京都で磨くゆかた美人の第3回は「TPO別マナー」です。
案内人は、絹文化・和装研究家の北川幸(きたがわさち)さんです。
北川さんは、絹の白生地資料館を運営されていらっしゃいます。
洋服にはない着物だけの美しさは、見え方を知ることで際立つそうです。
着物のときの立ち居振る舞いなどを知れば、着物美人へいっそう近づけますね!
しっかり学んで、お友達に差をつけちゃいましょう!
お出かけ先での「TPO別マナー」
まず最初に、普段着の浴衣とよそ行きの浴衣の、着分け方についてです。
普段着の浴衣姿で、生徒さん役の夏川純さんが、兵児帯に綿の紺地の浴衣の普段浴衣で登場しました。
肌着の上に浴衣を着て、素足に下駄といういでたちです。
着ていらした浴衣も帯も、色柄の面白いもので、遊び心ありの雰囲気です。
普段用の浴衣なら、活動的に動いて汗をかいてもいいように、綿素材にして洗濯がすぐできるものを選ぶとよいです。
野外コンサート・スポーツ観戦・夏の遊びに、普段着浴衣を大いに利用しましょうということでした。
そしてよそ行き着の浴衣の場合です。
先生の北川幸さんのいでたちがそうで、足袋に下駄、じゅばんを着て半襟は麻か絽に。
絹紅梅や綿絽などの浴衣にお太鼓姿。
帯は半幅帯でもよいですが、お太鼓にすると夏着物のようになり、よそ行き感がアップします。
ランチパーティー、観劇などのお出かけに向きます。
浴衣そのものを変えなくても、普段浴衣とよそ行き浴衣を着分ける方法を知っておけば、浴衣の活用範囲がとても増えます。
普段着浴衣をよそ行き浴衣として装うときの変更点をまとめてみると、
・素足⇒足袋をはく
・兵児帯⇒半幅帯(名古屋帯)にする
・半襟をつける
この3点を変更すればいいということですね、つまり普通の着物のように着ればよいということです。
それでも、いくら着物のように帯を豪華にするなどしても、「浴衣はあくまで普段着」なのは忘れないでください。
式典、結婚式、フォ-マルなお茶会はNGです。
浴衣のときの立ち居振る舞い
浴衣姿をいっそう素敵に見せるのは、立ち居振る舞い方です。
相手に不快感を与えないしぐさ、所作を覚えることで、いっそう美しく見えるようになります。
◆立ち方
両足を少し内股にし、つま先をつけ、背筋をピンとのばします。
重心を少し前にのせて、肩の力を抜くと、しっとりとして女らしい立ち方になります。
◆美しい歩き方
歩幅を少し狭くし、つま先はやや内股になるように、履物は引きずらないように歩きます。
◆玄関からあがるとき
履物を脱いで前を向いて上がり、振り返ってひざを折りしゃがみ、履物の向きを変えて、脇に置きます。
こうすると相手の方にお尻を向けずに、玄関をあがることができます。
これは洋服のときも同じなので、忘れないようにしたいですね。
◆落し物を拾うとき
上前の衿下に手を添え、腰をかがめ、両手で受けて立ち上がるとキレイに見えます。
◆電話をかけるときの美しいしぐさ
耳元にもってくる方の袖が下がるので、袖口にもう一方の手を添える。
これはテーブルの前のものを取るときも、同じようにすると袖がじゃまになず美しくみえます。
◆室内でのマナー
畳のヘリを踏まないように、歩幅を調整して歩きます。
◆座礼のマナー
座布団にはすぐに座らず、その前に座礼を。
上前の衿下に、手をそえて座る。
相手様の目を見てから、頭をさげる(お招きありがとうございますと言って45度頭を下げる)。
指先はすこしふれる程度に手をつきます。
◆椅子の座り方
脇を少し持ちあげて、浅めに腰掛けます。
つま先はそろえて座り、疲れてきたら左右どちらかの足を少し前に出すと疲れにくいです。
脚を組んではいけません。
◆団扇・扇子の扇ぎ方
優雅にゆっくり扇ぐと涼やかに見えます。
袖口に手を添えると、さらに優雅できれいに見えます。
◆車に乗るとき
脇線を少し持ち上げて座席にすわり、正面を向きます。
(身体の前から乗ろうとすると、ふくらはぎが丸見えになり、着崩れの原因にもなるのやめましょう)
こうしたしぐさを、何気なくできるようになっておくと、とても上品な姿になれます。
ひとつひとつの動作を考えていると、ぎこちない仕草になってしまうので、家で事前に練習をしておくのがおすすめです。
「心得美人度」をアップさせる
浴衣を着て、素敵だなっと思われる人は、上品さがあって落ち着きのある人ですね。
立ち居振る舞いのしぐさが上品さにつながるとすれば、心得がある人が落ち着きにつながるのではないでしょうか。
心得があるというのは、過不足のない持ち物を上手に利用しているということになるでしょう。
そこで心得のひとつとして、持ち物を確認してみます。
◆ハンカチの大きいもの
これはひざにかけて、食事のときの汚れ防止にします。
◆ハンカチの小さいもの
これはたたんでたもとに入れ、汗拭き用にします。
◆風呂敷をバッグに忍ばせておく
お土産など、荷物が増えたときに利用します。
◆足袋か足袋ソックスを用意する
どこかへ立ち寄る時、すっと玄関先で履くと美しく見えます。
これらを用意しておくことで、単に見た目の美しさだけでなく、「心得があるなあ」「あの人はちょっと違うな~」という印象になりますよね。
北川幸さんは、「心得美人」とおっしゃっていましたが、なるほど、そういう人を指す言葉ですね。
「心得美人」いい言葉ですね。
あなたもこれらを忘れずに用意して、「心得美人」になってください。
その他にも、お出かけのときに気がついたこと、もっと素敵な心得美人さんの実行されている心得などに気づいたら、ぜひ自分にも取り入れていきましょう。
以上のようなことを心がけることで、「浴衣美人度」は格段にアップしますね!
着崩れの直し方
長時間着ていると、着崩れがおこるかもしれません。
番組ではよくおこる着崩れの三つの対処法を紹介していましたよ。
◆を踏んで上前が下がってしまったら
はしょりをあげて腰紐の下から上前を上に指で押し上げ、おはしょりをもどします。
◆お座敷で座った後立ち上がるとおはしょりがよれてしまったら
おはしょりがよれたら、おはしょりを下に引き、帯に人指し指を通して、おはしょりを引っ張るように脇に手をすーっとずらすともどります。
◆襟元が緩んだら
下前を身八ツ口から手を差し入れて帯にしまい、上前も帯にしまいます。
両衿に手をかけて、衿をすっとなでます。
着くずれの対処法も覚えておけば安心して出かけられます。
軽い遊びや小さいお出かけを何度かして、所作の仕方や着くずれがないかなどを確認しておけるといいですね。
そのためには、浴衣を着なれるのが一番です。
最後に「はんなり」という京言葉について説明がありました。
これは「華があって、心得があって、所作が美しいこと」で、美しいいでたちに、美しい立ち居振る舞いが伴っていることだそうですよ。
ご指導いただいた北川幸先生は、本当に「はんなり」としたお方でした!
最後に手を小さくふって、さよならをしていた夏川純さんがアップになってました。
袖口に手を添えて、愛らしさが一段とアップ、立ち居振る舞いをマスターされた充実したお顔でした。
着物を着たら「はんなりした女性」に自然になれるようにしたいものですね。
次回の第4回は「帯結びのアレンジ」の予定です。
安田多賀子(着物・霊峰研究家)さんのご指導です。
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