着物に興味があって着てみたいという人から、よくいただく質問がこれ。
「着物を着てどこに行ったらいいの?」です。
きっと「着物という衣装は特別なもの」と思われているのでしょうね。
冠婚葬祭用はイメージが浮かぶかもしれませんが、おしゃれ着としての着物となると、どこに着ていけばいいのか。
年齢やライフスタイルにより応え方に迷いますので、以下のおすすめを参考にしてくださいね。
着物への親しみぐあいにより、「初心者」「中級」「上級以上」とわけてまとめますが、あまりこだわらないで大丈夫です。
着物への親しみ度「初心者」向け・きものでお出かけ先
きものをなんとか着られるようになってきた人は、まずはイベントに行ってみましょう。
たとえば夏の浴衣シーズンのイベント、そして結婚式などのおよばれに。
夏祭り・花火大会など夏のイベントに浴衣で
◆浴衣でお出かけ
浴衣の着付けは着物よりは簡単です。
まずは夕刻から夜の夏祭りや花火大会に行ってみましょう。
というのも暗いせいでちょっとした着方の難点があってもわかりにくいのと、浴衣の人が多いので気後れしないからです。
少し慣れてきたら、夏の昼間のイベントにも着てみてください。
人に見られること、乗り物での動作などに、徐々に慣れていってください。
結婚式・披露宴への参加
◆振袖に飾り結び
友人として参列する機会があれば、未婚なら振り袖を、既婚なら訪問着や色無地などを着るチャンスです。
式場で着つけてもらえますし、着るべき種類が決まっていること、会場内だけで済むので初心者向けです。
上質な着物の着心地を感じて、おしとやかに楽しんでみてください。
親族の方にきっと喜ばれます。
近くの喫茶店や本屋へ行く
◆着物でカフェに
着物に慣れないうちは、下駄や草履で歩くのにまず慣れることも大切です。
出かけてから帰るまで1~2時間程度ですむようにして、歩く・座るなど基本的な練習になります。
散歩を兼ねて歩いていける範囲のカフェ(喫茶店)でお茶をしたり、ランチをして過ごしましょう。
またお茶や食事をするときの動作にも、慣れることができます。
着物親しみ度「中級者」向け・きものでお出かけ先
浴衣や着物を数回経験したら、もう初心者は卒業です。
これから着物に親しむ機会をさらに設けて、着物の着心地を確かめたり所作などを身につけていってください。
中級者の方のお出かけ先としては、やはりイベントを中心に提案します。
自分だけでなく周りの人と一緒に楽しめることが、「着物通」への近道でしょう。
大勢で楽しめそうなイベントに参加
お友達と、そしてもっと多くの着物好きの人たちと参加できるイベントがあります。
- 着物を着て街歩き
- ○○商店街を着物で歩こう!
