子供さんの卒業式や入学式に、お着物をお召になりたいとお考えのお母様へ。
ここでは、卒業式と入学式のときのお母さまの着物支度が、スムーズにできるようお伝えします。
どんな着物や帯にしたらいいか、気になる点を解決しておきましょう。
「小紋の着物はどうか」というご質問がありますが、
卒業式や入学しきに、小紋の着物は私は「ふさわしくない」と考えています。
その具体的な理由についてもお話します。
では以下の順にみていきましょう。
- 卒業式にふさわしい着物と帯
- 入学式にふさわしい着物と帯
- 入学式・卒業式どちらにも向く着物
- 小紋の着物はやめた方がよいという理由
卒業式・入学式にふさわしい着物とは
卒業式・入学式ともに学校の行事であり、お母さまは子供さんの付き添いという立場です。
行事のとき大切なのは、「その場にふさわしい装い」であることです。
「卒業式」と「入学式」では、式の目的が異なります。
そのため、「その場にふさわしい」という意味合いが異なることをまずおさえておきたいです。
まずは卒業式のお母さまの着物と帯からお話します。
卒業式にふさわしいお母さまの着物と帯
卒業式は、学業(小学校なり中学校)を無事終えたことを認める儀式。
また新たな世界への旅立ちを、応援する意味があります。
その儀式としての卒業式には、厳かな雰囲気の(落ち着きのある)着物がふさわしいです。
卒業式に向く着物の種類
◆色無地の着物
卒業式に向くお母さまの着物は、
- 色無地
- 付下げ
です。
紋はあってもいいですし、なくてもよいです。
着物の色は、あまり暗い色や派手な色でなければよいでしょう。
付下げの模様は古典的な模様、あるいは花が清楚にあしらってある模様などがふさわしいでしょう。
卒業式向きの帯と伊達衿
◆袋帯で二重太鼓
帯は礼装用の袋帯で二重太鼓に結ぶのがふさわしいです。
伊達衿はしない方がよいです。
※着物の種類説明は末尾にあります
<卒業式にふさわしい装いのまとめ>
- 卒業式は落ち着きのある色目の着物がふさわしい
- 着物の種類は「色無地」「付下げ」
- 二重太鼓で伊達衿なし
次に入学式にふさわしい着物姿について。
入学式にふさわしいお母さまの着物と帯
◆色無地着物と袋帯で二重太鼓
入学式は、入学を祝う儀式。
新たな場所で学び成長する子供を、励ます意味があります。
その儀式としての入学式には、入学を祝う晴れやかな気持ちが表れたものがふさわしいです。
入学式に向く着物の種類
◆付け下げの着物と二重太鼓
入学式に向くお母さまの着物は、
- 訪問着
- 色無地
- 付下げ
紋はあってもいいですし、なくてもいいです。
明るい雰囲気が望ましいので、着物の色はピンク、黄、薄い青や緑、ベージュが向いています。
訪問着や付下げの模様は、花柄や古典的な模様がふさわしいです。
年齢が上の方は「茶・緑・灰色系統の地色の着物」を選ぶとよいと思います。
入学式向きの帯と伊達衿
帯は礼装用の袋帯で二重太鼓に結ぶのが無難です。
袋帯の模様はやはり古典的な模様で、淡い色目が似合います。
伊達衿はあってもなくてもどちらでもよいです。
<入学式にふさわしい装いのまとめ>
- 入学式は晴れやかな雰囲気の着物がふさわしい
- 着物の種類としては「訪問着」「色無地」「付下げ」
- 二重太鼓で伊達衿はあってもよい
では「卒業式と入学式、別々の着物や帯を用意しなくてはならない?」
と思われるかもしれませんが、そうでもありませんよ。
入学式・卒業式どちらにも向く着物
◆深い緑色の色無地に伊達衿を
どちらの行事にも向く着物を用意すれば、準備もしやすいでしょう。
今の年齢ではちょっと地味かな
というくらいのもを選ぶとよいですね。
ただ卒業式と入学式の日程が近く、親も子も同じ地域では、「同じものを着ている」のがわかるかもしれません。
また着物姿は目立ちますし、記念写真に残ることも考慮してくださいね。
40代・50代年代別に気をつけることは?
年代によりふさわしい着物の種類は特にないとお考え下さい。
むしろ色(地色)が全体の雰囲気に大きく関係します。
先にお話ししたように、入学式は明るい華やかな印象のものを、
卒業式はおごそかな雰囲気に合う、派手さのない色目が長く利用できます。
さて、「小紋の着物はどうでしょうか?」
という質問をいただくことがあります。
入学式・卒業式に「小紋の着物」はやめたい
私は入学式・卒業式には「小紋の着物」は向かないと考えています。
その理由は。。。。
◆小紋の着物を着た女性
小紋の着物の位置づけ(格)は「おしゃれな外出着」という位置づけだから
です。
おしゃれな外出着は、プライベートな時間に装うものです。
そのため「○○式」という式典には向きません。
「着物は行事用(冠婚葬祭の礼服)」とお考えの方があるかもしれませんが、着物には種類があって「小紋」はおしゃれ着でプライベート用のものです。
購入する(誂える)なら目的をはっきりさせて
卒業式・入学式にこれから着物をご用意されるお母さまへ。
あつらえるときは、目的をもち希望をはっきり伝えてください。
たとえば、
- 卒業式にだけ10年くらい利用したい
- 入学式以外にも友人の結婚式にも利用したい
- 和のおけいこと兼用できる着物にしたい
- 卒業・入学の両方で利用したい
- とにかく長く着られるようなものにしたい
といったうように。
あなたの希望や目的がはっきりわかっているほど、ふさわしいものを選ぶことができます。
着物の種類をざっくり説明
入学・卒業式向きとして紹介した着物をざっくり説明します。
- 訪問着(ほうもんぎ):衿胸身頃などに柄がつながる着物で、華やかさがある
- 付下げ(つけさげ):模様がすべて上をむいて描かれている着物で、訪問着より地味な印象
- 色無地(いろむじ):模様がなく一色で染めてある着物
子供の入学・卒業式に江戸小紋の着物はどうでしょう
「江戸小紋の着物」はここでは候補にあげていませんが、
江戸小紋の中でも「小紋三役」と呼ばれている「鮫」「行儀」「通し」の三種類のものは卒業・入学式にふさわしい着物の仲間です。
これらに一つ紋をつけると略礼装となるのですが、紋をつけなくてもよいと思います。
その他の江戸小紋で、生活用品や草花などの柄は、おしゃれ着になるので卒業式や入学式には向きません。
入学式と卒業式の母親にふさわしい着物/小中高校/小紋はいいの?まとめ
卒業式と入学式は行事の目的が違うため、ふさわしいお母さまの着物や帯を説明。
着物を誂えるなら3か月ほどの余裕をもって、レンタルも早めに予約を。
どちらの式にも「小紋の着物」はやめた方がよいと考えます。
「洗える訪問着の着物について」
この頃では「洗える訪問着の着物」や「洗える袋帯」が販売されていますね。
絹に近い質感のもので、東レ・シルック、テイジン・シルドールなどの素材でできています。
見かけも正絹のものと遜色ないものもありますし、格は変わらないので利用してもいいかもしれません。
<関連ページ紹介>
小紋の着物の疑問を解決、染め方・帯合わせ
◆袋帯とはどんな帯?種類・名古屋帯との違いと見分け方
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