◆三保半島から富士山をのぞむ景色
昔から初夢で「一富士二鷹三茄子」の夢をみると縁起がよい、といわれていますね。
一番が富士山、二番が鷹(たか)そして三番が茄子(なす)。
どうしてのこ順になったの?
意味や由来は?
なぞを解くヒントは静岡県の三保半島にありました。
(上の画像・三保半島から富士山をのぞむ景色!)
ところで初夢はいつ見る夢をいうのでしょう。
初夢はいつ見る夢?
以前は12月31日から1月1日にかけては、寝ないで過ごす習慣があったため、
1月1日の夜から1月2日に見る夢を初夢といっています。
そのときの夢の縁起のよい順が、一富士、二鷹、三茄子という順になります。
ただ大晦日も普通にねれば、元旦の朝にかけて夢をみることもありますし、毎日夢をみるわけでもありません。
ですから元旦に見られればそれも初夢としてよいという考えもあります。
「一富士二鷹三茄子」の意味
一富士二鷹三茄子の初夢の縁起の意味がわかるのは、平安・江戸時代にまでさかのぼります。
ですがまずは、ざっと意味をつかみましょう。
一番は富士山の意味
◆富士山
富士山は、神様仏様がやどる場所で「霊山」として敬われていました。
その手前に「三保」という島がある景色が、
平安時代の人々にはまさに「極楽浄土」に見えたことから、一番が富士山ということに。
二番は鷹・三番は茄子の意味
◆鷹
鷹(たか)と茄子(なす)は、天下を治めていた徳川家康が大好きだったもの。
江戸時代、天下人家康は全国の憧れの的でした。
家康の好きなものを初夢でみると縁起がよいとされるようになりました。
「一富士二鷹三茄子」の由来を裏付ける証拠
「一富士二鷹三茄子」を初夢に見ると縁起がいいという由来の証拠は、
「甲子夜話」という江戸時代に書かれた本に残っています。
そこには、こう書かれています。
- なすが非常に高値で売買されていたこと
- 一番高い山は富士山である
- 二番は愛鷹山(足高山)である
(※愛鷹山(あしたかやま)は富士山の南隣にある1504メートルの火山)
ここからは、さらにつっこんだ話になります。「もういいいわ」という人は、最後のまとめをさらっとお読みください。
ここからは、
- 極楽浄土としての富士山
- 鷹であることの由来
- 茄子が三番になった土地の特徴
をお話しますね。
極楽浄土こそが、三保と富士山です
◆富士山
静岡県三保半島は、2013年6月富士山とともに世界遺産に登録されましたね。
三保半島がセットの理由は、1000年も前の平安時代にさかのぼります。
三保半島が島であることに意味がある
三保半島の付け根のところは海で、 飛鳥時代から平安時代までは島でした。
信仰のため富士山に登る様子を描いたもので「富士山曼荼羅図」( 室町時代に書かれた絵)がありますが、
すでに半島になっていた三保が、その絵では島になっています。
三保を島として描きたかったのです。
極楽浄土としての富士の景観
島であることを人々はありがたがりました。
それこそが「極楽浄土を表現した庭園」=「浄土庭園」と同じ構図だからです。
浄土庭園には、仏様を祀る建物の前には 必ず大きな池と島が描かれています。
富士山は神様仏様が宿る場所霊山であり、 その前に三保という島がある景色は、
平安時代の人々にはまさに極楽浄土に見えました。
想像上の場所(極楽浄土)がここにある。
そのため「三保と富士山はセットでなければならない」のです。
初夢にふさわしい極楽浄土こそが、三保と富士山ということですね。
二番が鷹であることの由来
◆鷹
徳川家康は幼少と晩年の27年間を静岡県で過ごしました。
家康は「鷹狩り」が大好きでした。
江戸時代の一富士二鷹三茄子のいわれが書いてある書物「甲子夜話」には、
「 まず高いのは富士山、次に足高山である」と書かれています。
鷹のルーツは、 富士山のすぐ隣にある足高山(あしたかやま)です。(今は愛鷹山・あしたかやまと書く)
家康が非常に鷹が好きだったので、世間には愛鷹山と書いて伝わったと思われます。
家康が鷹好きだった証拠
家康が鷹好きだった証拠が、家康が祀られている久能山東照宮にあります。
(※東照宮は家康を祀る神社のこと )
日光の東照宮が有名ですが、一番最初に建立されたのが久能山東照宮。
それは家康の遺言によります。
社殿の前の唐門に鷹の彫刻があり、非常に見事な技巧をこらした素晴らしいものです。
久能山東照宮は平成22年に国宝に指定されています。
三番が茄子であることの由来
◆折戸なす イメージ
三保半島の折戸地区というところでは、黒い砂を利用して「折戸なす」を栽培しています。
黒い砂なので太陽光による成長が早く、通常より1~2ヶ月早く収穫が出来ました。
今でいう促成栽培ですね。
初物が好きな江戸では、どこよりも早くでまわる「折戸なす」は人気があり貴重でした。
「初茄子値高く」」と前出の書物にあり、5個で一両、約10万円したといいます!
家康は折戸なすが大好きだったということで、家康に500個も献上したそうです。
家康が好きで初物は高い、茄子は江戸時代には縁起がいいものとされていました。
折戸なすの味は生はりんごのような食感で、焼くと甘さが増しおいしいそうです。
「一富士二鷹三茄子」には続きがありました
◆扇
「一富士二鷹三茄子」のあとには、
- 四扇(しおうぎ)
- 五煙草(ごたばこ)
- 六座頭(ろくざとう)と続きます
四の扇は、末広がりであることから、子孫繁栄・商売繁盛の意味があり、
五の煙草は、煙が上に上がるので縁起がよい、
六の座頭は、琵琶法師である髪を剃り上げた盲人を意味していて、「毛がない」つまり「怪我ない」という意味になります。
一からつなげて読むと、なんだかすっきりとまとまる文字並びですね。
初夢はいつ見た夢のこと?一富士二鷹三茄子の順番の意味/続きがあった!まとめ
縁起がよいものは、いつになっても伝え残していきたいものですね。
子供に聞かれたら、こんな風に答えるといいと思います。
- 富士山は神様がいる山で信仰され、極楽浄土の絵図と同じ
- 鷹と茄子は天下人徳川家康が大好きだったもので、家康への憧れから縁起が良いとされるようになった
- だから「いちふじ にたか さんなす」の初夢を見ると縁起がいいのよ
初夢は元旦に見られなければ二日でもOK。
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