「いしきあて(居敷あて)」は、着物のヒップの生地や縫い目を保護するものです。
着物での立ち座りの動作で、ヒップ付近には大きな力がかかります。
そのため生地や糸に負担がかかり、弱りやすいです。
そこであらかじめ別の布=「いしきあて」を裏側に取り付けておき、着物の傷みを防ぎます。
「いしきあて」の作り方と取り付け方を詳しく説明しますね。
いしきあて(居敷あて)に適した布と着物
最初に「いしきあて」に適した布を紹介します。
それは、きものより薄い生地で木綿の薄手の白生地が適しています。
着用したときに表側への影響がないなら、色がついていても構わないでしょう。
ウールや木綿の着物には、着物の余り布を取り付けてもよいです。
いしきあて(居敷あて)をつける着物の種類
取り付ける着物は、頻繁に着る普段用の着物が中心です。
主に裏地のない着物に取り付けます。
- ひとえの絹きもの
- 木綿きもの
- 麻きもの
- ウールきもの
- 浴衣(ゆかた)
またよく着る長じゅばんに取り付けるのもよいです。
いしきあて(居敷あて)の取り付け方
では「いしきあて」を取り付ける方法を詳しくお話します。
作り方と取り付け例
◆新モス
取り付けに使う生地は、「新モス」と呼ばれる綿100%の生地を使用しました。
「新モス」は晒(さらし)より生地の目が細かく薄手の生地です。
新モスにはカラーもあります。
◆新モスのラベル
「新モス」は幅約35センチ、長さ約21メートル(約2,000円)。
10メートルくらいの長さのものもあります。
- たて40センチ、横33センチ(目安です)
※幅はミミなのでそのまま、上下の縫い代がそれぞれ2センチ必要
「いしきあて」の作り方
下準備をして、「いしきあて」を作成します。
次の5つのステップを行います。
- まず縫い代分の長さを含めて布を断つ
- 軽く水洗いしてアイロンをあててからにする(縮み防止)
- 布のミミになっているところは1センチ折り曲げ、断ち切ったところは1センチの三つ折りに
- 上の左右の角はアイロンで少し折る
- 下端は三つ折りにして縫う
取り付け位置の確認
次に取り付け位置を確認します。
「いしきあて」の上端が腰骨のあたり、そして下端がひざ上10センチのところが取り付け位置です。
目印になるよう糸印をつけるなどしておきます。
「いしきあて」取り付け開始
まず着物の裏を出して始めます。
この例はウールの紫色の着物です。
ステップ1
◆背中心に取り付け
最初に「いしきあて」の中央を着物の背縫いに取り付けます。
背中心の縫い代の1~2ミリ右にして、「いしきあて」待ち針で留めます。
そこを上から下まで縫います。
◆「いしきあて」下端中央
「いしきあて」の下端の中央のところです。
取り付ける際の縫い始めと終わりは、しっかりと取り付けてください。
ステップ2
次に「いしきあて」の周囲を、表側に糸が見えないように縫い留めます。
表生地には1~2ミリの針目がでるくらいの、小さい針目にします。
ステップ3・右の角のところ
◆「いしきあて」右上の角のところ
「いしきあて」の右上の角のところの様子です。
◆右下の角のところ
居敷あての右下の角のところの様子です。
以上で取り付けができました。
縫いにくい場合はこの方法でも
「いしきあて」の表側に糸が見えないように縫う方法を紹介しましたが、
縫いにくいということであれば、糸が「いしきあて」側に出るように縫ってもいいでしょう。
◆「いしきあて」側に縫い糸を出して縫う
左側部分を、糸が出るように縫いました。
◆左上角と左の上部、糸を出して縫う
左上の角のところと左の上部も、糸を出す縫い方で縫い付け方ました。
「いしきあて」取り付け完了
◆「いしきあて」取り付け完了
「いしきあて」の取り付けができました。
いしきあて(居敷あて)の作り方取り付け方/詳しく解説(画像の順)・まとめ
「いしきあて」は着物のヒップの生地や縫い目を保護するもの。
着物より薄い生地で、木綿の薄手の白生地がおすすめ。
いしきあての上部の角は折り曲げておくとおさまりがよいので紹介しました。

- 「いしきあて」があると、着物のヒップのカーブが付きにくいのもよい点です。
- 特に麻の着物には取り付けをおすすめします。
- 「いしきあて」があるからといって同じ着物を着るのではなく、2~3日休ませるようにした方が着物が長持ちしますよ。
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