◆引き糸が三か所ついた着物の広衿
きものの広衿(広襟)は半分の幅に折って着付けますね。
衿の内側には半分に折りやすいように、「引き糸」や「スナップボタン」がついている場合があります。
どちらかがついていると、広衿がととのい着付けしやすいです。
1か所だけ、または2~3か所ついていることもあります。
ここでは「引き糸」と「スナップボタン」それぞれの特徴とつけ方、引き糸の使い方を紹介します。
最初に引き糸からお伝えします。
広衿についている「引き糸」の特徴
「引き糸」は、広衿に短い糸を取り付けるだけ
です。
糸ですからかさばることもありません。
引き糸の使い方はひっぱるだけ
引き糸の使い方は、着用の前に糸を引っ張り広衿を折ります。
糸の玉止めをもち、引っ張るだけです。
衿が半分幅に折れればよいので、着付けはすぐに始められます。
ただ着付けに時間がかかると糸が緩みやすいので、
初心者の方は余分な糸を結ぶか玉止めをつくり衿が動かないようにしてもよいです。
こんな風にです。
一番簡単な「引き糸」の付け方を紹介します。
「引き糸」の取り付け方
中央と左右の三ケ所に引き糸を取り付けます。
左右というのは、中央からそれぞれ9~10センチの位置です。
◆引き糸三か所の一番簡単な例
<引き糸の取り付け方>
- 玉止めを作り、数ミリ横にひと針さして、衿幅の向こう側に糸を渡す
- そして数ミリ横にひと針さして玉止めする
「引き糸」三本のもう一例
こちらの例も、引き糸を三か所につけてあります。
最初玉止めをつくったそばに、戻るようにして糸をわたしています。
◆引き糸三か所の例
二つの例ともに、木綿の縫い糸の一本どりでつけてあります。
玉止めは大き目にして外れないようにしておきます。
広衿には「引き糸」がおすすめです
引き糸の悪い点は。。。。特に思い当たりません。
スナップボタンと同じ働きがあり、糸が劣化しても取り替えるだけです。
◆ウールの広衿着物 引き糸三か所
上の画像は、ウールの胴抜きの(胴裏のない)着物につけてある「引き糸」です。
スナップボタンは便利ですが、昔からある「引き糸」の方がおすすめです。
広衿に取り付けるスナップボタンの特徴
現代は着物を誂えると「スナップボタン」がつけてあることが多いです。
スナップボタンは、指先で上から押さえるだけで簡単。
取り付けるスナップボタンは、
- 衿の中央に一つ(一組)だけ
- 衿の中央とその左右それぞれに一つ(一組)ずつ
取り付けるのが一般的です。
中央一か所につけてある例
◆広衿のスナップボタン・中央に一か所
これは衿の中央に一つ(一組)のスナップボタンをつけてある色無地の着物衿です。
わずかに右によってつけてありますね。
左右のみ二か所につけてある例
◆広衿のスナップボタン・二か所
中央にはつけずに、左右のみスナップボタンがつけてある例です。
左右のスナップボタンの位置は、中央から9~10センチ離れた位置です。
着物初心者におすすめは3か所
着物の初心者あるいは頻繁に着ない人は、「中央と左右それぞれに取り付ける」のがおすすめです。
3か所ついていると、後ろ衿が整いやすく着付けしやすいです。
着付けに慣れているなら一か所がおすすめ
着物にある程度慣れている方は、中央にひとつだけにするのがおすすめです。
スナップボタンの欠点とは
スナップボタンはとても便利なのですが、
湿気が多いところに長く置いたままだと、青いサビや茶色いサビがつくことがあります。
サビは白い裏生地に付着して、見た目が不快ですし生地の傷みを早めます。
表の生地までサビの色が移ってしまうと、処置が大変になります。
対処法・サビがつかないスナップボタンに変更
昔のスナップボタンはサビが付きやすかったです。
今では「防錆加工」してあるものや、「さび付かない素材」のものもあります。
心配であれば、「サビがつかない」という商品表示のあるスナップボタンに付け替えましょう。
白生地でくるんだスナップボタンは安心
上等なお着物には、スナップボタンが薄い白生地でくるんで取り付けてあります。
これならサビの心配はほぼありません。
上等なお着物を長期保管の場合は、タンスの上段で乾燥した環境に収納しましょう。
スナップボタンの取り付け方
スナップボタンはまず、中央が出ている方を広衿の外側から取り付けます。
つけたら衿を折り押し付けて、目印をつけ、そこにくぼんだ方をつけます。
何もつけないという選択もありです
着物の広衿には、「スナップボタン」や「引き糸」をつけなくてはならないか?
というとそうでもありません。
何もつけないままでも着付けはできます。
着物に慣れてきたら、もうスナップボタンも引き糸も必要ありません。
着物の広衿の「引き糸」の使い方、つけ方/スナップボタンの特徴とつけ方・まとめ
着物の広衿の閉じ方には、「引き糸」と「スナップボタン」がある。
現代はスナップボタンが主流で扱いは簡単ですが、サビることも。
サビの出ないものに代える、または引き糸に代えるえると安心。
「引き糸」は取り付けが簡単で、扱いも簡単なのでおすすめ。
<関連ページ紹介>
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