など、城下町や商店街などで町おこし等の目的で行われているイベントの参加が楽しいです。
大勢の中のひとりなので安心感があり、周囲のアドバイスなどもあるはずです。
着付けのサービス、きものや履物のレンタルもあり、自前で揃えられなくても参加できます。
また着つけてもらうとどう違うのかを体験するのもいいでしょう。
初対面の人と出会うチャンスですし、着物の話題を通じて仲間ができるかもです。
京都・鎌倉・金沢で遊ぶ
京都には着物を着ている人へのサービスが沢山あり、「着物パスポート」をはじ何かとお得に利用できます。
「着物パスポート」では、特典協力施設や店舗での飲食の割引、お土産の割引、寺社への優待割引、宿泊施設での割引などの特典が受けられます。
「着崩れレスキュー」としてお助けどころも設けられていて、着物慣れしていない人も安心。
またレンタルが充実していて、宿泊ホテルで返却できたりもします。
京都だけでなく鎌倉や金沢などの観光地でも、着物をレンタルして街歩きができ、割引特典が受けられるところもあります。
子供の七五三・卒業式・入学式へ着物で参加
子供の行事に着物で参加するようにしましょう。
行事の間の数時間だけ、上質な着物を着て緊張感をもって過ごすと自信がつきますよ。
年始のあいさつ・パーティー・お花見
一定の場所にいるだけでなく、乗り物にのったり一定の距離を歩くなど、屋外で数時間過ごせるようになりましょう。
たとえば、年始のあいさつ、クリスマスパーティー、お花見などにも、積極的に着物で。
気温の変化や天候によって、羽織ものやコーディネートを考えるのも楽しみですしね。
ちょっと高級な浴衣を着物風に着てお出かけ
浴衣を着物のように着るというのは、半衿をつけ足袋をはき、お太鼓結びをすることになります。
出かける先は、
- 友人とのランチ
- 百貨店へのお買い物
- 展覧会
- コンサートなど
ちょっと改まった印象になり、夏に目立つ装いですが、経験すると自信につながります。
ランチ、ディナーに行く
着物を着て食事に行く機会を作りましょう。
きものを汚さない工夫をしたり、座り方や歩き方などに気を配りながら練習するつもりで。
パートナーや友人など気心のしれた人と一緒に行って、食事の場に慣れましょう。
和のお稽古事に行く
日本のお稽古事には、着物での立ち居振る舞いに適したものが多いです。
- お茶
- お花
- お習字
- お香
- 三味線
- お琴
- 和歌
- 俳句
など、興味のあるお稽古を始めて、着物を着る機会を増やすのもよいですね。
美術館、コンサート、発表会、ショッピングなどに行く
ひとりでもいいですが、友達と連れ立って美術館やコンサート、展覧会、発表会などに行ってみます。
お連れ様も着物好きならなおいいですね。
外出時間が数時間以上の外出をどんどんしてみましょう。
所作や身のこなしにいろいろと気付きがあるはずです。
着物親しみ度「上級者以上」向け・きものでお出かけ先
◆紅葉狩り
着物を着る経験が重なって、一通り着られるようになっていれば上級者です。
上級者ともなればもうどこへでも着物でお出かけしてください。
相撲、野球などのスポーツ観戦
大相撲は近頃「和装day」と銘打って、着物で相撲観戦に来た人にサービスを凝らしています。
過去には二日間和装dayを設けて、先着400名に非売品のガーゼタオルをプレゼント、
また以前名古屋場所では「オリジナル扇子」がプレゼント品でした。
黒と黄の二色で力士とトラが睨み合う場面の、3月場所だけの限定品てぬぐいという企画もありました。
その他、力士とツーショット写真を撮れたり、お姫様抱っこをしてもらえたりといった企画もありましたよ。
国技館では着物レンタルもあるようです。
野球では私の地域では「浴衣で行くドーム夏祭り」がすでに10回以上続いていて、観戦ムードを盛り上げています。
着物で旅行に行く
一泊以上の宿泊旅行に行ってみましょう。
温泉旅館に泊まり和のしつらいで過ごし、旅行中のすべてを着物で過ごします。
日本各地の名所旧跡を巡るもよし、電車の旅で知らない街を訪問してみるのもいいですね。
着替えや持ち物手荷物などに工夫をして、着物で過ごす時間を堪能しましょう。
居酒屋・気軽なお酒の席に行く
お友達と気軽に呑んでんで楽しめる夜のお酒付きの食事に行く。
着慣れてくるとお酒が入っても大丈夫、行き先に合った装いを選ぶのもまた楽しいです。
