この画像のお太鼓の帯は「三分割」にした帯で装っています。
後ろ姿を見ても、三つにわけて作成していることは見た目ではわかりません。
作り帯の「三分割」のこの帯には以下のような利点があります。
- 使用する布が少ない
- 自分の好きな布(色柄)が利用できる
- ミシンでできる
布が少ないので軽く、身に着けやすいといえます。
結ぶわけではないので、「作り帯」「付け帯」と呼ばれる仲間になります。
体への負担が少ないはずなので、体調の悪いときにも利用しやすいと思います。
では先に「三分割の作り帯」の作り方、そして装い方を紹介しますね。
三分割の作り帯の作り方
<特徴とポイント>
- 反物なら4メートル70センチあればできる
- リバーシブルの場合は、反物は二種類それぞれ2メートル35センチ
- 「胴に巻く部分」「お太鼓の部分」「手先の部分」の三つにわけて作る
- ミシン仕立ても可
具体手な作り方の順序
ここでは平織りの絹の反物を利用しています。
帯として両面が使えるようにしたいので、二種類の反物それぞれ2メートル35センチ用意しました。
ミシン縫いしています。
- 帯用の芯 幅30.5センチ×2メートル17センチ
- 腰ひも1本(またはそれに代わるもの)
- 布40センチを2種、95センチを2種、100センチを2種(リバーシブルで作成のため)
- ミシン・ミシン糸
- 糸切りはさみ・裁ちばさみ
- アイロン・ものさし
この例では、一方が多色の縞で、一方が黒地に小花の反物です。
腰ひもは二分の一にするか、85センチにそろえるかします。
作製する順序の説明
一番短い「手の部分」の作り方から説明します。
他の「胴の部分」「お太鼓の部分」についても、同じ作り方です(いずれも長方形ですから)。
「手の部分」の作り方
以下反物の場合で説明していきますね。
長さ40センチに布を切断します。
中表に合わせて、右は端から3センチのところ、上下は31、5センチの幅になるよう端から均等にはかって縫います。
左は端から1、5センチのところを縫います。
左は20センチほど返し口を開けておきます。
◆上下の角は少し斜めに縫う
右の上下の角は、裏返ししやすいように、斜めに外側に縫っておきます。
◆上下右の縫い代を倒し芯を置く
上下の縫い代を2ミリ余分に折り曲げ、右は1センチ余分に折り曲げてアイロンを当てます。
右の上下の角はおりたたんで、折り目が戻らないよう縫いとめておきます。
帯の芯を置きます。芯は幅30.5 長さ34.0です。
◆上下右を縫いとめます
倒した縫い代と芯を、右、上、下の3か所のみ縫いとめ
ます。
ここが一番難しいところですが、下敷きやクリファイルのようなものを入れて、下の生地を縫ってしまわないようにしてください。
返し口を開けた左側も、2ミリ余分に縫い代を折り曲げ、角の縫い代を縫って押さえておきます。
◆表に返し返し口を縫い閉じる
返し口から手を入れて表に返します。
アイロンを当てて形を整え、返し口を縫い閉じます。
◆手の部分完成
手先の部分が完成しました。
ここはお太鼓にするとき、半分の幅に折って使います。
画像のように幅を折ります。手先の部分の出来上がりの長さは約35センチになります。
わかりやすくするために、白い木綿糸を使っていますが、生地の地色に近い色の糸を使ってください。
(糸そのものは表側から見えなくはなります)
次に同じ方法で「お太鼓の部分」と「胴に巻く部分」を作ります。
作業がしやすいように、自分で見たとき、幅を上下に置くとよいです。
基本的に、芯の長さは生地より6センチ短くし、幅は30.5センチにするとよいです。
三つの部分ができあがったとして、できあがりのサイズはこのようになります。
出来上がりサイズ
- 「お太鼓の部分」(出来上がり95センチ)、生地100センチ(芯は94センチ)
