「着物はその人の健康に役立っている」といったら大げさでしょうか。
着物を着ているときれい・美しいという印象ですが、それだけではありません。
「天然素材」の心地よさを感じることができ、衣服としてとても優れていると思います。
どんなところが健康にいいのか、美容的にも効果があったりする?
そんなことをここでは考えていきます。
素材からみる着物の特徴
健康を考える上で、身につける素材は無視できません。
きものの素材は、絹・木綿・毛(ウール)・麻がよく使われます。
ほかに化学繊維や合成繊維も。近年はよく使われるようになりました。
化学・合成繊維の着物は、発色もよく扱いもたやすいので利用しやすいです。
ですが吸湿性や保温性の面で劣る部分もあります。
健康を考えるこの項では、上記四種類(絹・木綿・毛・麻)の天然素材のものについて考えますね。
天然素材全般の特徴
天然素材は、乾燥肌や敏感肌の人でも、肌に馴染みやすくトラブルを起こしくいです。
近年増えているアトピー性皮膚炎は、化学繊維や化学染料が刺激の一因ともいわれています。
脚の付け根付近の皮膚の黒ずみは、化学繊維の下着が原因ともいわれています。
肌の弱い人は、木綿や絹の下着に変えることで、衣類にふれる肌は快適になることが多いです。
絹の着物の特徴
◆絹 シルク
着物の素材の代表の天然素材は絹ですが、絹にはすぐれた特性があります。
絹は吸湿性・速乾性が木綿の1.5倍以上あります。
つまり絹は体から出るの水分を、吸収しやすく放出しやすい。
そのため、さらっとした着心地が続き、体温が自然に快適に保たれやすいのです。
また絹のタンパク質は人の皮膚と同じ18種類のアミノ酸からできています。
アミノ酸の比率も人の皮膚とほぼ同じとされています。
そして「弱酸性」であることも同じです。
それが「絹は肌に馴染みがよい」といわれるゆえんです。
天然の染料で安心感
◆クチナシの実 天然染料
着物の染料には、もともと天然の染料が使われています。
天然の染料というのは、ほとんどが植物の葉や根・茎から色素をとったものです。
自然界にあるものを利用しているので、肌質に関係なく安心感がもてます。
※現代では天然染料でない絹の着物も多くなりました。
自然な形で背筋が伸ばせる帯の効果
着物を着る時は必ず帯をしますが、帯によって背筋が伸ばされる効果があります。
帯の幅は15センチ~16センチ。
胸の下から腰骨の上に巻くので、自然に背骨が支えられます。
帯は「締める」と表現しますが、締め付けるわけではありません。
正しいつけ方なら、ガードルのような締め付けはなく腰が安定します。
姿勢がよいことで内臓の働きを助ける
姿勢がよいと長時間の座り仕事も疲れにくくなります。
また立ち姿の姿勢がよいと、内臓の働きも順調になります。
猫背になりやすい、前かがみの机上の仕事が多いなどで疲れやすい人は、姿勢に気をつけると改善が見込めるかもしれません。
腰紐で骨盤安定・不定愁訴が軽減
着物のときは、腰ひもを腰骨の少し上にきつめに締めます。
これが骨盤を正しい位置に矯正していると考えられます。
骨盤がゆがむと、肩こりや頭痛、冷えやだるさなどの不定愁訴がおきやすいといいますね。
着物をよく着るようになってから、体調がよくなったという声はよくききます。
また、内臓が下垂しにくくなるという効果も考えられます。
内蔵が正しい位置におさまっていることで、胃腸の働きが改善します。
お通じがよくなったという人もあります。
冷え性の改善になった方も
着物を着ると、冷え性が改善されることがあります。
帯を巻く以外にも、前を打合せて着る・補正のタオルを巻くなどしますから、お腹周りが温かいのです。
特にお腹や背中が冷えやすい人は、改善が期待できます。
また背筋が伸びて肩甲骨が寄り、胸を開くことになるので、
「褐色細胞」とよばれる脂肪を燃やす脂肪(肩甲骨の間にある)が燃えやすくなります。
そのため体が温かく感じられるようになることもあり、冷え取り効果につながると考えられます。
その他着物の健康効果として
そのほかにも、健康面でよいのではと思えることがあります。
- 着物の時は椅子で脚が組みにくい、そのため骨盤が歪みにくい
- 下半身がすっぽり覆われるので、下半身が冷えにくい
- 肩に当たる布が少なく腕が動かしやすい、そのためか肩こりが減ることがある
- 帯をややきつめに締めると食べ過ぎを防げ、ダイエット効果がある
- 草履や下駄をはくことで、足や足指先のトラブルが減る
きもの 着物のよさ・キレイなだけでない/美容健康面のメリットとは・まとめ
天然素材の着物のよさをお話してきたので、最後にまとめますね。
これらは生徒さんに聞いた実話や、自分で実感していること、そして着物雑誌などの投稿などにあったものをまとめました。
<きものの健康効果・まとめ>
- 皮膚の健康にとって天然素材はやさしい
- 天然の染料なら肌の弱い人も安心
- 帯・腰ひもを締めるので、背筋がのび骨盤が安定、内臓の働きがよくなる
- 帯を締めると姿勢がよくなる
- 冷え性の改善につながることがある
- 肩こり・便秘が解消することがある
そして美容面での効果については、
<きもの(着物)の美容効果・まとめ>
- 肌の荒れの改善が期待できる
- 姿勢がよくなるのでスタイルよく見られる
- 食事量が減りダイエット効果が期待できる
いかがでしたでしょうか?
着物を着るとキレイに見られるだけでなく、健康を支える一面があると思います。
周りの人の話や体験を交えて、着物のよい面について考えてみました。
初心者のうちは着物そのものを、きゅうくつに感じることがあるでしょう。
徐々に着なれてくると、以上のようなよさにも気づきがでてくるのではと思います。
<関連ページ紹介>
◆着物を着る長所とメリット・短所デメリット
◆洗える着物どう思う?メリットデメリット
◆着物をなぜ着るの?儀式のきものとファッションのキモノ
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