名古屋帯は着物の帯の中でも一番よく使われる帯です。
でも案外、使っている名古屋帯の長って知らないですね。
「この名古屋帯、手先があまっちゃう」
「お太鼓の模様、いいところに出ないわ」など、
名古屋帯が扱いにくいと感じていませんか?
ここでは、名古屋帯の長さを知って、部分の長さも知って、
自分にぴったりの長さの名古屋帯を見つける、そんなお手伝いをいたします。
八寸名古屋帯・九寸名古屋帯の長さは?
名古屋帯には八寸帯と九寸帯があります。
いずれも全長約360cmから370cmが主流です。
八寸と九寸って何?
これは、帯の生地幅のことをいい、八寸は帯幅が約30センチ、九寸は帯幅が約34センチです。
ですから八寸は生地幅をそのまま使い、裾や手先をかがるくらいで仕立てます。
九寸は、袋に縫って中に芯を入れて完成させます。
幅の広い分は縫い代で、仕上がりは30センチ幅にします。
ちなみに「京袋帯」とよばれる袋帯によく似た名古屋もありますが、やはり長さは約360cmほどです。
もっと短い名古屋帯やもっと長い名古屋帯もあるのはなぜ?
いくつか名古屋帯を持っていると、中には短いと感じるものや、長すぎるなと感じるものもあるかもしれません。
短い名古屋帯は時代が古いものに多い
おなじ名古屋帯でも長さが330cm~350cmくらいのものもありますね。
これらは時代の古いものに多く、昭和の40年代くらいまでに作られたものに多いはずです。
今より体格が小さかったこと、補正をせずに着つけたことから、短いものが多いです。
長い名古屋帯は新しいものに多い
現在販売されている名古屋帯は、ここ15年くらいは(もっと前からかもしれません)370cm~380cmの名古屋帯が多く出回っています。
体型を補正して着付けることや、帯の結びめを傷めない着装法などが関係していると思うのですが、
確かに370cm~380cmの長さがあると、ふくよかな方はとても結びやすいと思います。
◆長さ約380cmの名古屋帯
さて、あなたが一番結びやすい名古屋帯は、何センチあるでしょう。
結びにくいと感じている名古屋帯は、どこかあなたにあっていない長さなのかもしれませんね。
ここからは、自分にあった長さの名古屋帯を知るために、
- ぴったりのサイズを知る
- リサイクルの帯でも失敗しない選び方
について詳しくお話しますね。
自分にあった長さの名古屋帯とは
◆八寸名古屋帯・部分の名称
まず「自分に合う名古屋帯」とはどういう帯でしょう?
名古屋帯の三つの部分
名古屋帯は「三つの部分」
・「お太鼓部分」の長さ
・「手の部分」の長さ
・「胴の部分」の長さ
から出来上がっていますが、帯によりそれぞれの部分の長さが微妙に(結構違うこともある)違うのです。
ぴったりサイズを知るには、
- 「お太鼓部分」の長さ
- 「手と胴の部分」長さ
の二つを知ることで分かってきます。
名古屋帯の部分を測ってみる
「お太鼓部分」「手と胴部分」を測り、それぞれが自分にとって「長すぎず短すぎない」ことが大切です。
帯の各部位の長さを測ったら、今度は自分のサイズも測ってみましょう。
自分のサイズは補正後の胴回りサイズで
帯の長さに特に関係が深いのが、胴周りのサイズです。
あなたがふくよかなタイプかやせタイプかで、ずいぶん帯の必要な長さが変わります。
そこで、いつもの着方で帯を巻く直前の胴回りを測ってください。
私の場合は、胴回りが約85センチになります。
例えば胴回り85センチの場合
ここに名古屋帯を巻いていき、「手」と「たれ」がちょうどよいと感じる帯を探しましょう。
私(胴回り85cm)の場合、全長で約350センチくらいの帯が一番巻きやすいと感じます。
ぴったりくる名古屋帯を測ってみると
◆一番ぴったりくる名古屋帯
そこで、自分にぴったり合うと感じている名古屋帯を実際に測ってみました。
「お太鼓部分」と「手と胴の部分」をそれぞれ測ります。
この帯は、
- お太鼓部分が105センチ
- 手と胴部分が240センチ
全体の長さが345センチ。
3メートル45センチって、案外短い?かもしれません。
◆自分にぴったサイズの名古屋帯を締めている私
ぴったりの長さだと、お太鼓の出来上がりがいつもすっきり決まります。
長さが合っていない帯は締めにくい帯
私はこれより短い帯、長い帯だと、どこかで工夫を加えなければならなくなり、「扱いにくい」と感じます。
ただこれより10センチ長い帯までは、どこかに余分があるだけなのでうまくいきます。
以上のことから、私にぴったりのサイズの名古屋帯は以下のサイズと分かります。
<自分にピッタリの名古屋帯>
- 全長で345センチから355センチ
- そのうち「お太鼓の部分」は約105センチ
一番扱いやすい帯で次を求める
現代の名古屋帯は、3メートル70センチほどが主流です。
細身の方は、これでは長すぎると感じるかと思います。
名古屋帯を仕立ててもらうなら、自分にピッタリのサイズに仕立ててもらえるよう、扱いやすい「手」や「胴」の長さ、「お太鼓」の長さを希望してみましょう。
長さ360cmの名古屋帯
リサイクルでも帯選びに失敗しないために
自分にぴったりの帯の長さが分かれば、購入のとき失敗がなくなります。
リサイクル品でも「お太鼓部分」と「手と胴部分」のそれぞれの長さを測って、
自分に合うものを選びましょう。
そして九寸名古屋帯の場合は、さわってみて硬すぎないものが扱いやすいです。
お太鼓柄は要注意
お太鼓と胴の前だけに柄のある「お太鼓柄(ポイント柄)」は、ちょっと注意が必要です。
特に胴の柄がちょうどよいところに出るかが、チェックポイントです。
お太鼓柄の場合は胴やお太鼓の長さが、長い方が調整しやすいです。
「お太鼓部分」と「手と胴部分」の長さの例
名古屋帯でもそれぞれの「部分」の長さはかなり違いがあるものです。
その例を三つ紹介します。
紺地椿模様のお太鼓柄の名古屋帯の例
◆例1・全体に短い帯
- お太鼓部分の長さ:97センチ
- 手と胴部分の長さ:238センチ
- 全長335センチ
黒地羽根模様のお太鼓柄の名古屋帯の例
◆お太鼓部分が長いが私には扱いやすい長さの帯
- お太鼓部分の長さ:116センチ
- 手と胴部分の長さ:242センチ
- 全長358センチ
紺地紅型全通柄の名古屋帯の例
◆お太鼓部分がちょうどよい帯
- お太鼓部分の長さ:105センチ
- 手と胴部分の長さ:260センチ
- 全長365センチ
個人的には「お太鼓分」が100センチに満たないものや、「手と胴部分」が260センチ以上ある長いものは、扱いにくいと感じます。
名古屋帯 自分にぴったりの長さは?部分の長さを知ってベストをみつける・まとめ
お太鼓結びで苦戦している方は、名古屋帯の「部分」の長さが合っていないのかもしれません。
自分にぴったりの長さのものは、いつもお太鼓姿が良い出来栄えで完成します。
手胴・お太鼓のぴったりのサイズを知って、購入・仕立ての目安に。
長さ約360cmの名古屋帯(月下美人)
<関連ページ紹介>
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