「芭蕉布(ばしょうふ)」は、沖縄県本島北部の喜如嘉(きじょか)で織られている夏の織物です。
1609年薩摩島津氏による琉球侵略以降、江戸上がりの際に、
献上された持参品のひとつとされました。
芭蕉は戦前には、奄美大島から波照間島まで栽培されていて、
沖縄の民家ではどこにでも芭蕉布があったそうです。
平良敏子さんが芭蕉布を復興
しかし戦後は生産が途絶えてしまい、壊滅状態であったところ、
平良敏子さんが復興させ、沖縄に古くからある、
衣生活の中心である芭蕉布を普及させました。
身分により色の違いがあった
芭蕉布は琉球王国時代には、老若男女、
身分の別なく着用されていたそうです。
ただ色には違いがもうけられていたようで、
農民や漁民が身につける芭蕉布は、
生成りで粗めの単純な縞の模様の繰り返しであったそうです。
芭蕉が布になる行程
芭蕉布は糸芭蕉を裂いて、幹から繊維を取り出します。
やわらかいものは緯糸に、硬いものや色のついたものは経糸に。
沖縄伝統の絣や縞、格子などの模様を出すために絣糸にします。
芭蕉布の特徴
芭蕉布はひんやりと涼しく、風が通り抜けるような薄さ。
高温多湿の沖縄の風土にぴったりの素材です。
フクギ、藍、シャリンバイといった天然自然の染料で染めた、
素朴な色目と絣柄が特徴です。
糸芭蕉は芭蕉布にするほか、
船具の荒縄や絣括りの用具、芭蕉紙の材料としても、
用いられていたそうで、生活には欠かせない植物でした。
1974年、「喜如嘉の芭蕉布保存会」が、
国の重要無形文化財に指定されました。
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