講座「着物着付け上級までの道のり」11ページ目です。
ここでは「着物を着たときの所作や立ち居振る舞い」についてお伝えします。
着物は洋服とは違って、「たもと」が長い、裾が狭い、帯をしているなどで、いつものようにはいきませんね。
外出先で困らないためにも、着物に合った所作やふるまいができるとよいですね。
きものを着た時に、こんなことに気をつけてね、という内容をお伝えします。
着物での所作・立ち居振る舞い
立ち姿を意識する
まず最初にお伝えしたいのは「立ち姿」について。
着物を着ていると特に目だつのは、その立っている姿です。
背中が曲がっていると、とてもみすぼらしく老けて見えます。
着物のときはただでさえ実年齢より上に見られやすいので、背筋をスッと伸ばして立ちましょう。
立ち方の基本姿勢
自然な立ち姿は、以下のようにします。
- 下腹に力を入れる
- 背筋を伸ばす
- あごは少し引く
- 肩の力はぬく
歩く姿を意識する
次に気をつけたいのは、「歩く姿」です。
着物を着ると洋服と違って、大股で歩くことができません。
すこし内またぎみにし、洋服のときより歩幅は小さめにしましょう。
足を前に押し出すのではなく、裾の幅に合わせてしぜんに足を踏み出します。
「おしとやか」に見える所作
着物で歩くとき、右手で着物の上前(右のもも)を軽く押さえて歩くと、「しとやか」に見えます。
歩くと上前がひるがえって裾に動きがでます。
裏地の裾回し(八掛け)が、歩みに合わせてリズミカルに見え隠れ。
上半身をゆらさず、右手をそっと上前にあてての歩き姿は印象的です。
階段の昇降の所作
階段では着物の裾を踏んだり、つまずいたりしないよう注意が必要です。
階段を上がるときは、右手で着物をつまみ持ち上がってください。
降りるときは、足を少し斜めにして降ります。
いすに座るときの所作
ヒップからひざにかけて、きものの後ろ側をなでるようにして着席します。
帯をつぶさないように、背もたれには寄りかからないで浅めに座るようにしましょう。
背筋はのばし、ぞうりのつま先をややずらしてあわせ、膝の力をぬきます。
着席・離席は左側からが基本です。
お茶や食事をいただくときの所作
着物を着ての失敗談で一番多いかもしれないのが、お茶や食事のときの出来事です。
長いたもとの扱いに気をつけるということです。
お茶や食事をいただくときは、たもとがテーブルの上にのらないよう、片方の手で袖口の下あたりをおさえるようにしましょう。
遠いところの料理はムリに取ろうとせず、近くまで寄せてもらいましょう。
車に乗り降りするときの所作
着物のおしゃれをしていると、車に乗せてもらうチャンスも多いでしょう。
洋服のときのように、頭から乗り込むと裾が乱れます。
そこでこのような順で乗り込むようにします。
- 車にのるときは、足を残したまま車外からシートに腰かける
- そしてヒップを軸にして、両足をそろえたまま体をまわして前を向く
できるだけ背をもたせかけないようにして、帯の形がくずれないようにします。
降りるときは逆の順で、まず車外に両足を出してから、体全体を外に出します。
帯の形が乱れたら、降りてからすぐ直しましょう。
手を上げるときの所作
電車バスなど乗り物でつり革につかまるとき、手を上げて二の腕が見えてしまうのは見苦しいものです。
つり革につかまるときは、もう一方の手で袖口をつまみ、見えるのはひじまでにしましょう。
また「手をふる」などの動作は、肘をバストより上に上げないようにするか、片方の手で袖口をおさえましょう。
トイレに入るときの所作
着物を汚さないために、できるだけ広い洋式トイレを利用しましょう。
まずは、上前と下前のつま先を持って、すそを後ろ側まで大きくまくります。
そしてつま先を帯の上からはさみます。
長じゅばん・すそよけも同じ手順です。
出るときは、帯のたれとおはしょりが、上にまくれていないか確認しましょう。
座布団に座るときの所作
一番スマートに見える方法は、
- まず座布団の後ろ端に両ひざが少し乗るように正座する
- そして座布団の両端に軽く握った四本の指をつく
- その指に体重をかけて身体をうかせスッと前へ移動する
- 1回か2回で中心に移動する
あるいは、片ひざずつ身体をにじりよせていってもよいです。
※立ったまま座布団の上に乗るのはマナー違反になるので気をつけましょう。
着物を着たときの所作ができるだけで着物美人
以上の点に留意しておけば、どこから見ても「着物に慣れた美人」に見えますよ。
着物を着ていると注目されやすいですから、事前に練習しておくといいですね。
お手本になるような人を見つけて、マネするのも上達のコツです。
はじめのころは、数々の失敗をしました!
- 階段で草履が脱げた
- 下がってきた上前を踏んでしまった
- たもとをドアノブに引っ掛けて破ってしまった
- ワイングラスを倒してテーブルを汚してしまった
一度経験すると、失敗しなくなりますけどね。^^
では次は、たたみ方のお話です。
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