講座「上級までの道のり」の13ページ目です。
ここでは「柔らか着物」について、詳しくお話します。
「柔らか着物」とは後染めの着物のことです。
主に社交の場や礼装として着る着物です。
ふさわしいシーンによって使い分けるにあたり、種類や特徴をみてみます。
また着付けのコツについてもお伝えします。
「柔らか着物」とは、その種類と特徴
◆やわらか着物・小紋の着物の例
「柔らか着物」は「たれもの」とも呼ばれています。
まず白生地を織って、後で色を染めたり絵を描いたりします。
細い生糸(きいと)から織られた布は、しなやかでやわらかい肌ざわりです。
さらさら・つるつるした感触と、とろんとした生地質なので「柔らかもの」「たれもの」と呼ばれます。
生地ができて後から染めるので「後染めの着物」と呼ばれることもあります。
柔らか着物=たれもの=白生地に色を染める=後染めの着物
柔らか着物の種類
「柔らか着物」の種類です。
- 「小紋(こもん)」
- 「色無地」
- 「江戸小紋」
- 「付け下げ」
- 「訪問着」
- 「留袖(とめそで)」
- 「振袖」
近年では「付け下げ訪問着」とよばれるものもあります。
「柔らか着物」の特徴
皆さんがうっとりするような着物は、華やかな大きな模様のある、彩り豊かな着物でしょう。
日本の着物といえば、友禅染の多色を用いた着物が代表格で、世界的にも知名度が高いです。
まず振袖からその特徴をみいきます。
振袖の特徴・柔らか着物
◆振り袖を着た若い女性
長い袖、鮮やかな色彩、刺繍や金箔なども用いて、着物の中では最も華やかです。
振袖は未婚女性の第一礼装で、未婚女性が式典などに出席する際に着る着物です。
華やかでおめでたい柄が描かれますが、近年はモダンなデザインのものもあります。
留袖の特徴・柔らか着物
◆五つ紋の黒留袖
留袖は、裾におめでたい模様を大胆にあしらってある着物
です。
黒で染めた「黒留袖」とそれ以外の色で染めた「色留袖」があり、礼装に用います。
第一礼装としては五つの紋を入れます。
主に新郎新婦の親族、仲人が黒留袖を着ます。
訪問着の特徴・柔らか着物
衿、身頃、袖と模様がつなって、絵のように柄が描かれている着物
です。
華やかに装いたいシーンの着物です。
付け下げの特徴・柔らか着物
付け下げは、身頃も袖も、うえに向かって模様付け
されています。
ですが、訪問着のように縫い目をわたって絵柄はつながっていません。
反物の状態ですでに絵柄がついています。
訪問着より柄は簡素で、より軽いシーンで着用します。
江戸小紋の特徴・柔らか着物
江戸小紋は、型紙に細かい模様を彫って、そこが染まらないようにしてから地を一色で染める着物です。
遠目で見ると色無地のように見えます。
格の高いものがある一方、民具などの柄のおしゃれ着としての用途もあります。
色無地の特徴・柔らか着物
色無地は、白生地(たいていは地に文様がある)に一色で染めた、清楚な着物です。
小紋の特徴・柔らか着物
◆小紋の着物の例
小紋は、様々な色柄の模様が、連続して染められている着物
です。
型紙に柄を彫って、反物に型をのせては染料を置くを繰り返すことで、多色の染色をします。
大きな模様でもこの手法で染めたものは小紋と呼びます。
絹生地の着心地は世界一
「柔らか着物」は絹生地の着物をさします。
柔らか着物をまとえば、全身が絹に包まれるため、着心地は格別です。
光沢があり伝統的な染色法で彩られた着物は、世界一の衣装ではないでしょうか。
柔らか着物はとても着心地がよいですが、着物に慣れないうちはこのやわらかさが扱いにくさにもなります。
そこで着付けをされるにあたっては、こんなコツを知っておいてください。
柔らか着物を着つけるときのコツ
柔らか着物を着るときは、式典や社交の場ということが多いですね。
そこで、できるだけ華やかな着姿を目指してください。
以下着つけるときのコツをまとめました。
- 補正をして鳩胸に仕上げると着映えする
- 普段の着物より裾つぼまりに着付ける
- えもんは普段用着物より大きく抜く
- 質のよいものは重さがあるので、腰ひもをしっかりと締めて下がってこないようにする
- 上半身は身体にぴったりと添わせ緩みのないように着る
- 草履のかかとにかかるか見えないくらいの裾の長さにすると優雅に見える
- お太鼓・二重太鼓は大きめに仕上げる方が合う
- 立ち居振る舞いはいつもよりゆったりを心がける
「優雅」「エレガント」という言葉がとっても似あうのが、やわらかい着物です。
柔らか着物を練習するときの参考にしてください。
<反対は「かたい着物」>やわらかい着物の反対語に「かたい着物」とよばれるきものがあります。
それは、文字通りかたさの感じられる着物で、糸の段階で色を染めてそれから織る着物です。
しっかりとした感触の、はりのある生地質になります。
模様は規則的な模様、幾何学的な模様が主になります。
糸の段階で染めるので、「先染めの着物」という言い方もします。
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