうで、料理店や茶屋が、川の上や屋外で川のよく見える位置に座敷を作り、そこで料理を楽しめるところです。
川の間近なので、空気はひんやりして川の音でも涼めます。
今も100件ほどのお店がでていて、にぎわっています。納涼床は、5月から9月一杯まで楽しめるそうですよ。
以前管理人の娘も、「納涼床」で涼んできたことがありました。
娘のあこがれの場所だったようで、えらく感動して帰ってきたのを思い出します。
街中にありながらも、涼しくて、昔の風情があふれるところです。
さんずいの涼を楽しむのまとめ
京都の夏は暑い!です。
そんな中でいろんな工夫を重ねながら、暑さを楽しむゆとりさえ持つというのが、「生きる知恵」ということなのでしょう。
案内人の筒井富朗さんは、「暑い京都で暮らすのは修業でもある」とおっしゃっていました。
ここで紹介されたような知恵や工夫以外にも、たくさんの工夫があるのでしょう。
頭を使い、気を巡らせて、心を鍛えつつ、暑さに体を馴染ませていくというような、そんな意味が「修業」の意味なのでしょうか。
そして酷暑そのものを楽しんでしまうという達人の域に、やがて到達するのでしょう。
安易にエアコンに頼っている身としては、耳が痛くなるようなお話でした。
京都の夏に精通されている案内人の筒井さん、厳しいながらもダンディでステキな方でしたよ!
こんな方に、京都を案内していただけたら、楽しさは何倍にもなりそうです。
「京都で磨くゆかた美人」は、9回分をマスターすることで、完璧なゆかた美人ができあがる構成でした。
なかなか一度聞いただけでは、ゆかた美人ができあがりませんが、それぞれの回をじっくりと身につけていけたらいいですね。
このブログの中で1回から9回までを感想とともに要点をまとめてありますので、気になるところはチェックしておいてくださいね。
・「すっきり見えるゆかたの着付け」第2回京都で磨くゆかた美人
・「自分でできるゆかたのヘア&メイク」第5回京都で磨くゆかた美人
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