伝統芸能の観賞・寄席へ
◆歌舞伎座
日本の伝統芸能の観賞へ、着物のコーディネートをしっかり考えておしゃれしてみるのも上級者ならではの楽しみです。
能、歌舞伎、日本舞踊、浄瑠璃など日本の伝統芸能を楽しむなら、ぜひ着物で。
こうした場には「きものの達人」も多いので、演目やホールの予備知識をもって装いを考えてお出かけください。
もっと気軽な落語や講談などが上演される寄席へも、気軽な着物で楽しんでくださいね。
着物は楽しめばいいんです
着物を楽しめるようになるには、何度も着物を着て出かけ、経験を積むことです。
最初は緊張するかもしれませんし、着崩れしや変なところを指摘されやしないかとか心配にもなるでしょう。
外出に不安があるなら、普段家にいるときにもきものを着て慣れておきましょう。
着る機会が多いときものに馴染んできて、楽しいと感じられるようになるでしょう。
普段にきものを楽しむために
着物は普段に着るものでもあるんですよ。
木綿や洗える着物や帯を利用して、帯は半幅帯や兵児帯にすれば気軽な普段着です。
いつもの家事には割烹着などの袖が邪魔にならないものを着用して、腕を動きやすくしておきましょう。
そして普段着の着物になれたところで、2~3時間で帰ってこられるところに出かけるなど経験をつんで自信をつけていってください。
余分かもしれませんが、一応着物では適さないところもあげておきます。
着物で行くのはよくないところ
以上見てきたように、たいていの場所へは着物で出かけることができますよね。
でもやめた方がいいところもあります。
それは脱ぎ着に時間がかかると周囲に迷惑がかかるようなところです。
それと帯や裾が邪魔になってリラックスできないところです。
具体的には、
脱ぎ着に時間がかかり周囲に迷惑がかかるところ
▼病院(診察があるため)
▼洋服を買いに行く(試着のための脱ぎ着に時間がかかる)
▼美容院に行く(パーマやカラー、カットは美容師さんが嫌がりそう。シャンプーなしのセットだけなら良さそう。)
▼スーパー銭湯・温泉・リラクゼーションマッサージ・エステティックサロンなど(着物の脱ぎ着に時間がかる)
▼スポーツクラブに行く(脱ぎ着に時間がかけられればOK)
帯や裾が邪魔になってリラックスできないところ
▼足裏マッサージ・足湯に行く(帯がジャマになる、水滴が裾に付く可能性あり)
着物では不向きなもの・動作
昔着物しか衣服がなかった時代は、スポーツも着物を着て行っていたのですが、やはりスポーツ全般は不向きです。
また登山や長距離を歩くのも不向きですね、当たり前ですね。
着物を着てどこに行ったらいい?きものでお出かけしたい・初心者/中級者・まとめ
着物への親しみ度によって「着物を着て行く場所」を具体的にあげてみました。
着物を着ていては不向きな場所についてもいくつかあげましたが、それ以外の場所へは行けますね。
きものに慣れないうちは、着ている時間が少なく、屋外の移動が少ないところから始めてください。
着物姿の女性はまだまだ少数派。
そのため羨望と不審の目(いろんな思いがあると思いますが)で見られることもあります。
他人の視線は気にせず、「自分が心地よい」ことを優先して、場数をふんで慣れていってくださいね。
着物の達人について
着物に親しんでいる「達人」ともなると 着物姿で自転車に乗ったり、車の運転をしたりする人もあります。
毎日着物で過ごすことを日課としたり、職場に着物を着ていくという人も。
妊娠中でも着物で過ごすという達人もあったりします。
そんなびっくりな人にならなくても、自分がどんなシーンで着物を着たいのかを考えて希望に近づいていけばいいですね。
場面にあった着物を着るのは大切ですから、そういう学びも楽しめるようになれるといいですね。
私の生徒さんで20代後半の方ですが、、男性ばかりの将棋の会に紅一点で小紋のお着物で行かれましたよ。
すると皆さんからお褒めの言葉があったそうで、ご満悦で報告してくださいました。
着物でいけるところは、いろいろありますね。
(きらこ よしえ)
<関連ページ紹介>
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◆浴衣と着物の違いは何ですか?見た目や着付けの違い。質問にお答えします
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