- 「胴に巻く部分」(出来上がり90センチ)、生地95センチ(芯は89センチ)
- 「手の部分」(出来上がり35センチ)、生地40センチ(芯は34センチ)
そして手先の部分と違うのは、胴に巻く部分だけは、紐を二か所取り付けることです。
胴に巻く部分のひもの取り付け方
◆胴に巻く部分の紐の取り付け方
胴に巻く部分を半分の幅に折って、折り目から紐を取り付けます。
体に巻くときは、紐の縫い目が外側になります。
紐の長さは85センチにしてあります。
普通体型ならこれくらいがよいと思いますが好みで変更を。
腰ひもを半分の長さにして、取り付けてもよいです。
「三分割の作り帯」のつけ方(装い方)
それでは、出来上がった三分割作り帯を装います。
◆胴に巻く
胴の部分を胴に巻き付け、
◆紐を前で結びしまう
紐を前に持ってきて結び、帯の下にしまいます。
帯板は帯の間に挟みます。
◆背中にタオルをはさむ
胴帯の背中に、ハンドタオルをたたんで差し込みます(置くという感じです)。
◆帯揚げをかけた枕を置く
帯揚げを掛けた帯枕を、お太鼓部分の帯の上から20センチほどのところにあてて、胴帯の上の背中にあてます。
帯枕の紐を前でしっかり結び、帯の内側に入れます。
帯揚げは後でかざるので軽く縛っておきます。
◆仮紐でお太鼓底を決める
仮紐でお太鼓の底を決め、
◆手先は半分の幅で帯締めをする
手先の部分を半分幅にして、お太鼓に差し入れます。
帯締めを通して前でしっかりと締め、仮紐をとります。
帯揚げを飾ります。
左右を確かめてみて、胴帯の紐が見えていないかを確認します。
お太鼓の着装ができました。
◆三分割の帯装着前からみたところ
前からみたところです。
ここではリバーシブル(両面使い)の帯にしたので、反対側でもお太鼓姿になれます。
別柄の方で装ってみる
◆別柄の方でお太鼓結び
さきほどの裏というか、もう一方の柄を出してお太鼓にしました。
今度はお太鼓を小さ目にしました。
小柄な方ですと、お太鼓の山の上からたれの下まで、30センチほどかと思います。
小ぶりのお太鼓がお好みの場合は、お太鼓部分は作り方で説明したものより短くても大丈夫です。
◆別柄で前から見たところ
別柄の方を前から見ました。
リバーシブル帯とは、誰もわからないはずですよ。
帯締めも同じ生地で作ったものです。
◆お揃いの帯締めで
同じ生地なので、ちょっとアレンジしています。
アレンジがきく、カジュアルな帯締めです。
詳しい作り方はこちら
三分割の帯の利点メリット
この三分割作り帯は、少ない生地で作れるのもよいところですが、ほかにもこんな利点があります。
- 背の低い方、お太鼓の形を小さく作りたい方、普通の帯が長すぎる方に向く
- 胴に二重巻かないため体への負担が少ない
- 自分だけのオリジナルな帯になり、独創的な着物姿になれる
そのほか参考にしていただきたいこと
作成にあたってあらかじめ参考にしていただきたいことをあげますね。
- 胴帯は、補正後着物を着終わった段階で胴回り85センチとして作ったもの
- これより15センチ細い方まではこの寸法でよいです、これより大きい方はその分布を長くして
- 胴回り85センチの人でも10センチほど長く作ると、背中のタオルがはさみやすくなる
- 帯芯の固さは固めの方が作りやすく、つけやすいと思う
- お太鼓部分に線がつかないようにたたむ
これお太鼓!名古屋帯と一緒になる三分割の作り帯/作り方と装い方/簡単手順・まとめ
いかがでしたか?
長方形のものを三つ作って紐を二か所つけるだけなんです。
気に入った生地でお試しくださいね。
洋服生地で作る場合は、端のほつれを始末してから作製してください。
<関連ページ紹介>
◆女性用兵児帯の作り方と結び方・着物や反物から/手順付き/アレンジも
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