女性の着物に合わせる帯の中では、「丸帯」に次いで格の高い帯が「袋帯(ふくろおび)」です。
袋帯は主に礼装に使われることが多く、豪華で品格があります。
ここでは、
- 袋帯の部位の名称
- 袋帯についている線(かいきり線とオランダ線)について
- 「関西仕立て」と「関東仕立て」
- 袋帯の種類と合わせる着物
について詳しくお話しますね。
袋帯の長さ・形状
袋帯というのは、全長は4メートル20センチから50センチくらいで、袋状に閉じてある帯です。
端から端まで同じ幅で、名古屋帯と同じ約31センチです。
袋帯は作られ方によって三種類あります。
- 袋状に織られた「本袋」
- 表と裏の二枚を織って袋状に縫い合わせてある「縫い袋」
- 表地と裏地を合わせて16寸幅(約60cm)に織り上げ、それを半分に折って片側の端を縫い合わせた「片縫い袋」
現代ではほとんどの袋帯が「縫い袋」帯
です。
裏を別の生地にしたものは、裏が無地または一色です。
子の方法であれば織る面積が少なくなり、軽量になることが理由でしょう。
袋帯の構造をまとめると、
- 幅約31センチ、長さ約4.2~4.5メートル
- 表と裏の二枚を袋状に縫い合わせる「縫い袋」の形状が主流
袋帯の部位の名称
◆袋帯各部の名称
袋帯の各部位は、
- 「手」(て・テと書くこともある)
- 「胴帯」
- 「たれ」
と大きく三つに分かれ、
- 「手」の先を「手先」
- 「たれ」の先を「たれ先」
といい、全部で五つの部位の名称があります。
帯の幅が同じなので、「手」と「たれ」の見分けはわかりづらいですが、柄の向きで判断できます。
「手」と「たれ」の見分け方
◆礼装用袋帯
見分け方の基準は、一方向につながって柄がある場合は、上向きの方が「手」で巻き始めになります。
柄が幾何学模様などで全く上下の区別がないときは、どちらを「手」として巻き始めにしてもよいです。
ですがたいていの場合は区別がつくよう、一方の端の近くに模様のような線があります。
その線がある方が巻き終わりの「たれ」になります。
袋帯にある線は「かいきり線」と「オランダ線」
◆「かいきり線」と「オランダ線」があるたれの部分
袋帯のたれの部分を見てみましょう。
模様のないところとあるところの境目の線を「かいきり線」といい、
模様が始まって10センチほどのところにある線が「オランダ線」です。
かいきり線(界切線)は織物の端に、本体とは余分に織り増しておく織留部分であることを示す線です。
「織り出し線」または「織り上げ線」ともいいます。
本体に続けて余分に織ってあるので「織り出し線」。
仕立てるときその部分を織り上げるときは「織り上げ線」といいます。
「かいきり線」と「オランダ線」の間が「たれ先」になります。
袋帯の「関西仕立て」と「関東仕立て」
袋帯の二種類の仕立て方
仕立て方には二種類あり、
- 「かいきり線」を見せる仕立ては「関西仕立て」
- 「かいきり線」を見せない(折り込む)仕立ては「関東仕立て」
現代の主流は「かいきり線」を見せない「関東仕立て」
です。
何も希望しないと、自動的に関東仕立てになることが多いようです。
◆「かいきり線」が見えている「関西仕立て」
振り袖用袋帯は線なしも
現代では、振袖用の華やかな帯で変わり結びが前提になっている袋帯があります。
帯の端の方に線があると、変わり結びをしたとき見栄えがよくないためか、振袖用の華やかな袋帯は、
「オランダ線」を最初から織っていないものが主流になりました。
袋帯の種類と合わせる着物
◆袋帯で変わり結び
袋帯は二種類に分けられます。
- 「礼装用の袋帯」
- 「おしゃれ用袋帯(しゃれ袋帯)」
目的が違うので合わせる着物も変わります。
礼装用袋帯と合わせる着物
◆袋帯で変わり結び
礼装用の袋帯は、錦織り・唐織り・綴織り・佐賀錦・ビロード織りなどの織りものです。
多色で織るだけでなく、金銀糸をふんだんに盛り込んだ帯は、フォーマルな着物に合わせます。
振袖や留袖、訪問着といった着物ですね。
しゃれ袋帯と合わせる着物
◆しゃれ袋帯の例
袋帯の中でも、染めのもの、現代的な柄のもの、金銀を少ししか使用しない軽い感じのものは、「しゃれ袋帯」と呼ばれます。
◆しゃれ袋帯で二重太鼓に
合わせる着物は、モダンな訪問着や付け下げです。
動植物を描いた遊び心のあるもの、現代風の抽象模様などは、紬や小紋の着物に合わせることがあります。
袋帯の各部位の名まえ/かいきり線とオランダ線/仕立て方による違い・まとめ
部位の名称を紹介した上記の袋帯で、振袖用の変わり結びを結んでみました。
多くは礼装正装に主に用いられる豪華な織り帯です。
現代の帯は軽量化がすすみ、六通柄で「関東仕立て」が主流となっています。
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