着物ならではの部位の名称と読み方、その意味を解説明しますね。
着物(和服)の専門用語もありますが、洋服と一緒というところもあります。
実際手にとって、部位を照らし合わせながら、また着付けしながらだと覚えやすいです。
まず着物がどのように出来上がっているのかを知って、名称にはいりますね。
着物の出来上がり方
先に、きものがどんな風に出来上がっているのかをおさえておきましょう。
着物の部位は大きく分けて三つに分かれます。
- 衿
- 身ごろ
- 袖
身ごろの端に衿がついていて、身ごろの前と後ろの間に袖がついています。
そして着物は、左右対象の形をしています。
できあがりがよく分かる形は、後から広げるとよくわかります。
◆着物を後ろから広げた形
では各部の名称を詳しくみていきましょう。
まずは衿(えり)からです。
着物の各部の名称・衿(えり)
着物の衿(えり)は、左右の前身頃とおくみに斜めに接してついています。
長さは190センチほどになります(身長160センチの場合)。
次に着物の衿の細かい部位の名称にうつります。
衿幅(えりはば)
衿幅(えりはば)は文字の通り衿の幅のことです。
女性の着物の衿には三種類あります。
- 広衿(ひろえり)
- バチ衿
- 棒衿(ぼうえり)
広衿は訪問着や留袖などの衿で、幅が広く裏地がついています。
バチ衿は衿の先にむかって少し幅広になっている衿で(三味線のバチの形をしていつことからついた名称)、浴衣や木綿、ウールなどの普段向きの着物の衿です。
棒衿は幅が一定して約5.5センチの幅の衿で、長襦袢の衿や浴衣の衿に用いられます。
掛衿(かけえり)と地衿(じえり)
「地衿(じえり)」は地になっている方の衿で、単に「衿」とも呼びます。
その地衿に上からついている布を「掛衿」といいます。
着物の生地と同じ生地なので、「共衿」とも呼びます(着物生地(反物)には掛衿の部分がとれるようになっています)。
衿先(えりさき)
「衿先(えりさき)」は衿の先の方およそ20センチほどのところをいいます。
着付けの時は、衿先をもって体に引き付けたり裾を決めたりします。
着物の各部の名称・身頃(みごろ)
着物の身頃は、三つにわかれます。
- 前身頃(まえみごろ)
- 後身頃(うしろみごろ)
- 衽(おくみ)
前身頃(まえみごろ)と後身頃(うしろみごろ)
前身頃と後身頃はつながっていて、肩の位置でつぎめはありません
。
左半分の身頃の生地と右半分の身頃の生地の二枚でできあがっていて、左右は同じ裁断方法です。
前にくる身頃の左側(着る人にとって)を「上前(うわまえ)」といい、身頃の右側を「下前(したまえ)」といいます。
前身頃と後身頃の縫い合わせてあるところは「脇(わき)」または「脇線(わきせん)」といいます。
袖付けの下のところに空いているか所があり「身八つ口(みやつぐち)」といいます。
ここは、衿を合わせたりおはしょりを整えるときに手を差し入れます。
衽(おくみ)
身頃には「おくみ(衽)」をつけて、体の前で打ち合わせる部分になります。
衽(おくみ)の幅は約15センチで、女性のどんな着物でもほぼ一定の幅です。
「おくみ」と呼ぶときは前身頃に衿(胸元あたり)からついている細い布の部分をいい、「おくみ幅」というときは、裾に近いおくみの幅をいいます。
「合褄幅(あいづまはば)」は、衿の先のところの衽の幅で、衽幅と同じか数ミリ狭い程度で仕立てます。
座る時間が長い場合などは衽と同じ寸法にすることもあります。
衿の下の長さを「衿下(えりした)」といい、仕立てのときは身長に合わせてバランスをとる必要があります。
裾(すそ)・褄先(つまさき)
着物の「裾(すそ)」は着物の身頃の一番下をさします。
また「褄先(つまさき)」は衽の裾の角をいい、着付けのときは「褄先を少しあげる」というような言い回しをします。
着物の各部の名称・袖(そで)
袖は一枚の布でできています。
袖の一番上を「肩山(かたやま)」、手を通すところを「袖口(そでぐち)」といいます。
身頃についているところは「袖付け」、袖付けの下のところを「ふり(振り)」といいます。
着物の袖の下半分くらいのところは「たもと」といい、ハンカチやティッシュを収めることができます。
袖の上から下までの長さを「袖丈(そでたけ)」といい、一般的には50センチほどの丈です。
着物のその他の名称
身丈(みたけ)
着物の上から下までの長さを「身丈(みたけ)」といいます。
上を肩山から指す場合と、背中の中心の一番上からとする場合があります。(2センチほどの違いが出ます)
身丈は身長と同じにすることが多いですが、振袖や訪問着などの礼装用の着物は数センチ長くとります。
裄(ゆき)・裄丈(ゆきたけ)
「裄(ゆき)」と「裄丈(ゆきたけ)」は同じ意味で使われます。
肩幅(かたはば・背の中心から袖までの長さ)と袖幅(そではば・袖の幅の長さ)を合わせたものです。
着物を仕立てるとき重要な名称で、現代は裄を長くし手首がかくれるくらいまでの長さで仕立てる人も増えました。
昔の着物は体格が小さかったこと、袖は短めが当たり前だったことで裄の短い着物が多いです。
裄を測る方法は、
まっすぐに立り腕を脇から30度ほど離し、首の後の付け根の骨の出ているところから手首のくるぶしの手前まで測ります。
着物の部位の名称と読み方(女性)詳しくお伝えします・おわりに
これまでの名称は着物の表生地についてお伝えしました。
ついでによく出てく裏地の名称も覚えておかれるといいですね。
着物の裏地は、
- 身頃の上方や袖の裏についている白い薄い布を「胴裏(どううら)」
- 身頃の下方や袖口、衿先の裏についている薄い布を「八掛(はっかけ)」または「裾回し(すそまわし)」
といいます。
以前は自分の体に合った着物を仕立てるのが当たり前でしたが、近年は仕立て上がりの商品もあります。
着物の形は決まった形があるのですが、見た目の違いをつける方法としては、
- 袖の丈を長くする(または短くする)
- たもとの角の丸みを変える
などで多少の変化はつけられます。
着物の形や着方は同じでも、合わせる帯・帯揚げ・帯締めなどを変えることで、見た目の変化は大きくかわります。
また衿の開け方や半衿(はんえり・長じゅばんにつける飾り衿)によっても着こなし方に個性を発揮できますよ。
(きらこ よしえ)
着物の形は同じであっても、模様や生地質によってさまざまな着物があります。
<関連ページ紹介>
◆染めの着物紹介
◆織りの着物紹介
◆紅型(びんがた)とは
https://kimono-story.com/entry37.html
コメント