「縞木綿の着物」は、江戸時代の中期に流行って以降、庶民の間で着続けられてきた仕事着(普段着)です。
縞(しま)というのは一般に、
- 「縦縞(たてじま・たてに色模様がある)」
- 「格子縞(こうしじま・たてよこに線が交わっている)」
をいいます。
江戸時代は藍染の藍色の濃淡で、幾種類もの縞模様を表現していました。
現代は気軽に楽しめる普段着のきものとして人気です。
ここでは「縞木綿の着物」の特徴、産地、帯合わせについてお伝えします。
縞木綿の見本帳
戦前までは仕事着として利用されていた縞木綿の着物。
模様を決めるのに、「縞帳」という縞の見本帳がありました。
そこには何百種類もの模様の見本が残されています。
当時の庶民は、どんな縞模様にするかしか生地の配色を選べませんでした。
そこで、どの色糸をどう並べるかを考え、反物を織っていったのです。
縞模様に何百種類もあるというのが、女性の心模様ということですね。
仕事着といえども、自分らしく素敵に装いたいですからね。
粋な縞模様
縞模様はたての直線が男性的なイメージを持っています。
ですが江戸時代の浮世絵にあるように、大胆な配色の縦縞着物を体に曲線のある女性がまとうと、そこはかとない色気が出るという美意識がありました。
それを「粋」という言葉で表現し、縞だからこそ色気がにじむと感じられたため、爆発的に縞木綿の着物が流行りました。
以降明治になっても、色気や粋を感じる意識は続いていきます。
現代でも縞模様のさっぱりとしたセンスは、息長く愛され続けています。
縞模様の産地は全国的たくさんありましたが、今はわずかに残るのみ。
代表的な縞木綿の産地を紹介します。
主な縞木綿の産地とその特色
福島県会津地方の会津木綿
厚みがありふっくらとした質感で、一般的な木綿平織物に比べて縮みにくい性質です。
汗をよく吸い込み保温性に優れます。
赤、青、黄、緑など現代では様々な色を組み合わせての縞柄が特徴。
徳島県阿波地方の阿波しじら
阿波しじらは表面の凹凸(しぼ)が特徴で、藍青白の縞模様が主流です。
現代では赤やピンクなどの色糸を織りこんだものも人気があります。
汗をかいてもべた付き感ががなく、さらっとした肌触りが特徴です。
新潟県片貝地方の片貝木綿
たて糸に細い糸・中細の糸・太い糸の三本を並べて、よこ糸を通す織り方です。
太い糸のところだけが肌に当たるので、サラッとした快適な肌触りの木綿です。
兵庫県丹波市の丹波布(たんばぬの)
手で紡いだ糸で太くてざっくりとした織り目です。
生産量が少なく貴重品です。
部分部分に入る白い緯糸は、つまみ糸(絹)で木綿に織りこむことで光沢と清涼感が出ています。
縞着物の帯コーディネート
縞木綿のきものなら、帯は名古屋帯でも半幅帯でもOKです。
きちんと感を出すなら名古屋帯がよいし、おしゃれ度をあげるなら半幅帯でしょう。
色は派手めが合う
どちらの帯を合わせるにしても、色は普段使わないような色を試してみてください。
たとえば、ショッキングピンク、レモンイエロー、青みのあるピンクなど。
「派手」と思える遊び感覚のある色を選ぶと、生き生きした印象になります。
横の流れを意識した模様と柄
縞木綿の着物は縦に流れがあるので、帯は横の流れを意識して模様を選ぶと合わせやすいです。
縞木綿の着物には、多彩な帯の模様が合わせやすいのも特徴。
「花柄」「動物柄」「横縞」「ドット柄」など。
他の着物のときには合わせにくい模様でも、縞木綿ならぴったりということはよくあります。
半幅帯で帯結びを遊ぶ
半幅帯で結び方に変化をつけて、遊び感覚で結んでみましょう。
縞木綿(しまもめん)の着物・特徴と産地・帯の合わせ方・まとめ
気軽に楽しめる普段着のきものの縞木綿の着物。
さっぱりとした縦縞は特に初夏にふさわしく、大人の女性の色気を感じさせる粋な着物です。
縞木綿の産地は少なくなりましたが、会津木綿、阿波しじら、片貝木綿はお手頃です。
丹波布は貴重品で、どれも独特の縞模様と肌触りがあります。
合わせる帯は、名古屋帯・半幅帯ともにOK。
かなり派手と感じる色柄、遊び感覚のある模様の帯が合います。
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