◆和裁・裁縫箱
着物の仕立ては、「和裁」による作り方をしています。
手縫いするのはもちろんですし、構造や縫い目にも和裁ならではのものがあります。
「くるくる巻かれた細長い布の反物から、いったいどういう風に着物ができるの?」
という疑問。
ここでは着物の仕立て方(作り方)を詳しくまとめました。
これを読んでいただくとあなたの疑問がスッキリすると思いますよ!
着物の仕立ての基本はその構造にあります
まずは着物を仕立てるにあたって、着物の構造を理解すると全体像がつかめます。
女性の着物を例にしてお話しますね。
<着物の構造の特徴>
- きものは左右対称の衣装である
- 幅38センチほどの長い布(反物)から作る
- 手縫いですべての工程を行う
- 部位は、襟、袖、身頃、おくみに大別される
このように構造やつくりは、洋服に比べるといたって単純です。
ボタンやファスナーの取り付けはなく、ダーツやギャザー、カーブに縫い合わせるところもありません。
着物の特徴・特色
◆着物を広げてみた形
出来上がりの形は、女性の着物はみな同じ形をしています。
裏地のついているものとそうでないものがありますが、表の生地の形はみな同じです。
呉服やさんなどの看板とかでよく見るこの図形、これが女性の着物を広げて後ろからみた形です。
- 両端が「袖」
- その下の細いところが「えり」
- そして内側に向かって「おくみ」「身ごろ」
- 真ん中の線が背の中心線
となります。
着物の仕立て方
◆着物の反物
着物の仕立て方は、おおまかに以下のような順で行われます。
<着物の仕立て方およその順序>
- 着物を仕立てる方法は、最初に長い布(反物)の布目を整えることから始める
- 着物が出来上がったときに柄がきれいに出るよう、裁断する方法を考える
- 身頃、袖、衿、おくみのそれぞれの部分に裁断する
- 衿の肩あきを裁断する
- 出来上がり線のしるしを、「へら」でつける
- その後各部に応じた縫い方をする
- 「こて(和裁用アイロン)」を利用して縫い代に折り目をつける
- 部分ができたらパーツをつなげ仕上げる
途中、衿先のしまつや、裾の始末などがあります。
手縫い、縫い方の特徴
◆和裁の縫い方の種類を練習していたときのもの
これは和裁の色々な縫い方を練習したもので、洋裁とは全く違います。
現代では機械でも着物を縫うことができるようになりましたが、それでもまだ多くは手縫いされています。
和裁の寸法の測り方
「和裁」が「洋裁」とはまったく違うものであることは、測り方の単位からもわかります。
まず長さの単位を「尺(しゃく)」で表します。
和裁の世界ではこの単位が今も使われています。
ただ「尺」という単位に馴染みがなくなりつつあるので、センチの単位を使うことも増えてきました。
私が10数年前に和裁を習ったときは、センチでOKでした。
和裁で使う用具を紹介
◆和裁のお針箱の中
和裁はそもそも手縫いで手作り。
なので当然機械は必要ありません。
裁縫箱に入れるものは、
- 針
- 糸
- はさみ(二種類)
- 短いものさし
- へら
ほかに仕立てに必要なものは、
- くけ台
- 断ち台
- 長いものさし
- アイロン
と数少ないです。
和裁の縫い方の特徴
手で縫う縫い方の種類はいくつかありますが、基本は布を軽く引っ張りながら、均等な縫い目で縫っていきます。
縫い終わったあとは、縫い目より2ミリ外側を折るのが基本です。
縫い目が表側から見えないようにするもので「きせをかける」といいます。
これは縫い目と糸を守る和裁特有の仕立て方です。
糸も布も貴重品であった時代から、ずっと受け継がれてきた方法です。
布を大切に繰り返し使うことができる
手縫いの糸はほどきやすく仕立て直しもしやすいので、繰り返し布を利用するのに適しています。
布そのものが平面のままなので、着物の役目を終えたら他の用途の衣類に作り替えたりします。
傷んだ布の位置を変えたりして、布を使いまわしていくことができます。
今でいうリメイクですね。
徐々に小さいものに作り替えて布を使い、それを「繰りまわし」とよんでいました。
着物はいろいろなものに形を変えることのできる、とても合理的な裁断と仕立ての方法なのです。
きものの仕立てに必要なそのほかの材料
着物を仕立てるとき、着物生地(反物)以外に必要になる材料を紹介します。
女性の裏地のある着物で紹介します。
<女性の裏地のある着物、反物以外の材料>
- 裏地の「胴裏(どううら)」と「八掛(はっかけ)」
- 襟補強用の小布
だけです。
洋服の仕立てを知っている人には「たったそれだけ?」というくらいのものですね。
お手元に着物があれば、確認してみてください。
胴裏と八掛
◆女性の着物の裏生地 胴裏と八掛
着物の裏地の上の方は白い生地ですね。
これを「胴裏(どううら)」といいます。
下の方についている裏地は、表生地に合わせて好みで選ぶのですが「八掛(はっかけ)」といいます。
「八掛」は、身頃と衿先で合計8枚の布に分けて付けるので八掛というのですが、その後袖口にも同じ布を用いるようになっています。
◆八掛(はっかけ)のいろいろ
八掛は裾回しという名称でも呼ばれます。
糸の種類も少ない
着物を作るときの材料は、以上のように数少なくシンプルです。
そして使う糸も、「仕付け用」「本縫い用」と二種類使うだけです。
着物の仕立て 反物から作る方法を分かりやすく!和裁の疑問がなくなる・おわりに
着物の作り方は上記のような材料や手順によって、職人さんが2~3日の間に仕上げます。
日ごろ着物に親しむのであれば、和裁の知識が少しあると助かります。
ほつれを直す、裏なしのきものサイズを直すなどが自分できますよ。
「着物の仕立てって案外簡単そう」って思えましたか?^^
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