講座「着物着付け上級までの道のり」の5ページ目です。
和装には足袋(たび)をはきますが、最初はかなり戸惑いますね。
足にフィットするようはいていただくために、また洗い方の基本について、以下のようにまとめました。
- 足袋の形状
- はき方
- 足袋のいろいろと楽しみ
- 洗い方
まずは靴下とは違う足袋の形状について。
足の袋とかいて「たび」・足を覆う唯一の衣類
足袋は下駄やぞうりをはくためのもので、足指先が分かれ、こはぜという留め具がついています。
靴の発達しなかった日本では、足袋が唯一足を守る布でした。
日本独特の履き物というわけですね。
足袋(たび)の言われ(語源)
江戸時代、旅に出る時は、履き物は「わらじ」でした。
昔の旅は、馬やかごもありますが、ほとんどは延々何十キロも歩いていくわけです。
道中素足でわらじを履いていると、足が痛んでしかたがないので、鹿皮で出来た袋で足を包んで歩きました。
その袋は、わらじを履くのですから当然指が分かれています。
つまり、旅行用の特別の履き物だったというわけで、名前はずばり「たび」になったということです。
そして「足の袋」の文字をあてて、「たび」と読まれるようになりました。
(調べてみると他にも語源があります)
足袋の形状・こはぜ
「こはぜ」は、足袋を閉じる金具のことです。
現在は四枚付いているものを普段用として使います。
礼装や日本舞踊などでは、五枚こはぜの足首を深く被うタイプのものを使用します。
戦前はこはぜがニ枚か三枚のものが、一般的だったようです。
こはぜを用いる今の形状になったのは明治以降になってから。
それ以前の幕末までは、ひもをつけて足首あたりでしぼるようにした足袋(あしぶくろ)が、足袋でした。
足袋の形状・掛け糸
「掛け糸」は、こはぜを掛けるために縫い付けてある糸です。
この糸には、足の動きの強い力がかかります。
ですから糸とはいっても、たこ糸とおなじような太くて丈夫な糸が取り付けられています。
足袋のはき方
足袋のはき方を紹介します。
和装をする際、足袋は最初に身に着けます。
途中や最後では、着崩れをおこしやすいからです。
- バナナの皮をむくように足袋を大きく開く
- 指先をぴったりつけてから、かかとを納める
- こはぜを下から閉じる
靴よりワンサイズ小さいものを選び、足にぴったりと張りつくようにはくと、すっきり見えます。
特に白い足袋の場合はゆるみが目立つので、ぴったりのものを履くのがおすすめ。
足袋のいろいろと楽しみ
足袋は白以外の色足袋も色々とありますから、出かける場所や着物とのコーディネートを楽しんでください。
日常に使うものと、外出用とに分けて説明します。
日常に使う足袋
日常着としての着物の時には、どんな色柄の足袋でも、好きなものを合わせてOKです。
ウールや木綿の普段着には、靴下と足袋の中間の「タビックス」でもかまいません。
「タビックス・足袋ソックス」は、靴下の先が二つに分かれているものです。
靴下をはく感覚と同じです。
伸縮性があるので、普段着用にはこちらの方が楽です。
また、日ごろ頻繁に足袋を履くのなら、色が濃くて汚れが目立たないもののほうが気が楽です。
足袋の裏側が黒のものもあり、これならホントに気楽に過せます。
男物の足袋には、シンプルながら落ち着いた色目のものがあるので、サイズがあえば男物の中から選ぶのもありです。
小紋や紬着物で外出のときの足袋
ちょっとした外出、プライベートなお出かけで、小紋や紬の着物を着るという場合は、
細かい小紋柄や淡い無地などで、着物とのつり合いを考えて自由に合わせてみるといいでしょう。
また、大正ロマン風の着物には、大きい花柄のものや色のぱっちりと濃いものなどで、おしゃれを楽しんでください。
もちろん白い足袋でもOKです。
白い足袋のお手入れ方法
白い足袋は、家に帰って脱いだら、できるだけ早く手洗いをするのが理想です。
縫い目などの汚れをとるような洗い方をしておきましょう。
- 古い歯ブラシに石鹸をつけて、指先・かかとなど取れにくいところの汚れを取る
- その後全体の汚れを手洗いで落とす
- すすぎは丁寧にし、石鹸成分が残らないようにする
- タオルで水分をふき取る
- かかととつま先をもって引っ張るようにして、形を整える
- こはぜで隠れるところを、洗濯バサミでつまんで干す
白い足袋の替えを用意するとスマート
白い足袋は、ちょっとした汚れもかなり目立ちます。
外出先でぞうりを脱ぐことがわかっていれば、替えの足袋を持参しましょう。
もし汚れたかなというときは、訪問するお宅に上がる前に、食事会なら座敷に上がる前に、
タイミングをみつけて、そっと足袋を履き替えることができるとよいですね。
次回は草履と下駄について話をすすめます。
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