ひとえの着物の裄丈(ゆきたけ)を直してみましょう。
肩幅で広くする方法を紹介しますね。
「裄丈=肩幅+袖幅」
なので、裄丈を広く(長く)するには、つぎの三つの方法があります。
- 「肩幅だけ広くする」
- 「袖幅だけ広くする」
- 「両方で広くする」
ここでは肩幅だけ広くする方法を紹介します
。
ひとえの着物であれば、素材はどんなものでも直し方は同じです。
肩幅で裄丈を広くするお直し
ひとえの着物の肩幅を広くするには、内側に折られている肩の縫い代を出します。
たいていは数センチ縫い代があるはずです。
肩幅を出すとき確認したいこと
「肩幅」と「袖幅」は、バランスがとても重要です。
そのバランスに関係するのがこの二点です。
- 肩幅が袖幅より2.5センチほど狭い幅までが、着たときのバランスがきれい
- 後ろ幅(身八口のすぐ下の背中心から脇までの幅)よりも3センチ以上肩幅が広くなると、袖付のあたりで山のようなゆがみが出やすい
着たときの見た目に影響するので、この範囲でお直しするのをおすすめします。
そして、縫い代と表生地の色合いを見てください。
変色や退色がなく、風合いが同じでしょうか。
ひとえ着物の肩幅出しに必要なもの
<お直しに必要なもの>
- 物差し
- 縫い糸
- 縫い針
- 糸切ばさみ
- チャコなど生地に印をつけるもの
- アイロン
- 当て布
肩幅を出すお直し・具体的なやり方
◆着物の袖付け付近の各部の名称
肩幅をどれだけ広くしたいか決めます。
どこまで肩幅をだせるかを、はかってみます。
この例では、肩の方の「縫い代は5.7センチ」ありました。
この着物のサイズは「後ろ幅28.5センチ」「肩幅30.0センチ」。
ということは、肩幅-後ろ幅=1.5センチです。
さきほど言いましたように3センチ以上の差があると、袖つけあたりが山型になり、ちょっと見苦しい感じになってしまいます。
なので、3-1.5=1.5センチ肩幅を出すことにします。
1.5センチ肩幅を出す、つまり肩幅を31.5センチにします。
身八口(みやつぐち)から直す
◆着物の袖を取り外したところ
ではやってみましょう。紺のウールのひとえ着物です。
まず袖がついていた位置を忘れないよう、測っておきます。
この袖は肩山から22センチのところからついていました。
袖付の位置22センチに、身頃にも袖にもチャコなどで印をつけておきます。
袖を外し身ごろの縫い代をとく
袖を身頃から外します。
そして作業しやすくするため、見頃の縫い代を20センチほど下まで解いておきます。
折り目の線を消す
次は、裏側からアイロンをあてて、折り目の線を消します。
なかなか消えないときは、下の画像のように、木綿の白糸(1~2本どり)を濡らして線の上に置き、当て布をしてアイロンをあてます。
裏から行ってくださいね。
◆袖の折り目の線を消すところ
これは袖の折り目の線を消しているところですが、肩の折り目の線も同じように行ってください。
裏側に向けて印付け
あたらしくする肩幅と、袖付けの位置の印をつけます。
着物を裏側にして、背中心から希望の幅を測って肩山に印をつけます。
◆着物の裏側、袖幅を測る
画像の一番上の待ち針のところまでです。
次に、身八口のところ(裾から上がってきて縫い目が終わったところ)に印をつけます。
画像の一番下の待ち針のところです。
真ん中の待ち針は、袖付の位置につけた待ち針です。
◆一番上の待ち針と一番下の待ち針をむすんで印を
一番上と一番下の待ち針を結んで印をつけます
。
印はあとで消えるものを使ってください。
この画像は後ろ身頃ですが、前身頃も同じように印をつけてください。
印をつけた線から裏に返して、アイロンをあてます。
これで身ごろの作業ができました。
外した袖をつける
そこに外した袖を取り付けていきます。
袖付はこちらを見ながら行ってください。
中ほどに、袖付のやり方を解説いています。
袖をつけたら、身頃の側の縫い代を身頃に留めて、肩幅直しの完成です。
身頃の側の縫い代の留め方は、上記のページで袖の縫い代の説明と同じです。今直している着物の脇の縫い代の留め方を真似していただけばOKです。
着物の肩幅で裄丈/ゆきたけを自分で直す/ひとえ着物で解説/画像あり・まとめ
肩幅で裄丈を広くするには、後ろ幅との差が3センチまでがよい。
出来上がりは、袖幅より肩幅が2.5センチ短いとよい。
裄丈を広くする方法は、ほかに袖幅だけか肩幅と袖幅の両方を出す方法があります。
袖をつける作業はちょっと難しいですが、試してみてくださいね。
<関連ページ紹介>
◆袖幅を広くするお直し・詳細解説・袖のつけ方も
◆裾直しの方法を詳しく解説・ひとえ着物で
◆着物の身幅のお直し方法・許容範囲・着方で乗り越えるには
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